上場会見:ハルメクホールディングス(7119)、シニア女性のニーズを満たす
23日、ハルメクホールディングスが東証グロースに上場し、宮澤孝夫社長が東京証券取引所で上場会見を行った。会社の説明に関する部分を要約した。
50代以上の女性がより良く生きることを応援し、シニア女性を幸せにするという理念の下に事業を展開する。既存のシニア女性向けの商品やサービスが、彼女たちのニーズを満たしていないというギャップを埋めるために、情報コンテンツと物販、コミュニティの3事業を手掛けている。
■特異な存在に
情報コンテンツ事業は、月刊誌「ハルメク」とWebメディア「ハルメク365」(有料)を提供する。物販は、自社開発の商品をECサイトやカタログ、店舗で販売して直接顧客に届ける。コミュニティ事業は、イベントや講座、旅行を提供し、オフラインとオンラインのハイブリッド形式で開催する。これらは全て直販モデルで、顧客と直接繋がっている。また、「ハルメク」は、過去5年間で年率26%成長し、昨年上期に国内の雑誌のなかでもナンバーワンになるなど、他の女性誌が部数を減らすなかで特異な存在となっている。
■思い込み捨て、ファン育成
強みの1つ目は、巨大で開拓余地の大きい女性市場を対象にしていること。シニア女性は女性人口の50%以上を占めている。介護や有料老人ホームなどのケアシニア市場はメインのターゲットではなく、アクティブシニア市場やプレシニア市場に焦点を当てている。健康状態が良く、若い年齢層を対象としている。成功している競合が少ないため、非常に魅力的なブルーオーシャン市場であると言える。
2つ目は、シニア女性のニーズや欲求を理解し、先入観を持たずに彼女たちに合ったビジネスを行うことにある。自社の過去の失敗から学び、顧客の声を集める仕組みを作り、アンケートを取る、彼女たちの生活状況を把握するために実際に訪問するなど、積極的に理解を深める。思い込みを捨てることをモットーにしている。
3つ目はロイヤリティの高い顧客ベースを持ち、単なるユーザーではなくファンの育成を重視する。顧客育成のプロセスを3段階に分け、情報コンテンツ、物販、コミュニティの事業が役割を持ち、連動して相乗効果を生み出すことを目指している。具体的には、尿漏れの悩みを抱えるシニア女性向けの記事と体操を提供し、骨盤底筋ショーツを開発・販売する。各事業の連携でファンを増やしていく。
■柱を増やす
今後は、ネットで情報を集める人が増えていくことに備えて、ハルメク365を伸ばしていく。また、物販については、他社ブランドとのコラボレーションや、競争力の高い商品の独立事業としての展開を考えている。
さらに、シェアリングサービスや、現状で2万人ほどが利用しているコミュニティ事業の拡大も検討する。顧客が顧客を呼びエンゲージを高める効果が期待できる「自己増殖する仕組み」も導入したい。加えて、ヘルスケアや終活などのサービス分野への進出も目指している。
■財務状況
売り上げと営業利益、当期純利益とも増加しており、今期予想は売上高285億円、前年対比で13%弱の成長を見込む。営業利益も20億円で前年比で13.5%と大幅に伸ばすことができている。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]
※ 会見の質疑応答部分はリンク先でお読みいただけます。