「RRR」に学ぶビジネスの新ルール
昨日、話題のインド映画「RRR」を観に行った。
この映画、時短だタイパだと叫ばれるこの時代になんと3時間という長尺だ。
短気な自分にはとても耐えられそうにない。
きっと2時間を経過した頃には、場内にいる全員に白いタンクトップを着せて「ラララ・ライ!」とリズミカルに先導して劇場を後にしてしまうだろう。
そして、そのまま渋谷のスクランブル交差点を通過して鳥貴族で乾杯だ。
そう思っていた。
しかし、だ。
私はシートにグルグル巻きにされ敵のアジトに監禁された主人公のように全く動くことが出来なかった。
果たして、この映画の何がすごいのか?
今日は、ビジネスと絡めて解説したいと思う。
結論から言おう。
この映画の魅力はズバリ"雑"さにある。
とにかく物理の法則を無視し続ける演出。
が、
それが良い!
ストーリーだってご都合主義どころの騒ぎではない。
が、
それで良い!
そんな雑さがまるでノーヘルでバイクに乗っているような疾走感を作り出すのだ!
「細かいことは良いじゃない。楽しければ!」
そんな監督の声が聞こえてくるようだ。
これぞ雑(ザッツ)エンターテイメントだ!
例えば、主人公の2人が肩車をして戦うシーンがあるのだが、撮影現場はきっとこうだ。
「監督!合体ロボみたいに2人に肩車させて戦わせたらカッコよくないですか?」
「うむ!確かに!じゃあ、1人足をケガさせちゃおう!」
「さすが監督!そうしたら肩車する理由が出来ますね!」
「その通り!」
「でも、そのままだと次の展開に困りますね・・」
「うむ。じゃあ、足のケガは薬草ですぐに治そう!」
「でも監督・・薬草はさっきも解毒剤として…」
「しっ!」
「え!?」
「細かいことはいいじゃない!楽しければ!」
「ですね!」
きっとそんなノリで作られている。
「撮りたい画がある。」
そんなパッションを理屈よりも優先する勇気。
当然、全編ツッコミどころは満載だが
「そんな野暮なことを考えるのはやめよう!」
そう思わせるだけのパワーがある。
中でもダンスバトルのシーンは映画史に残る名シーンで、脳内に無造作に手を突っ込んで強引に笑顔のスイッチを押されてしまう。
私は思った。
これはビジネスでも同じことが言えるな、と。
日本人は、あまりにも「マーケティング」だなんだと論理的思考を信奉し過ぎた。
会議でもビジネス用語のマウント合戦だ。
その結果、感性や情熱や直感を非論理的だと殺し続けてしまったのだと思う。
しかし断言しよう。
もはや論理的思考だけでは勝てない時代なのだ。
AIを使えば誰でも100点が取れるようになってしまった。
全員が取れる100点には何の価値もない。
それよりも100点を超える0点を目指すべきだ。
かつて「氷が溶けたら何になる?」という理科の問題に
「春になる」と答えた女の子がいた。
それこそが100点を超える0点の答えだ。
その0点には価値がある。
私たちはそこを目指すべきであり、それは論理の先にはない答えなのだ。
長くなったので締めよう。
RRRにこんなシーンがある。
それは家族で食事をする風景。
「こら!また左手で食べて!」
「だって、この方が早いんだもん!」
私はこの何気ないシーンに監督のメッセージを受け取った。
「もっと自由になろうよ!」
そして
「失敗したって良いじゃないか。
また薬草で治せばさ(笑)」と。