まじめな時間
記事に興味を持っていただき
ありがとうございます。
今回は「まじめな時間」
という漫画を紹介していきます。
この漫画はアフタヌーンで連載され
2巻で完結しています。
作者・清家雪子先生
作者の清家雪子先生は
映画「秒速5センチメートル」の
コミカライズでデビューされています。
その後「まじめな時間」では
アフタヌーン四季賞を、
「月に吠えらんねえ」では
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を
受賞されています。
あらすじ
主人公の植村一紗は
ある日とつぜんの交通事故で
死んでしまいます。
幽霊となった一紗が混乱していると
幽霊の世話役をしている
酒井久時から死後のことを教えられます。
一紗は死を受け入れられずに困惑していると、
親友であり告白一歩手前だと思っていた
鳥居光晴の好きな子が自分ではなかったと
知ってしまうのでした。
しかも光晴が想いを寄せている
岡部蘭子は霊感が強く、
幽霊となった一紗たちの気配を
感じ取れる唯一の存在だったのです。
自分の死後にいろんな人の気持ちを知り、
天に召されるまでの間に
一紗がいったいどんな行動を起こすのかを
描いています。
見どころ
この物語には主要人物が3人います。
1人は主人公の一紗。
幽霊としてまだ存在しているのに
友達や家族の中では自分がもうすでに
死んでしまっていることに葛藤します。
2人目は光晴の好きな人であり、
一紗が唯一干渉できる相手でもある岡部蘭子。
自身の霊感にずっと悩まされて
消極的になってしまっています。
そして3人目は一紗の母。
娘の突然の死を受け入れられず
立ち直れないため
心身共に疲弊してしまいます。
この3人がどう関わって
どんな変化が起こるのかが
この漫画の見どころです。
本来であれば幽霊となった人は
生きている人に干渉できず
自分の気持ちを整理するしかできません。
しかし一紗は立ち直れない母親を
なんとかしようと奮闘し、
生前には関わりのなかった蘭子にまで
大きな影響を与えます。
その姿は破天荒で多少強引ですが、
一紗の人柄をとてもよく表しています。
当然私は生前の一紗を知らなかったのですが、
死後の葛藤や行動から楽しい学生生活を
送っていたんだろうなと思いました。
そしてその様子は物語の結末で
母親の口から語られます。
たった2巻でたくさん人物の心理描写があり、
無駄なくストレートに
メッセージを受け取れる感動作でした。
何度も読み返していますが最後のシーンでは
いつも涙が出てしまいます。
死んだ後という難しい題材ですが
主人公がどんな人生を歩んできたのか、
家族や友達がどんな生き方をするのか
といった「生きる」ことを描いている
漫画だと思います。