【介護DX】デジタル化で現場はどう変わる?
こんにちは、介護現場からお届けしているたにみのです!
今回は、介護DXをテーマにお話をしたいと思います。
ご存知の通り日本は、超高齢化社会で少子化となり、働き手が足りないという状況になっています。国の策としてはデジタル化し、情報と情報の融合によって業務を自動化したりすることを促しております。国はやってほしいことに対しては補助金という形で事業者へアプローチしているのですが、その例としてIT導入補助金がございますね。今回は、IT導入補助金がテーマではないので割愛させていただきますね。デジタル化のチャンスなので是非、検討してみてください。
IT導入補助金に関するURLは↓こちら
つまり、DXを実現することで今まで5時間かけて行っていた業務が、1時間でできたり、30分でできたり、場合によっては業務をなくすこともできます。実際に私は介護現場でDX化して請求書や領収書の作成や立替金の確認などが情報の連携によって業務をいくつか省くことができました。
ただし、介護業界で働かれる人は4人に1人は65歳以上でIT化、デジタル化が難しいと言われます。「実際に私もIT化するにはとても大変でした!!」
今回は、介護DXすることで現場がどう変わっていくのかをお話しできればと思います。
介護DX前は「言った聞いていない」で組織崩壊
今では、デスクがあったりパソコンやiPad、スマートフォンなどが備わって介護の記録や事故報告、日報、伝達事項などは近くにあるデバイスからシステムにアクセスして記録することが当たり前になっておりますが今のように使いこなせるようになるまでに3年という月日がかかりました。
最初は、介護記録も事故報告も伝達事項、チェックシートもほとんどが紙で管理していました。そのころは、介護スタッフの陰口が多く「◯◯さんってこないだ、勝手に〇〇してたよ。」とか「〇〇さんっていつも紙パンツとかの購入記録をノートに書くのを忘れるよね。」など介護スタッフ同士のトラブルが多くみられました。
特に一番多かったトラブルが「言った、言わない。聞いた、聞いていない。」これが介護施設の組織をバラバラにする原因だったように思います。
伝えたはずなのに相手は伝えたことができていなかった。それによって、利用者に何か影響があって利用者や利用者家族のクレームに繋がり、更に人間関係の悪化を加速させました。
介護DXの第一歩で混乱する職員
まず、取り組む前に誰が介護DXを進めるために旗を振っていくかが介護DXを成功するために重要な一歩となります。
以下の条件に当てはまる人が望ましいですね。
介護DXする目的を明確に持っている
業務のルール化ができる
職員に何度でも手取り足取り説明できる
介護の仕事を経験している
部下とコミュニケーションを行っている
旗振りが明確な目的と意思を持って進めることが重要になってきます。
ITとはかけ離れた業務のためきっと現場では「なんでやらないといけないの?」「私はできないのでしません?」などの意見が飛び交います。
実際に私も取り組み始めた時には、このようなことがありました。
ちなみに介護施設にDXコンサルとして導入支援をするときにも、この点についてはよく見られていて、場合によっては職員の退職を招くことがあります。IT化、DXを実現するにはこういったリスクがあることも理解しておいた方が良いですね。
おそらく、8割ぐらいの確率で現場職員の混乱が起きると思いますが、どうすれば混乱を軽減もしくは防ぐことができるか。混乱が起きたときにどう対処すべきかお話しします。
まずは、DXを進めるためのチームを編成します。
介護DXは一人で進めることは困難と思われます。最低でも3名程度の人材を確保されることが良いと思います。
最もDXを進めるのに熱く取り組むリーダー(旗振りをされる人)と現場での機械操作で迷っている職員を助ける人、現場での意見を吸い上げてくれる人の3名が1つのチームとして動かれることが望ましいです。
もちろん、目的の共有や操作方法などはチーム内で誰もが理解して動けるようにしていてください。
続いて行うことが全員に対して「介護DXをする決意表明です」なぜDXするのか、将来どのようになっていくのか、それによって働き方がどう変わってくるのかを説明します。
その後、ITの導入を行うのですが一度に多くのデジタル作業を入れるのではなく職員の平均レベルに合わせてデジタル化を進めて行きましょう。
きっと、導入後は何人かは「なんでしなければいけないの?」「紙でした方が早いし」など不満が出てきます。その方に関しては個別でIT化する理由を話してください。何度か面談することで納得すれば良いのですが、もしかしたらIT化するための最大の障害になるかもしれません。過去に1度あったのですが、どうしてもデジタル化したくないという意思が強く、何かと理由をつけて一人だけ紙で管理をされていました。その方はその自分の思いやデジタル化の反対を他の職員に伝えたりすることがあり、その影響で他の職員も「なんであの人はしなくて良いの!」「私も入力するの止めていいですか?」などの声が上がってくるようになりました。結局最終的には退職することで解決したのですが、このような事例もありました。
現場で使えるようになってきたらルール化
少しずつ介護現場でもなんとかタブレット端末などで情報入力することが一人でもできるようになり、デジタルに対して抵抗がなります。
次の課題となるのがスタッフ間で使用方法や理解に個人差が生まれてきます。操作や理解がある人は次々と「これも紙で管理をやめてデジタル化したほうがいいでしょ」「これを入力するのに何分かかってんの」「なんですぐ記録を入れないの」「私に聞かず記録見てよね」など現場を仕切ってしまってしまう人も現れてしまいます。
この時点で必要なのが目的の再認識とルール化です。
目的の再認識をすることで、なんのために介護DXをしようとしているのか、デジタル化した先に何を描いているのかを共有できます。
これを理解してもらう意味としては、なんでもかんでもデジタル化すればいいという点で押さえる業務改善ではなく面で押さえることしていることに気づいてもらうことです。
デジタル化して生まれた介護スタッフの記録に対する個人差はルール化することで軽減します。介護スタッフも4人に1人が65歳以上のスタッフという点もあるため完全に個人差が埋まるということはありませんがルール化することで、いつ誰が何をすれば良いか明確になりスタッフも動きやすくなります。導入の初期にルール化をしても良いのですが抵抗している方も多く、なるべくハードルを下げて進めたほうが良いと思い、導入が進んでからのルール化にしています。
この2つができるとようやく、スタッフが同じ方向を向いてチームが進んでいる状態になります。
タックマンモデルの統一期になります。
成果や効果を褒めろ!現場にも考えさせる!
これまでの導入期間としては最短で半年程度はかかると思います。
職員のペースも考えながらだとやはり1年近くは必要になります。
色々試してきた結果がどうだったのか、結果を収穫できるほどの情報が溜まってきたと思います。
現場へは必ず良い成果と効果を伝えましょう!
例:デジタル化を取り組んで1年経ちました。皆さんのおかげでコピー機の印刷枚数が昨年より30%も減りました。金額で言うと5,000円です!
例:請求業務でかかっていた15時間が3時間になりました!
など色々と良い結果が出ると思いますので、しっかり現場にも伝えてください。
そして、現場にもDXを身近に考えてほしいと私は思っています。
おそらく、上層部が何をデジタル化したら良いかなど答えを持っているとは思いますが、現場にも考えさせる力を持たせると良いと思います。
例えば、みんなが提出してくれているヒヤリハットだけど、この情報を更に有効にする方法はないかな?
スタッフの回答:私は入居者の情報に紐づけてくれると過去にどんなことがあったか個人ごとで確認できるので良いと思う。ヒヤリハットの場所の部分を分析できれば再発予防の取り組みも変わってくると思う。
結果:じゃあ、ヒヤリハットに場所の項目細かく指定できるよう追加しよう。これは〇〇くん項目の洗い出ししといて。あとは、入居者情報にも紐つけて個人の履歴も簡単にさかのぼれるようにしよう。
こんな感じで、一緒に考えることによりチーム内で介護DXをしよう!情報を活かそう!どうなっていきたいか目指す姿は何かとようやく同じものを見ることができてそれを実行に移していく最高のチームになります。
タックマンモデルで言うと機能期になります。
最後に
介護DXに取り組む前は「言った、聞いてない」「聞いた、言ってない」と言った責任転嫁するような発言が多かったのですが介護DXを通じて変わってきたのは、スタッフのマインドにあったように思います。
「言った、聞いてない」という他者責任思考がではなく、「見た、伝える」という点に意識が強くなり、どうすればわかりやすくみんなに伝えることができるのだろうか?とチームメンバーに対して気を配れるマインドに成長しました。単に、デジタル化するだけでは失敗する事業所が多く、介護コンサルをしている時もよく耳にします。失敗される事業所の多くが「ツール」に目が行ってしまい。手段の部分を最適化しようとする意識が強すぎることが原因と思います。それでは、エクセルから○○システムに変わるけど〇〇システムでは管理できないから違うエクセルを使ってなど良くなっているようで全く改善できません。それでは現場の業務量は増えるばかりです。
大事なことは目的です!どうありたいか、どうなっていきたいかを明確にすることです。ここを押さえることが介護DXを成功に導けるかの大きな分岐点となるでしょう。そして、描いている目的を何度も何度もスタッフに共有することでマインドが変わり最高のチームになります。
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