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「デザイン思考の先を行くもの」を読んで

今回の読書本は「デザイン思考の先を行くもの 各務太郎」

タイトルを見たときに、デザイン思考を学び始めた矢先にいきなり「その先」と言われても・・と思ったのが最初の印象です。

筆者はもと電通のコピーライター。建築家のコピーライターという肩書もおもしろいですね。
読書の気づきをまとめてみました。

1.デザイン思考とは

多くの本でも「デザインとは課題を解決すること」と言われたりしていますが、本書でも「デザイン力を問題解決力」と定義しています。
これを聞くたびに、美的センスや絵心のない自分は、安心した気持ちになります。
筆者もデザインにセンスやおしゃれは一切関係ないとしていますが、「もしデザインのセンス」と呼べるものがあるとすれば「不便と感じる頻度」だという。
確かにデザインする意味を「問題解決」と捉えれば「そもそも何が問題か」をきちんと定義できないと始まらない。日ごろからアンテナを立てて「これ、変じゃない」と思える人は「小さなきっかけ」から問題をつくる力が強い気がします。

デザイン思考のワークショップでは「ペインポイント(不満)はどこか?」を話し合ったりしますが、この問いにすぐに答えられる人は、何事にも「使いづらさ」や「わかりにくさ」を感じる感度が高い人なんでしょうね。

2.デザイン思考からイノベーションは生まれない?

・デザイン思考とは「改善のためのツール
・現状のプロダクトより、さらによいものを生み出すための「仮説検証」のための道具。1を10に磨いていくための手法なのである。

「え、デザイン思考からイノベーションは生まれないんですね」

恥ずかしい話ですが、これまでに何冊も関連の本を読んでおきながら初めて知りました。

論理思考、ロジカルシンキング系では限界があると思ったからこそ、新しい発想法としてデザイン思考を考えていたんですが・・。

デザイン思考のアプローチが「相手の観察」から潜在的なニーズを発見しようとすることをベースに考えれば・・・確かにそうですね。
革新的なアイデアを求めるのなら、デザイン思考だけに頼るのにはムリがあるのも、言われてみればわかる気がします。

「世の中を変えるような革新的なアイデアは、アイデアを最初に思いついた人の極めて個人的な主観や見立てに基づくべきであり、そうすることで他社には容易には理解できないシークレットなものが生まれるであろう」

イノベーションを生むようなアイデアは、最後はやはり「個人の想像する力」ということでしょうか。まあ、その想像する力をどう実践するかが大きな課題ですね。

3.デザイン思考の次とは

筆者は、答えは「個人の見立てる力」「未来からの逆算力」だという。

「未来を現在の延長と捉えるのではなく、まず自分が個人的どういう未来にしたいか、という願望を研ぎ澄ましていくこと。そして極端に個人的な願望に基づいた未来から逆算した時、現在、この世界になにが必要になるか
それがデザインすべき答えであるということ。

ふと、この文章を読んだとき、自分が何気なく未来を話すとき「未来はどうなるんだろう」であって「未来をこうしたい」というトーンでないことに気づく。この時点で、今の自分が変化を起こそうという姿勢が弱いだろうなあ、と思います。

また、「個人の見立てる力」は、筆者の言う「その人の専門性や得意分野のフィルターを通すことで、他の人には見えないものが見えてくること」とあるとおり、何かしらの自分の強みから着火されると理解しました。

その前提となる強みの視点を持ちながら、他のフィールドの何かの要素と組み合わせられることで、新しいものが生まれる。つまり、自分のフィールドとなる分野をある程度、極めてないと、その先の革新的な結合にまで至らないんでしょうね。

最後に

本書は、「デザイン思考の先」というセンセーショナルなタイトルで、ドキドキしましたが、決してデザイン思考を否定するものでもなく、目的に応じたマインドやアプローチを教えてくれるものでした。

「自分の見立てる力」を磨き続けること

強靭な発想力や思考力を高めていくため、そして他のフィールドとの結合力を高めるためにも、大切にしたい言葉です。

おわり


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たいよう
感じて、考えて、表現します。「そんな考え方もあるね」と思ってもらえたら幸いです。