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全身硬ッテ力ナシ
全身硬ッテ力ナシ
何トカ湯俣迄ト思フモ有元ヲ捨テルニシノビズ、死ヲ決ス
我々ガ死ンデ
死ガイハ水ニトケ、ヤガテ海ニ入リ、魚ヲ肥ヤシ、又人ノ身体ヲ作ル
個人ハカリノ姿
グルグルマワル
松濤明
新編・風雪のビヴァーク (ヤマケイ文庫) https://amzn.asia/d/i8TmpV7
これは、松濤明が1949年に槍ヶ岳北鎌尾根で遭難死した時の手帳に書かれていた言葉である。
何たるポエジー炸裂!最高じゃないか!まるで中原中也!
ちなみにカタカナなのは凍傷で指が動かなくなったから。
実物の手帳は大町山岳博物館に展示されている。長時間ドライブできるぐらいに元気になったら行くのだ。そして普通に元気になったら北鎌尾根から槍ヶ岳に登るのだ。
ちなに、「力ナシ」を悲しと完全に思い込んでいた。この勘違いこそまさに無意識的記憶の真実なのだと言いたいのだが、ずっと「カナシ」の方がより詩的なんじゃないかと思っていた。今はやはり原文の通り「力ナシ」の方がより深く心に刺さる。