子どもの性で想うこと
日本という国はもの凄く大切なことなのに性教育と死生観についてはどちらも避けられてしまう題材となってしまっています。故に、定まった概念は定着せず、ここぞの時に迷いしか生じないように思えます。表に出せなければ裏に隠すしかない。隠すと余計に表には出せなくなってしまう。であれば、その道の、それなりの人が、淡々と正しきお話を、ちゃんと表に出していく方が良いと思えます。
だって、これはどちらも人の尊厳の問題なのですから。
解剖生理学で細胞や受精の複雑さを知って頂き、妊娠という壮大な宇宙の営みに想いを馳せ、受胎から出産という御業を経て、貴方がこの世に誕生するのだということに感動して頂きたいものです。仕組みと確率を知ってしまうと、妊娠する方がどうかしていることに気づくでしょう。そのどうかした仕組みと確率の果ての存在が「貴方」なのです。
その貴方は両親の性行為により育まれました
もはや、受胎という神の御業へ至る道が性行為であり、その大切な神器が生殖器であるという認識にしてもいいように思えます。ですから、生殖器(神器)は見知らぬ人ばかりか、親兄弟姉妹従兄弟従姉妹友人知人に対しても無闇に人に見せるものではなく、無闇に触らせるものではありません(それは逆にも言えることです)。ましてや、恥ずかしいところではありません。大切なところです。
性被害の7割超が知人や身内だという事実もあるように、大切なところをどうにかしようとする人へ、ちゃんと拒めることも大切です。
ですから性教育というものは、「生殖器は極めて大切なところである」ことを幼い頃から伝えていけば良いと思うのです。子どもはキャベツからは生まれないし、コウノトリも運んでは来ない。パパとママがとっても仲良しになった事で生殖器を交わい合わせ、貴方はママのお腹に宿ったのです。
そして、それは全人類が必ず通るであろう道であることも伝えていかなければならりません。思春期を迎えると二次性徴の変化を来しますが、これも事前に伝えておく必要があることです。どうしても性別的に経験できない部分があるため、具体的な対処方法(月経/射精)については、女の子にはママから、男の子にはパパから伝えることになろうと思います。
性に関する一般知識は性差なく伝え、異性に何が起こっているのかを知らなければ相手に寄り添うことはできないでしょう。相手を理解する基本は、相手に何が起こっているかを知ることからです。さすれば、「イラついてるね、生理?」などという言動も激減する方向性になると思われます。
これら全てのことが命を育み、命を繋ぐ大切な知識なのです。そのスタンスを崩さなければよいのです。月経も射精も決して恥ずかしいことではありません。大人への階段です。恥ずかしいという概念が、恐らくは最悪でしょう。恥ずかしいから隠すのと、大切だから隠すのとでは、全く意味の異なることです。
放って置いても知ることですが、ネットで調べたアダルトビデオの「見せるための性行為」が普通だと思われてしまっては、性の大切さが損なわれてしまいます。これも「本当は大切なことなのに、それでお金儲けする人がいる」という事実も伝え、「実際はこうではない」と伝えた方が良いと思います。
初潮から妊娠可能な身体になることを知らない女性がいるようですし、正しい避妊の方法も知らず、望まぬ妊娠から誰にも相談できず悲劇の扉が開くこともございます。特に女性の場合、堕胎は身体への負担が大きいです。正しい性の知識は自分の身を守ることにも繋がるということですので、特に知って頂きたいところです。
学校で教えないという事は教育委員会も腰が引けているということであり、文部科学省も同様であるからして、もはや家庭で伝えるしかないのだという覚悟をいたしましょうぞ。我々医療人が少しでもお役立てできるように講座を開いていこうと思います。