人生を諦めないでいられたらー金曜ドラマ「イップス」感想ー
*本投稿はフジテレビ系金曜ドラマ「イップス」第1話のネタバレを含みます。ご覧になる際はご注意ください。
お久しぶりの投稿になってしまいました。
もうタイトルそのままなんですが、、、面白かったんです。
なんというか、深夜ドラマのようなノリを感じるというか、、、
久しぶりに、程よく軽く、程よくのめり込んでみられるドラマに出会えた印象です。ミステリーにもコメディにも振り切っていないテンポ感も好きですし、クラシカルで怪しげなBGMも雰囲気あって良いですね。
さて本作品、基本的には、事件が起きて、人が死んで、警察が来て、捜査が進んで、最終的には犯人を追い詰めて、、、という王道ミステリー展開なんですが、そうでありながら、それが主軸ではないんだな、というのを随所で感じました。
事件自体は動機も含めてとてもシンプルですし、どんな事件が起きるか、どう殺すか、犯人が誰か、最初に全部公開しちゃってますもんね。
それなのに、それだけ全てをオープンにしておきながら、1時間強ちゃんと面白いというのが、このドラマのすごいところだなと感じました。
森野さんとミコさんの会話劇が面白いのは勿論なんですが、2人の内面性(イップスという共通点含め)と事件が綺麗にリンクしているようにも感じたんですよね。
特に、「人生はいつからでもリスタートできる」という無責任にも聞こえかねないセリフ。
イップスを持った2人だからこその説得力、というか。
敏腕刑事や、ポジティブな売れっ子作家みたいな「成功者」に言われたら腹が立ちそうなセリフですけれど、2人は何の保証もないその信念に懸けて、今の自分と向き合おうとしているわけで。(森野はそういうクサいセリフは嫌いそうですけれど、志は結構真っ直ぐな人に見えました。)
そういう、なにかを抱えている、完璧ではない2人だからこそ、犯人さんを説得するシーンにも深みが出るんだろうな、と感じました。
もちろん、はたから見た2人は「成功者」なのかもしれませんし、犯人さんにもそう映ったかもしれません。
でも、証拠を基に犯人さんを追い詰めて、自白させて終わり、じゃなくて、ミコさんの言葉は、「殺人」を選んでしまった犯人さんに寄り添って、その人のこれからを救うために話しているような、そんな感じがしました。
ただの謎解きドラマではなくて、2人の人間性そのものがドラマの味噌というか。「道」を一度逸れてしまった2人だからこその大胆さと、その孤独感を知っているからこその優しさが、とても魅力的に映りました。
そんなこんなで、もう少し軽く笑いながら見るドラマなのかもしれませんけれど、結構色々人生について考えながら見てしまいました、、、(苦笑)。
特に金曜の夜に「人生はいつからでもリスタートできる」という言葉は染みるというか。そうなのかな、そうだといいな、と思ってしまって。
1週間色々あって、もう駄目だと思っても、ドラマの中では「駄目じゃない!」と己を鼓舞して頑張っている2人が見られるわけですよね。
それってすごく救われるな、と思います。
まさに、「金曜ドラマ」である意義、というか。
第1話がこれだけ面白くて、2話以降がどういった展開になっていくのか、ワクワクと不安が半分ずつという感じですけれど、とりあえず、しばらく視聴を続けてみたいと思います。
今日はこの辺で。