長年の悪癖を改善させた上司の一言とは?
me:Riseキャリアコーチの尾上(おのえ)です。
2021年9月からme:Riseにジョインしました。
はじめまして、よろしくお願いいたします。
皆さんの周りに、こんな方いませんでしょうか。
いくら、注意・アドバイスしても、一向に悪癖が直らない。
本人も改善しようと努力しているけれど、なかなか修正できない。
皆さんはきっと、上司として、先輩として、親として、友人として、その方にさまざまな声を掛け、いろいろなアドバイスをして、何とかその悪癖が改善するよう試行錯誤を繰り返していらっしゃるのではないでしょうか。
私も日々、コーチングや研修で、目の前の方の行動変容を支援する立場として、トライアンドエラーを繰り返しています。
そこで、今回は、長年の悪癖を改善させ、相手を激変させた「一言」を紹介したいと思います。
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その悪癖の持ち主は中村さん(仮名)。
30代後半の課長さんで、大学まで体育会サッカー部で活躍されていた熱血漢。持ち前の明るさと行動力を活かして、営業として輝かしい実績を積み上げていました。
(クライアントさんのプライバシー保護のため、設定を変更して書いています)
周囲からの評価が高く、その会社で課長職に就いたのも割と早めでした。
ただし、1つ問題があったのです。
一生懸命になりすぎて、部下や後輩への指導が厳しくなりがちに・・。
そう、いわゆるパワハラ体質なのです。
私は、その会社のコーチングを何名か担当させていただいていて、人事担当者からも、「中村のパワハラチックな指導方法は何とかならないですかね」と相談を受けていました。
中村さんご自身も十分自覚していて、
「尾上さん、私は熱くなると、ついつい口調がきつくなってしまうのです。管理職として何とか改善したいです」と。
周囲からもいつも、「お前のその関わり方では若い芽を摘んでしまうぞ」と指摘を受け続けていました。
中村さん本人も変わろうと必死。
でも変わらない日々・・。
そんな日々が続く中、何回目かのコーチングの時に、中村さんから質問されました。
「周りから『お前は変わらないとダメだぞ』と言われていて、自分でも頭では分かっているのです。でも、なかなか直せない。どうしたらいいですかね?」
私は問いかけました。
「中村さんは、どうありたいのですか」
すると、中村さんは、
「私は、部下には、たくさん成長してもらって、最終的に幸せになってもらいたいだけです。そのための指導は惜しみなく続けていきたいですし、そうしているつもりです」と。
私は、もう一度聞いてみました。
「いいですね、部下にこうなってほしいというのが明確になっていて・・・。中村さんはどうありたいですか」
(中村さん)
「自分がどうありたいか、ですか・・」
少し内省の時間があって、
「私は・・、やっぱり愛情あふれる人間でいたい。周りの人に愛情を持って接して、周りの人を幸せにできる人でありたい」
そんなステキな言葉が出てきて、次のコーチングまでのアクションプランも考え、その日のコーチングは終了。
それから、中村さんが繁忙期に入ったため、次のコーチングまで2ヶ月近く、間が空いてしまいました。
そんなある日、人事部から電話が入りました。
「尾上さん。中村さんのパワハラチックな指導がパタッとなくなりました。コーチングでどんな話をされたのですか」
コーチには守秘義務があり、すぐにはお答えできないので、
「再来週、コーチングがあるので確認できるかもしれません。ご本人が開示OKでしたら報告いたします」と答えました。
そして、翌々週のコーチング。
「中村さん、最近、何か良いことがあったのですか」
明らかに晴れやかな表情をされていたので聞いてみました。
「あれ、尾上さん、分かります?」
「実は、代表から言われた一言で、完全に吹っ切れたのです。その一言で、部下との関係性が激変しました」
私は、すぐに「その一言」を伺いたいと思いつつ、長年の悩みだった部下との関係性の変化について確認しました。
(尾上)
「えっ、激変したってどんな風に?」
(中村さん)
「はい。以前は、気持ちとは裏腹に、きつい言葉を言ってしまっていたのは、ご存じのことと思います。そういう言葉を、部下に全く言わなくなったのです。むしろ、今まで、あまり口にできなかった感謝とか労いの言葉が出てくるようになったのです」
(尾上)
「うん、うん、それで?」
(中村さん)
「はい。その結果、部下から緊張や警戒の表情が消え、何でも報告相談してくるようになったのです。その報告相談の場で、以前ならまた厳しい指導をしていたのですが、そこでも、『言いにくい報告を真っ先にありがとう』などと感謝の言葉を返せるようになったのです」
この激変ぶりに、私は興味津々。
「それで、代表にはなんて一言をいただいたのですか?」
と革新に迫りました。
そこで言われた一言とは・・。
「お前は変わらなくていい!」
正確には、一言ではなく、以下のようなニュアンスだったとのこと。
「お前は、部下に対する愛情をたくさん持っている。それは、俺が一番よく知っている。そんな愛情深いお前が変わる必要はない。いや、変わってもらっては困る。これからもそれを活かしてくれ。お前は変わらなくていい」
そして、その続きはこうです。
「それでな。その愛情を活かすためにも、部下にそれが伝わるような関わりだったり言葉掛けだったり・・。それは必要かもな・・」
それを聞いた中村さん。
「代表、いつも自分は変わらないといけないと思っていました。『(同じ課長職の)○○さんのようにならないと』と焦っていました。でも、自分自身の根っこを変える必要はなかったのですね。変える必要があったのは、自分がテクニックと見下していた、表現だったり、言葉だったり、自分が発するものだったのですね。テクニックって、自分の信念を大切にするためにも重要だったのですね。今後、部下への関わり方、言葉掛けを注意してみます!」
長年、周囲から注意・アドバイスを受けても、ご本人がいくら努力しても変わらなかったことが、たった一言で変わったのです。
それも、「あなたはこうした方がいい」「あなたは変わった方がいい」という言葉ではなく、「あなたは変わらなくていい」という言葉を通じて・・。
意外だと思いませんか。
私は、意外だと感じました。
日々、仕事をしていると、「あの人みたいになりたいな」「あんな関わり方、ステキだな」「あの人みたいに変わりたいな」と思うことがあります。
それはそれで、すばらしいことだし、必要だと思います。
でも、必死にその憧れの人のようになろうとして、自分の持ち味を消してしまうことがある。
そして、変わろうとすればするほど、今までの言動が変わらなかったりする。
中村さんは、ご自身の持ち味をも変えようともがいていました。
その結果、なかなか変われなかったし、結果もついてこなかった。
代表の「お前はお前のままでいい。お前の持ち味を存分に発揮してくれ」というメッセージを受け取り、「変わろう」から「活かそう」に変化した。それが功を奏したのかもしれません。
我々は、ひとりひとり、自分にしか配られていない「持ち味」というステキなカードを持たされています。
そのカードを否定してまで、ほかの人に配られたカードをうらやましがったり、ほしがったりする必要なんてない。
自分のカードを、自分らしく磨いたり、そのカードの有効な使い方を考えればよい。
自分の持ち味はさらに磨いて、長所を長所として、伸ばしていく。
短所は、使い方を変えれば長所になるので、その使い方を考えてみる。
みにくいアヒルの子は、アヒルになろうとなんてしなくていい。
白鳥として大空を羽ばたけば・・。
中村さんのエピソードを通じて、私は、そんなメッセージを受け取った気がしました。
皆さんは、どう感じましたでしょうか。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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