K-BALLET TOKYOキャラクター・アーティストのニコライ・ヴィユウジャーニンさんのクラスに参加した感想
Kバレエの公演で王様役やヒラリオン役など、どの舞台を見ても存在感抜群のキャラクテールとして大活躍しているニコライ・ヴィユウジャーニンさんのオープンクラスに参加してきました。
めちゃくちゃ面白いクラスでしたので気になる方はぜひ行かれることをオススメします。
ニコライ・ヴィユウジャーニンさんについて
ニコライ・ヴィユウジャーニンさんはロシアのペルミで生まれ、ロシア国立ペルミ・オペラ・バレエ劇場やリムスキー・コルサコフ劇場で活躍された後、日本のKバレエカンパニーでファースト・ソリストとして活躍され、2015年退団後は現在に至るまでゲストキャラクターアーティストとして活躍されています。
ニコライさんはKバレエ公演の常連で、先日の「ラ・バヤデール」ではラジャ、「ジゼル」ではヒラリオン、「くるみ割り人形」ではクララの父と王様と毎回のように重要な役柄で出演されているため、プロフィールを調べるまで2015年に退団されていたことを知らず驚きました。
退団について触れられているインタビューを読みましたが、さすがバレエ大国ロシア出身だからなのか、バレエダンサーの現実をきちんと理解されているなと思いました。歳を取っても舞台に無理やり上がろうとする多くの日本人ダンサー達と違い、現実をよく見て、バレエダンサーというご自身のキャリアを客観視されているなと印象的でした。
そのような思慮深いニコライさんがどのようにバレエを教えてくださるのか興味を持ったのもクラスを受けた理由の一つです。
ニコライさんのオープンクラスで印象に残ったこと
ニコライさんのクラスで一番印象に残ったことは、ニコライさんが持つ「ロシアバレエへの誇り」です。
バレエの基本的なポーズが美しいだけでなく、筋肉を名指ししながらどこに力を入れるか解説してくださったり、ワガノワスタイルやチェケッティスタイルの違いをお手本を見せながら実演してくださり、日本のバレエ教室で間違えて教えられることも多い部分を丁寧に説明してくださいました。特にバレエでよく出てくるパッセの骨盤の正しい位置を説明し、ヨーロッパスタイルの影響を受け過ぎて位置がずれている生徒には細かく注意していることが印象的でした。
個人的にとても印象的だったのがロシアバレエの美しさとしてよく挙げられる「上半身の使い方」についてです。バーレッスンの時から腕を縦横無尽に動かして、下半身はどっしり安定させながら、上半身を大きく使うよう練習に組み込んでおり、他のオープンクラスでは見ないアプローチだったのでとても興味深かったです。
他にもタンデュでドゥバンをするとき、日本では踵の前に出すダンサーが多いイメージですが、ニコライさんは骨盤の前に出しておりこれがロシアスタイルなのかなと思ったり。
他にもピルエットをする前の足のポジションについて「今のダンサーはこうやってプリエするけど、古いダンサーのポジションはこれ。僕は古いダンサーだからこうする😂」と冗談混じりに昔のロシアのダンサーの踊り方について解説してくださり、家に帰ってヌレエフやバリシニコフの映像を見たら本当にニコライさんの言う通りで面白いなと思いました。
また「怪我をしない」ことをとても大切にされている印象を受けました。クラス前にご本人がずっとシリアスなウォームアップを行なっており、クラス中も何かを行う際はその動きが何のために必要なのか、そこで練習することが後ほど練習する動きにどう役に立つかということを細かく説明して、とにかく怪我を避けるようクラスを進めていました。
最後に、クラスが進むにつれ徐々にジョークが沢山入るようになって、時折大爆笑しながらクラスが進んだのが印象的でした。そんな楽しいクラスに参加しながら以前ニコライさんが「くるみ割り人形」でクララの父を演じられていたときの舞台を思い出しました。ニコライさんと客人役だった大久保沙耶さんはこちらまで会話か聞こえてくるかのようなイキイキとしたした演技がとても印象的で、当時はこの2人の演技が上手だからそう見えたのかもと思っていました。しかしもしかすると舞台上でニコライさんが笑えるジョークを飛ばしていたのかもしれないと思いました😂
Kバレエ出身ダンサーのクラスの特徴
Kバレエ出身ダンサーのオープンクラスはそれまでも何度か受けたことがありますが、とにかく熊川さんの強い影響を受けるダンサーと、自身の個性を大事にするダンサー、という2タイプに分かれる気がします。
前者は「ザ・熊川哲也さん」という感じで、踊り方や服装や雰囲気などをコピーしているような方です。このような先生のクラスに参加した際は「きっと熊川さんがこんな感じでダンサーに接していたんだろうな」と想像しながらクラスに参加できるので、これはこれで面白いです(伊坂文月さんとか)。
ニコライさんはKバレエ出身ではありますが、どちらかと言えば熊川さんをコピーするというよりは、歴史あるロシアバレエを受け継ぐ者というご自身のルーツや個性を非常に大事にしていると感じました。ニコライさんのクラスは彼が長年受けてきたロシアの伝統的なバレエの影響が大きく、生徒にそれを余すことなく伝えようとしてくださったことが印象的でした。良い意味でご自身の個性を持っているニコライさんだからこそ、舞台を見た時にその存在に目を惹きつけられるのかもしれないと思いました。
ご自身がロシアできちんとしたバレエ教育を受けてきたことを誇りにして、生徒に正しいポジションを教え、怪我なく、長く踊って欲しいという思いを感じ、ニコライさんのクラスに参加する機会があって良かったと思いました。めちゃくちゃ楽しかったニコライさんのクラス、ロシアバレエの型も教えていただくことができ、本当に面白かったのでまた参加したいです。