バレエ感想㉝「ドゥエンデ(ナチョ・ドゥアト振付)」新国立劇場バレエ団
日本ではコンテンポラリーダンスを見る機会が本当に少ないので、ナチョ・ドゥアトの「ドゥエンデ」をずっと楽しみにしていました。ドゥアトの振付は音楽にインスピレーションを得ているとプログラムにありましたが、確かに音と動きが連動しており非常に興味深い作品でした。
最初の「パストラル」の直塚美穂さんは圧巻でした。音に乗りながらも空間を切り裂くようなシャープな動きがとても印象的で、ドゥアト作品を自分のものにしている様子が伺えました。音を聞きながら直塚さんの動きを見ていると、音が見えるようで、本当に面白かったです。
一緒に踊っていた木村優子さんも凄かったです。とても力強く情熱的で、こんな素敵なバレリーナを知れて嬉しくなりましたし、木村優子さんの踊りをもっと見たくなりました。
中島瑞生さんは甘いマスク持ち両性具有なイメージだったのですが、なんと力強く、男らしいのでしょうか。直塚さんと木村優子さんに並ぶ存在感が印象に残りました。
「シランクス」はさらりと流れ、「フィナーレ」は1部に続き、山田悠貴さんが再登場。3人とも元気いっぱいで、会場を最大限飛び回りながら、踊っているのが印象に残りました。このトリオは動きが不思議で、ドゥアト作品の面白さを感じました。
「神聖な舞曲」は男女3ペアが出てくるのですが、男性陣の中島瑞生さん、西一義さん、森本晃介さんの体の動かし方や音楽へのアプローチが三者三様でとても興味深かったです。力強かったり、伸びやかだったり、振り付けをそれぞれのスタイルで踊りこなしている姿が印象的に残りました。
特に真ん中で踊っていた森本晃介さんはヨーロッパの人気ノーブルダンサーを彷彿とさせるスタイルの良さに加え、不思議な体の使い方をするダンサーで、あとの2人は力強さを表現するためか力を込めていると感じましたが、森本さんは力みがなくとても自然で伸びやかで、音を身にまとって動いているようでした。
どれが正解なのかは分からないけれど、独特の型がある中にもダンサーとしての三者の個性が爆発していて非常に見応えがありました。
今回の選抜メンバーは身体能力が高いメンバーの集まりで、「世俗の舞曲」は圧巻でした。全員が生き生きと踊っており本当に楽しかったです。
木村優子さんなど今まで知らなかった新国立劇場が誇る素晴らしいバレエダンサー達を知れて嬉しかったです。本当に楽しかったので、ぜひまた再演して欲しいです。