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欲望と台湾人マッサージ師
こちらテネシー・ウィリアムズのお話とは関係ございませんが、ひとつ共通とも言えなくもないのは、運命のマッサージ師に出会えたという事かもしれない。
いつものマッサージ店。前回は、体をほぐしてもらった時の力が強すぎてリラックスできず、あまり術後の感じが良くなかった。今回はそのフィードバックをしたうえで、足裏&体の1時間コース。足裏はいつも通り良かった。年齢は分からないが、男性マッサージ師がぐいぐいやってくれる。熟練の技だ。お腹がキュルキュル鳴りっぱなしだった。(リラックスするとそうなるらしい)。
そして体。触った途端に固い、と言われるのはいつもの事。どちらかというと、だからマッサージ来て良かったね、という営業トークのようなものと思っている。
声からすると50、いや、60代の女性だろうか。頸椎あたりを2,3回触っただけで「水分を取っていない。これは良くない。」
(え…水分…。首の骨でわかるの…?っていうか、ここ来店してすぐに出してくれるお茶が今回なかったんだけど、そのせいじゃなく?)
頸椎の別の骨を触って更に一言。「曲がってる。」
めっちゃ痛い…。
それからありとあらゆる技で体がほぐされていくのだ。気持ちイイ/痛い/気持ちイイのサンドウィッチ弁当特盛り。今すぐ彼女にすべてを告白して全裸になりたい。
極めつけは、「首の…やる?」
(なんかよく聞こえなかったけど、この人にやってもらえば更に良くなるに違いない…!)
はい、って答えた後、数秒後。あ、あれか、首ゴキ!ってやるやつか…!
やっぱ、大丈夫かな…首だし…と思い直した時にはすでにマッサージ師は準備に入っている。そして固定するために、彼女は私のマスクの下からするりと指を入れて顎を手で包むのであった。(この感じ、ちょっと下着の横から手をつっこまれるのと似てない?と一瞬思ってしまった。いやん。)
……ゴキッ!
………ゴキッ!
良い音頂きました。
もうすぐ時間だな、あたりから考えていた。次回も絶対この人にやってもらいたい。名前聞こう。名前。この店みんなマッサージ始める前に名乗らないから。宋さん、鄭さん、とかなら下の名前も聞いとかないと、同じ苗字の人と間違えたら大変だわ。
「あの、今までで一番良かったので、お名前は…?」
「あ、ワタシ?ゴバン。みんなバンゴウね。」
ご、5番。名前じゃなく番号。。。こんな運命のマッサージ師に出会えたのに…名前を教えてもらえないなんて…(でも多分間違えがないし、覚えやすいといえば確か。)
そして彼女は衝撃の一言を放った。
「来週木曜日、国に帰るから、いない。」
えええええー------!!!今までで一番の、運命のマッサージ師に出会えたのに…(2回目)、いなくなってしまうなんてー--!!!!まるでめくるめく快楽の時を過ごした後に、本当の名前も告げられず一生会えない…
忘れられないヤリ捨てられ体験みたいなもんではないか!!!
チーーンと沈む私に救いの手が。
「2か月後、戻ってくる。スタッフが足りないから。もう帰りたいんだけど。だから7月ね。」
7月!7月に5番ともう一回ヤレる!(本人はあんまりその気じゃないけど!)
私の心は沸き立った。「荷物がメンドクサイね。。もう一回やらないと…。」と後ろでブチブチつぶやいているのを聞きながら、今はコロナ禍、検疫とか、帰国後コロナにかかるとか、一体何が私たちのこの契り(勝手に契るな)を阻むのか気が気でならない。神様、どうか彼女や彼女の家族がコロナにならないようにしてください。お願い。
帰り道、来る前とは全く違う世界であることに衝撃を受けた。なんとなくぼやけてみえていたのが、はっきりとクリアに見える、そして何より肩より上が驚くほど軽い、すっきりしている。すごい!やっぱ、あの人すごい!!!
こうして私はセフレ沼…いや、彼女のマッサージにハマっていくのであった。乞うご期待!
Photo by Romina Farías on Unsplash