39、CCC増田宗昭さんの企画力
師匠・増田さんからは、書ききれないほど多くのことを教えてもらいました。
顧客価値の考え方や「1、3の法則」「理屈は感情にしてやられる」など、僕がMBAで講義をする時に使わせてもらっているキーワードも数えきれません。
そんな中でも、やはり増田さんを一番表しているのは「企画力」だと思います。
増田さんはCCCを「ビデオレンタルチェーン」とは呼ばずに、「企画会社」と言い続けていました。
この企画力を生み出している要素は2つあると僕は思っています。
ひとつは、ビジネスの芯を見抜く視点。
いくら熱い思いがあっても、無理筋のビジネスは努力対効果が見込みにくい。
例えば。
「2泊3日で500円のレンタル料。月30日だと5000円の収入。1万円でビデオを購入するとすれば、月50%の金利収入と同じこと」
レンタルビデオの構造をこういう観点で見抜き、
フランチャイズというBSが軽い形で事業拡大して行った事業企画は
なかなか思いつかない。
その後の人口マップによる出店計画や、3000万人会員化とデータ活用、Tポイントと、一度聞いて「あ、それ、行けそう!」と瞬時に思える事業企画ばかりだった。
ふたつ目は、元アパレル出身という点からくる「見せ方の旨さ」。
抜群にセンスが良いのだ。
今でこそ、スティーブ・ジョブスのプレゼンスタイルを真似する経営者が増えてきたが、増田さんはそのずっと前から、最高のプレゼンテーターだった。
大企業の社長が、ふらっとTシャツとジーンズで現れる。
見事にビジュアライズされたパワーポイントで行うプレゼンは
聞く人を魅了し、その世界に巻き込んでいく。
僕よりも一回りも年齢が上の方が、こんなプレゼンするなんて本当に驚かされた。
この2つの要素が相まって、増田さんの企画力は
芯も食っていて、かつワクワクを感じさせてくれた。
「理屈と感情」、 この2つを併せ持っていたことが
増田さんの凄さだったと僕は思う。
「仕事を楽しむ整える力」