方程式7、言霊と有言実行
人事の仕事は、人材の可能性を発見し、適材適所に配属し、育てる環境を作るため、人を見る目が養われ、組織運営の方法が自ずと身についてくるのだが、実はもうひとつ大きな副作用もある。
何度も面接で話すことで、なりたい自分を確認し、自分自身を洗脳してしまうことだ。
採用面接で学生と話していると必ず 「樫野さんはどうしてリクルートに決めたのですか?」
「リクルートはどこを目指しているのですか?」
「樫野さん自身は将来、何を目指しているのですか?」
こんな素朴な質問を受ける。
最初は漠然としたイメージや、緩い目標を語っていたが、それに向き合って真面目に答えているうちに、イメージはどんどん具体的になり、話す回数が増える程、強い思いになってくる。
話す中身がブラッシュアップされていき、 誰が聞いてもかっこいいストーリーに仕上がっていく。
それを真剣にやらないなんてあり得ない。
あとは自分がやるかどうかだけ。 「だったら絶対チャレンジするでしょ」と自分が洗脳されていく。
それに、これだけ学生に熱く語って何も動かなかったら、 あまりにカッコ悪い。
もちろん、リクルートにもいろいろな問題はあった。
が、不満を言うのではなく、
たかが新入社員がそれをなんとか改善していきたいと真剣に考える。
出来もしない壮大な夢を語るうちに、出来そうな気がしてくる。
そして、実現に向けて努力を始める。
創業者の江副さんの経営理念や意思決定プロセスを学生に話すうちに、 いつの間にか僕の視点も江副さんの視点に近づいていく。
こういう状態になれば、それは「雇われた社員」ではなく
経営について当事者意識を持った「ミニ経営パートナー」だ。
これが、江副さんの「社員皆経営者主義」なんだと思う。
言霊とはよく言ったもので、耳で聞き、口にして、反芻することで、
信念になっていく。
だから言葉にすることの重要さをわかっている人は、
不言実行ではなく有言実行で自分を律し、奮い立たせて頑張っている。
有言実行。僕もこのやり方で行くことに決めた。
楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!