名プロデューサーの要件
山崎貴監督「ゴジラ−1,0」が邦画で初めて米国アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされました。
昨年末に亡くなったプロデューサー阿部秀司さん(「踊る大捜査線」などを手掛けていた株式会社ロボットの創業者・代表取締役)も、さぞ喜んでいると思います。
実は、山崎貴さんの初監督作品「ジュブナイル」製作の時、僕もプロデューサー陣の一人に加えてもらいました。
阿部秀司プロデューサーから
「めちゃめちゃ凄い才能がいるんだけど、一緒に映画作りませんか?」
という熱いトークに引き寄せられて、関係者全員で山崎貴さんが作ったCG・VFXを視聴。
確かに、凄いのはなんとなくわかったものの、
このCGやVFXが世界的に見て勝負できるレベルなのか、
相対的評価について僕はわかっていませんでした。
でも、阿部秀司プロデューサーには見えていたんでしょうね。
もしくは、その時点で山崎貴さんが負けていたとしても、
その後の成長できっと追い越すと確信していたのかもしれません。
まだ映画監督として一作品も撮ってない人材に、
約4億円の製作費をかける出資話。
普通は成立しない話です。
でも、集まった各社は「やりましょう」と。
山崎貴監督を後押しする気持ちももちろんあったと思いますが、
「阿部さんが、そこまで言うなら」という部分が大きかったように思います。
仮に、「ジュブナイル」が失敗していたら、阿部秀司プロデューサーの目利き力や信用まで失う可能性がある投資です。
そのリスクを取って周囲を巻き込むところに、阿部さんの凄さを垣間見た気がします。
プロデューサーの要件として新しい才能を見つける事は、多くのプロデューサーが意識している事だと思いますが、阿部秀司プロデューサーのように、「大抜擢する」「周囲を説得するために自分の信用を賭ける」ことができるのが名プロデューサーたる所以でしょうか。
そして、結果を必ず出すからみんなが付いていくのだと思います。