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些細なナンギ(3)入力問題

【2022.7.6追記】コトバは、1)人と人の、2)コミュニケーションのツールである。という考え方が、根拠のない当たり前として、いろんな議論の前提となっていることに、違和感を覚える。コトバが私たちのツールなのではなく、実は、私たち人間こそがコトバのツールである。といった見方だってあり得ると思うのですがそれはさて置き。
私は、コトバが関係するコミュニケーションを上記の『1)人と人の』に限定する者ではありません。


 写真のバッジを着けていると、日本語にあまり自信のない人も道などを気軽に尋ねやすいようなので、時間に余裕があるときはなるべく着けて外出するようにしている。 

 さて先日、学校が休みなので大阪の友だちを訪ねて来たんだけど……という留学生から道を尋ねられた。
「ここ行きたいです」
と、いきなりスマホを差し出されたので見て良いものか一瞬迷った後覗き込んだ画面には、彼女の友人の手書きメモと思われる写真が表示されていた。のですが、ン? 丁目番地の算用数字とハイフン以外全部漢字だ。漢字圏の人ではないので、かなり頑張って書いたんだろうけど。
「読み方わからないからGoogleマップ使えません」
 私もその住所の正確な場所を知らなかったが、読み方は知っていたので、Googleマップの指示に従って、無事、彼女を目的地付近まで送り届けることができた。

 読み方がわからないと入力できない(こともないんですけどね。でも、漢字圏以外の非母語話者にとっては、多くの場合難しいだろう)言語。。。これは、些細ではないかも知れないナンギです。特に地名は、日本語母語話者にも正確に読めない場合がむしろ当たり前であったり。
 スマホやパソコンに、誤変換されたテキストを入力したのでは、頓珍漢な検索結果しか得られない。じゃ音声入力にすれば良いじゃん。という単純な話でもない。音の種類が少なく同音異義語の多い日本語の場合、音声入力でも問題が起こりやすい。何せ、汚職事件とお食事券_誤解のないようニュース等では「しょくじけん」を使う場合が多い_が同じ音だったりする世界でも珍しい言語なので。

 画像の中の文字(手書き含め)を読み取り、テキスト化するといった技術も実用化されつつあるようですが……。クセ字、ヘタな字、汚い字、乱暴な字を正確に認識してもらえるかというと、これはもう、未来永劫限りなく不可能に近い気がしつつ。
 日本語のナンギな特性について理解を深めながら、そこを何とかしてくれるデバイスとの付き合い方を、継続して考えていきたい。

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