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方程式16 粘り強さと受けないギャグ 菅沼比呂志さんの巻
キャンパスマガジン「Kiッカケ」の編集長時代、並行して渋谷にクリエイターを応援するスペース作りを進めていた。
その名前はガーディアン・ガーデン。
リクルートブックを届ける大学生との接点を増やし、学生の生の生態を理解して、リクルートに親近感を持ってもらおうという狙いに加え、リクルート事件で地に落ちたイメージを挽回すべく、社会貢献的なメセナやフィランソロピーといったことをやるべきという空気で生まれたものだ。
http://rcc.recruit.co.jp/gg/about
場所は、パルコパート3の斜め前、スペイン坂を登り切ったところにある映画館シネマライズの一階。
ここで、アート、写真、演劇、映像、音楽の各分野の若い才能の発掘と発表の場を提供しようという企画だ。
エントリーしてきた学生たちを審査し、最優秀に選ばれた学生(ユニットも可)は2週間、人通りの多い渋谷で個展やライブが無料でできるというのだから願ってもないお披露目の場となる。
審査員は青葉益輝さんや浅葉克己さん、秋山孝さんなど各界で活躍する方々に賛同していただき、力を貸していただいた。
そのガーディアン・ガーデンを中心となって動かしていたのが菅沼比呂志くん。
リクルートではひとつ下の学年になるので、ガーディアン・ガーデンのオープン前後の組織上の責任者は僕になっていたが、実質的に切り盛りしていたのは菅沼くんだ。
彼の何がすごいかというと、とにかく粘り強い。しつこい(笑)。
ダメ出しされても、OKが出るまで粘る。何度でも行く。
細かな部分まで、納得いくまで仕上げる。こだわる。
例えば、個展を開くことになった学生は、ビジネスなどしたことないから、打ち合わせや約束事、納期や進め方の手順など緩いことが多々ある。
聞いていて、こちらが焦れるような時でも、辛抱強く、相手のペースに合わせて、時に持ち上げ、時にマウントを取りながら、学生の気持ちを掴んでいく姿は恐れ入るものだった。
一方で、審査をしてもらうクリエイティブ業界の大物の方々との対応もかなり難しい。
中には、気難しい大御所もいらっしゃるし、それぞれのクリエイターの個性や考えは全く違うので、審査で意見を擦り合わせるなんて実は至難の技だ。
それを丁寧に、粘り強く、そのスタイルは交渉なのか、説得なのか、お願いなのか、泣き落としなのかわからないが、信頼を得ながらまとめていく。
関西人特有のウケないギャグを折り交ぜながらの彼のトークが、笑いを誘い、場を和ませ、潤滑油になっていたのは間違いない。
菅沼くん自身は頑固で、芯が強いのだが、このウケないギャグで随分イメージを緩和していたし、チャーミングさを醸し出していた。
この「チャーミングさ」、言い換えると「可愛がられる力」「好かれる力」は、ビジネス社会で上手に生きていく必須の力だと僕は思っている。
近年、親父ギャグを言おうものなら、かなり冷たい視線で見られるが、組織における親父ギャグはそれなりの効能があると思う。
もちろん、あまりに寒いレベルだと問題あるが、ツッコミが良ければ寒い親父ギャグもホットに転換できるので、相方次第かもしれない。
何はともあれ、菅沼くんの粘り強さと親父ギャグで、多くの学生と日本を代表するクリエイターの皆さんが、リクルートのために一肌脱いで大きな力を貸してくれるようになった。
僕が今でも親父ギャグを言うのは、この菅沼くんから学んだ技?の影響が残っているということで、周囲の皆さんにはご理解いただきたい(笑)。
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