挑戦。
いとこの結婚式で、急遽写真を撮ることになった。
依頼は式の2日前。
そんな無茶な、どう考えたって依頼が遅すぎる。
そういう家系なので無茶な依頼は珍しくないけど、さすがに今回は焦った。
なぜかというと、手持ちのレンズは焦点距離50mmの入門用単焦点レンズがひとつだけ。
友人でズームレンズ持ってる人を当たったけど全く捕まらず。
こんなので引き受けて良いのか?と悩んだ。
それでも撮ろう、と思えたのは、幡野さんのワークショップに出てたから、かもしれないな、と思う。
写真のワークショップ
幡野さんには以前、自分の写真を撮ってもらってる。
出来上がった写真が初めて送られてきた時の感動は今でも覚えてる。
なんであの状況でこんな写真が撮れるんだろう?
写真ってすげえな、と心から思った。
それ以来、いつか写真を撮りたい、と思いながら数年。
たまたま友人とカメラの話になり、その勢いでミラーレス一眼を買った。
ただ撮るのも楽しかったけど、やっぱりあの時の疑問は解消されないままだった。
そんな時に、幡野さんのワークショップのお知らせを見かけた。
人気がありすぎて、夜に公開されて翌朝には売り切れてる。
何回か逃して、公開時間ジャストを狙ってようやく申し込めた。
普段ライブとかにも行かないので、こんなことをすることは滅多に無い。
ワークショップは、期待以上のものだった。
すぐに使える技術的な話から、いい写真とは?という心構えまで。
幡野さんの写真はだから良いんだ、と数年来の疑問が解消された。
その時の(それ以外の場所でも見かけたことがあると思う)言葉で、ヘタだけどいい写真を目指そう、という話があった。
あと、撮る人の関係性が写真に出る、ということ。
写真を撮って、と頼まれた時、瞬間にヘタだからなあ、と思った。
まして、普段人は撮らない。植物とか建物とか、静物ばかり。
何なら苦手意識まである。
それでも良いんだ。
そして、子どもの頃から一緒に遊んだいとこ同士だから撮れる、逆にプロには撮れない写真もあるんだ。
その言葉を思い出して、撮影依頼を受けることにした。
写真を撮る、ということ。
幡野さんの言葉で、これだけは結婚式中に守ろうと思ったもの。
写真を撮る時に声を掛けない、というものだ。
結婚式なので、いつもよりは撮られることに慣れてもいるだろうけど、それでも緊張はする。
もちろんカメラなんて構えてるので、撮って!と頼まれることもあるんだけど、後から見返すとその写真はどことなくぎこちない。
正確には、撮って!と言った人は良いんだけど、一緒に撮ることになった、つまり巻き込まれた人のいかにも巻き込まれました感、が出てしまってる、みたいな。
何なら俺もその人と会うの2回目だっけ?くらいな感じなので、まさに微妙な関係性がうまく撮れちゃったなあ、なんて思ったりして。
そんなこんなで全体で700枚くらい通して撮って(これが多いか少ないかは正直分からない)、現像したのが150枚くらい。
現像で写真って本当に変わるな、と実感した。
今回特にズームレンズでは無かったので、「引き」で撮らざるを得なかった。
でも、それを後でトリミングすると、自分でも思わなかった撮れ方をしている。
そうすると、ダメだなー、と思った写真が、意外に良いかも?に昇格したり。
思い切って切り取っても、素人目には思ったより画質が落ちなかったので安心したり。
ピント合わなかったなーと思ったけど、逆に全体を明るくして雰囲気だけ残してみたり。
これは写真、めちゃくちゃ面白えな。
全然上手くは出来てないんだけど。
それでも、面白い。
そして、現像しようと写真を見返すと、色々思い出す。
たった1日前の事でも、結構人は忘れるものだ。
この瞬間に見ていたこと、感じていたこと、被写体との関係性、ぎこちなさも含めて、その一部を記録する。
全部じゃない。
でも、その一部で十分、撮った人、撮られた人は、ああ、あの時はめっちゃ緊張してたなあ、とか、自然に想い出が想起される。
正直今まではスマホでもほとんど写真を撮らなかったけど。
写真っていいな、と改めて思った。
それを教えてくれた幡野さんと、機会を与えてくれたいとこに改めて感謝を。
勇気を持って、挑戦してみて本当に良かった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?