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バレエ感想「ドン・キホーテ」オランダ国立バレエ団(2024年10月26日)

ジョージア出身のギオルギ・ポツヒシヴィリはオリガ・スミルノワが主演した「ジゼル」でヒラリオンを演じ、そのあまりの美しさと格好良さから世界中から注目を集めたダンサーです。
オランダ国立バレエ団には素晴らしいダンサーが沢山在籍しているため、今回どの日程で鑑賞するか非常に悩みましたがギオルギの出演を知り、あのハンサムすぎるヒラリオンを見逃す手はないと決心。しかもキトリはアンナ・ツィガンコワ!実は以前アンナが主演した「くるみ割り人形」のDVDを持っており、素敵なダンサーだと思っていたのでギオルギとのペアを見れるだなんて夢のよう…💕

なんと言っても主演を務めたギオルギ・ポツヒシヴィリ(Giorgi Potskhshvili)が本当に素晴らしかったです!彼が踊ると随所に拍手がおきますし、何かをするたびに観客全員が息を呑んでいました。ギオルギはジョージア民族舞踊の家系に生まれたダンサーということもあってか、エネルギーに溢れ、力強い踊りを披露してくれました。個人的にはジャンプも凄いと思いましたが、手の動かし方が独特で、手首や指先の使い方が個性的なダンサーだなと思いました。

アンナ・ツィガンコワ(Anna Tsygankova)さんもとても良く、日本で40過ぎたバレリーナは若作りをして痛々しい見た目となることが多いのですが、アンナは年齢相応の美しさと色っぽさを出していて素晴らしかったです。バランスや技術的に見せ、音を優雅に使いながら踊っている様子がとても印象的でした。

この2人は幕中でキスしたりいちゃつくなど色気が凄いだけでなく、2人が一緒に踊ると音が見えるような不思議な錯覚がありました。音と踊りがピッタリ一致し、2人だけの空気を作ってそれを客席に伝えており、観客全員が舞台を楽しんでいるのがよく伝わってきました。

さて、昨日も感動したサイドキャストについてですが、26日回もとても良かったです。ドン・キホーテ役のTycho Hupperets、サンチョ・パンサのFrans Schraven、ガマーシュのEdo Wijnen、ロレンツォのBoris de Leeuw等の演技がとても分かりやすく、釘付けになってしまいました。
この舞台は幕が開いて割とすぐにドン・キホーテが出てくるのですが昨日25日は夢見がちな血気盛んな老人という感じだったドン・キホーテが、26日は高潔な理想を追い求める精悍な老人という感じで「なんかキャラクターが変わったな」と思ったら、この日はTycho Hupperetsさんが演じられていました。サイドキャスト達の好演振りがこの日も素晴らしくて、濃密な舞台でした。

さて、闘牛士の中にマントを回すのが上手な人がいて、よく見たら昨年バレエ・アステラスやブライトステップで見た山田翔(Sho Yamada)さん!オランダ国立バレエの闘牛士はピンクと黄色のマントを使うのですが、山田さんがマントを回すと黄色の部分が三日月のようにフワッと客席に見えてとても綺麗でした。
そして綺麗なアントルラッセをする方がいるなと思ったら、今年の夏に光藍社ガラで大ファンになったルカ・アブデル=ヌール(Luca Abdel-Nour)もいる!!柔軟で美しい足捌きに惚れ惚れするだけでなく、演技面でも女性達に目配せしたり、周りを見渡したり、結婚式のシーンでも後ろのテーブル付近で隣の女の子にキスしたり、自分がモテること分かってる闘牛士だ😂

闘牛士達ははガマーシュやドン・キホーテの真似したり、みんな芝居が細かいです。と言うのかこのバレエ団はみんなお芝居が上手で、芝居が上手くないとやっていけないバレエ団なんだろうなと思いました。

セギディリヤには富士山シャツの山元耕陽(Koyo Yamamoto)さんや鈴木蒼士(Sohi Suzuki)さんも!素朴でぺザント感があって、あどけなくて可愛かったです。そして2人とも長身で格好いい!ぜひもっと踊るところを見たいです。

オランダ国立バレエ団「ドン・キホーテ」は実は前日にも見たのですが、ドン・キホーテやサンチョ・パンサ、ロレンツォ、ガマーシュなどのサイドキャストがあまりにも上手で、タイトル通りドン・キホーテが主役なのかと錯覚したほど。踊りはとても美しかったのですが「オランダの観客は踊りより芝居の方が好きなのか?」と心配しながら26日の舞台に向かいましたが、前日とは打って変わって大熱狂でとても楽しかったです。特にギオルギを見るためにオランダに来た私にとっては、この舞台を見れて心から嬉しかったです。

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