【私見】不足単位の取得方法(予備校以外)
USCPAの受験を考えるうえでまず最初に必要となるのは、自分が(大学等で)取得した単位が
❶ 出願予定州の受験要件を満たしているのか?
❷ 仮に不足する場合、どのような種類の科目を何単位追加で取得すればよいのか?
ということです。
正式にはNASBA(National Association of Boards of Accountancy)が主催する学歴評価機関であるNIEなどを利用することになるのですが、これは「受験に必要な単位が揃った(と思われる)後で行う確認手続き」となります。
よって、入り口段階では、自分自身で判定するか、USCPA予備校などで簡易的に判定してもらうことになります。予備校では、この種のサービスは無料で実施しているようです。
不足単位がない場合
判定の結果、「不足する単位がない」と分かれば、そのままUSCPAの試験勉強にシフトできます。具体的な勉強法は別の回で触れる予定です。
不足単位が生じた場合
USCPA受験を目指す方は、(経営系や商学系の学部出身者ばかりではなく)様々なバックグラウンドを持っていると思われます。
結果、出願予定州の要求する受験要件を満たしていない(=不足単位が生じている)ことも多々あると思われます。
この不足単位をどのようにして補うかが課題となります。
一般的には、受験予備校が提携する米国大学の単位を取得する方法が考えられますが、今回紹介するのは別の方法です。
私自身がお勧めするのは、日本国内の大学の通信教育で補う方法です。通信課程に正式に入学(編入学)するのではなく、科目等履修生として必要な単位を取得するという方法になります。
各州が要求する受験要件を満たすためには、
❶ 会計科目やビジネス系科目が多数設置されている
❷ 費用が比較的安価である
という2つの条件を満たす大学が望ましいと思いますが、この条件を満たす大学の候補として、以下の2校が考えられます。
・法政大学(経済学部/商業学科)
・産業能率大学
例えば、法政大学の科目等履修生として、1年間で8単位を取得する場合を考えると、追加コストは概ね8万円となります。
選考料 :10,000円(定額)
科目登録料:30,000円(定額)
履修料 :40,000円( 5,000円/単位 × 8単位)
計 80,000円
法政大学の場合、年に8回行われる単位認定試験の合格によって、単位が認定されます。会場は全国各地に存在します(首都圏は、法政大学市ヶ谷キャンパスです。)
一方、産業能率大学もほぼ同様な価格(1単位当たり5,000円)のようですが、こちらは単位認定試験をWebで受験することが可能なので、より便利と言えるかもしれません。なお、(法政大学同様)単位認定試験の実施時期は決まっています。
イメージとしては、不足単位数が少ない場合(~8単位)は法政大学、不足単位が多い場合(10単位以上)は産業能率大学という感じでしょうか。
単位取得の留意点
上記の大学で単位取得する上ではいくつかの留意点があります。
最大の留意点(制約)は、大学の履修科目なので、単位認定試験の実施期間(実施日)が予め決められているということです。つまり、いつでも単位認定試験が受けられるわけではなく、定められた日に受けられなければ、次の試験日まで待たなければならないということです。
したがって、(何が何でも)最短で単位取得を済ませたいと考える方には、向いていない選択肢と言えるかもしれません。
もう1つは、❶日本語をベースとして勉強すること、❷必ずしもUSCPAの試験範囲とは直接関係ない範囲を学習する可能性があることから、USCPAの勉強には直接的に役に立つものではないということです。
上記は、最短距離でUSCPAを目指すという点ではデメリットと言えるかもしれませんが、(デメリットを上回る)メリットもあります。
メリットについては後述します。
除外した選択肢
さて、ここまでお話しして1つ除外した選択肢があります。それは、米国の大学に個人でApplyして(科目履修生として)単位を取る方法です。
この方法は私がUSCPAを受験していた頃であれば十分考えられる選択肢でしたが、いまでは現実的ではありません。
というのも、当時と比較すると米国大学の授業料が高騰し過ぎているからです。ちなみに、米国州立大学の場合でも私が受験した頃の5倍程度に高騰しており、3~6単位取るだけでも20~30万円程度はかかってしまいます。
したがって、現実的な選択肢ではないので除外しました。
敢えて日本の大学での単位取得を薦める理由
さて、不足単位が生じた場合、なぜ私が日本の大学での単位取得をお勧めするのか。日本の通信制大学で単位取得のメリットを解説します。
最大の理由は、リスクヘッジです。
換言すると、予備校の入学していきなり数十万円単位のお金を払って、途中で(USCPAを)断念するというケースが意外に多いからです。これは、私が受験していた遥か前でも散見されていた事象です。
この点、日本の大学の単位取得のコストは比較的廉価です。最悪単位を取れなくても、失う金額は数万円程度です。
焦って予備校に申し込むよりも、まずは自力で関連する勉強をしつつ、適性を見極めた上で予備校に申し込むという方法が安全と思うからです(予備校利用については、次回にお話しします。)
しかも、勉強するうちに「大学での学びが結構面白い」ということになり、むしろ会計大学院に進学したり、(税理士を目指して)税法の大学院に行くといった選択肢も出てくる可能性もあります。
あるいは、ビジネス系の科目に興味が出てきて、(USCPAではなく)国内MBAなどの大学院を目指すなど、他の資格や学位に興味の対象がシフトすることもあるでしょう。
あるいは、現在の仕事に活かせるテーマが大学での学びの中から見出せるかるかもしれません。
言い換えると、できるだけ選択肢の幅を広げておき、あまり早い段階でUSCPAに絞らない方が良いというのが私の見解です。
そのためにも、様々な可能性を視野に入れつつ、大学の通信コースで少しゆっくり勉強してみることがお勧めです。