21/1/28 「新たな血と古き血」チェルシー対ウォルヴァーハンプトン PL第20節マッチレビュー~元野球人のサッカー観戦記第10試合目~
お久しぶりです。記念すべき10試合目でございます元野球人です。
そんな10試合目はトゥヘル・チェルシーの初陣をお届けします。
ランパード、解任されてしまいましたね。一方で、未だに監督を続けているスールシャール、凄いです。
プレミアの監督がまた豪華になり、より大陸のサッカーが島に集結してる感が増しました。ペップ、モウリーニョ、クロップ、アンチェロッティ......。
さて、まとまりのない文章で始まった今回は、既述の通り、チェルシーの試合でございます。対戦相手はリーグ戦6戦勝ちなしと、こちらも不調のウルブズです。なんと、最後に勝ったのはチェルシー戦だと。
会場はチェルシーのホーム、スタンフォード・ブリッジ
主審は、アンディ・マドレー
〇スタメン
チェルシーは前回のレスター戦から4人のスタメン変更。若手をスタメンから外してきたトゥヘル。中でも、マウントのスタメン外はサプライズになっただろう。
OUT:ジェームズ、マウント、プリシッチ、エイブラハム
IN:アスピリクエタ、ジョルジーニョ、ツィエク、ジルー
↓↓↓前回のチェルシーはこちらから(監督変わってますが)↓↓↓
対するウルブズは、逆転負けを喫したWBAとのダービーマッチから3人のスタメン変更。ポデンスが怪我から復帰。そして、遂に3バックに。もう一つの注目は、レアル・ソシエダから獲得し、入国後即ベンチ入りのウィリアン・ジョゼ。
OUT:サイス、モウチーニョ、シルバ
IN:エイト ヌーリ、トラオレ、ポデンス
〇試合内容
最初はチェルシーについて、最後にウルブズについて。
・新たな血が流されたチェルシー
就任間もないトゥヘルがチェルシーにもたらしたものは、「秩序」。ボール保持の局面では、3-2-5という配置を仕組んできた。それによって、前線5枚で5レーンを埋めることができ、後ろの5枚でウルブズのカウンターに無理なく対応。特に、この日のウルブズは押し込まれていたので、数的優位をつくりつつ、カウンターに対応することが出来ていた。
ランパード・チェルシーでは、「頑張れカンテ戦術」。配置はまばらで、両SBと両IHを上げ、後ろには広大なスペースが空いていた。それでも何とかしてしまうのがカンテ。怪物。
↑チェルシーの3-2-5
この「配置を明確に」したことがもたらしたのは、攻撃の再現性とネガトラの安定。ネガトラは先に述べた通り。ここからは、攻撃について。
詳しいウルブズの非保持は次の項で触れるが、この日のウルブズは徹底したリトリート。5バックで5レーンを埋められ、マーカーがはっきりしていた。
それに対して、前半のチェルシーの振る舞いは、それほど相手に混乱を与えるものではなかった。ハフェルツやツィエクは、所定の位置でボールを受けると、すぐマークにつかれ、下げるか大外かという2択を強いられていた。
左の大外、チルウェルにボールが入ると、大体、ハフェルツが裏抜けをする。その動きもマークされ、それで空いたインサイドレーンをカットインやジルーに当てて使うわけではなく。クロスは、ツィエクとハドソン オドイが入ってこないので、ターゲットマンはジルーのみ。ハフェルツが裏抜けするので、縦に突破するスペースもない。といった感じで停滞した。
より可能性があったのは逆の右サイド。こちらはツィエクが裏抜けせずに、外に流れたり、降りてきてボールを受けに来る事が多かった。それにより、使えるスペースは比較的広かった。そのスペースを使い、ハドソン オドイが縦に裏抜けしてボールを受けるシーンが何度かあった。これは、相手のWBが彼に時間を与えたくないのを逆手にとったこと、ボールの出し手が、ツィエクとジョルジーニョという優れたパサーであったことも、繰り返された要因だろう。また、右サイドからのクロスにはハフェルツやチルウェルも反応しており、惜しいシーンも作れていた。
選手が移動して数的優位をつくったりすることはせず、ブロックの外でボールを回してる時間が長く、それほど決定機は作れずに前半を終える。
ここからは後半のチェルシーについて。前半より攻撃的になったというのが結論。積極的に前に運び、狭いところを使い、ボールを速く大きく動かし、ワンタッチを使い、相手を動かすことが出来ていた。その動かして空けたスペースをより使えていた。ランパード・チェルシーではみられなかったローテーションアタックもみられた。
開始早々、前半でよくみられたハドソン オドイの裏抜けからチャンスを作る。しかしその後はその形は見られず。WBがセメドになったことが主な要因だろう。そう考えると前半はエイト ヌーリの対応に問題があったのかもしれない。
攻め続けるチェルシー。77分にはチルウェルとジルーを下げ、プリシッチとエイブラハムを、83分にはツィエクを下げ、マウントを投入。攻撃的な選手を増やし、前の選手をフレッシュにする交代。これでチェルシーの勢いが収まることはなかったが、得点することはできなかった。
特に、マウントはキレキレであった。最後のコーナーキックでもハフェルツにピンポイントで合わせるボールを蹴っていた。彼がより早く投入されていれば、得意のコーナーキックから得点できていたかもしれない。トゥヘル内で彼の評価は変わっただろう。
・蘇ったウルブズの3バック
新たな血が流れたチェルシーとは対照的に、古き血が蘇ったウルブズ。久しぶりの3バックは、相変わらず強固なものであった。
大外の選手にはWBが素早くチェック。ハフェルツやツィエクには主にボランチが。彼らが間に合わない時は、CBがチェックに行っていた。チェックに行って空けたスペースのカバーも怠ることなく。このカバーが出来るか否かが、ウルブズの3バックと4バックの守備力の差であろう。また、ボランチ脇で受けたツィエクやハフェルツに、ボランチだけではなく、WGもチェックにいっていたことも、相手にブロックの外で回させたことに繋がった。
ウルブズにはもう一つ戻ってきたものがある。それはCFの存在だ。(正確に言えば、ヒメネスは未だに離脱中であり、戻ってきたという訳ではないのだが。)
72分に投入されたウィリアン・ジョゼは、コンディションは決して万全ではなさそうだったが、ポストプレーなど、ポジティブトランジションの中で魅せたプレーは、ヒメネスが離脱してからなかなかみることが出来なかったプレーである。
彼の存在や、時間が経つにつれ前がかりになるチェルシーの裏をつき、ウルブズも決定機を作る。しかし、こちらも決めることは出来ず、スコアレスで試合を終える。
〇終わりの一言
初陣は引き分けに終わったトゥヘル・チェルシー。PSG時代より実力差がなく、守備の固いチームが多いプレミアで、魅力的なタレントを用いてどういった攻撃をデザインするのかに注目である。まずは王道パターンを作ること。それから攻撃のバリエーションを増やしていくこと。これらをどれだけ早く仕込めるかによって、解任される前にフロントの信頼を得られるかどうかが決まるだろう。
久しぶりの3バックで臨んだウルブズ。概ね満足のいく内容だっただろう。問題は得点力。そもそも得点力不足を懸念しての4バックだったと思うので、格上相手以外ではまた4バックにするかもしれない。しかし、WBA相手にも守備が崩壊する程度の守備力なら3バックの方がマシであろう。何はともあれ、ウィリアン・ジョゼの加入による得点力不足の解消を望むばかりだ。
少々長くなってしまいました。今回はここまで。あざした!