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バレエ感想「くるみ割り人形とオーケストラの国」大田区民ホール・アプリコ
大好きなシアター オーケストラ トーキョー、そして二山治雄さんと井関エレナさんのバレエを心から楽しみに蒲田に向かいました!元大田区民としては蒲田駅前図書館など大田区の公共施設のオンボロさは重々承知しているので、どんな舞台だろうと戦々恐々としていましたが、予想に反してとても綺麗な会場でした。
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このコンサートは熊川哲也さんが2005年に設立しK-BALLET TOKYOの専属オーケストラとしても有名な「シアター オーケストラ トーキョー」とバレエダンサー達のパフォーマンスが楽しめるという破格の公演で、今の日本で1番人気のある二山治雄さんと、ベルリン国立バレエ団で活躍した井関エレナさんがバレエを披露するということでチケット発売前から大変話題になっていた公演です。チケットは発売日にあっという間に売れていき、私も四苦八苦しながらなんとか確保出来てホッとしました。
コンサートはシアター オーケストラ トーキョーと二山さんや井関さんの美しいバレエを堪能できるとても素敵な公演でした。
私は音楽については細かいことを判別できる知識はないのですが、シアター オーケストラ トーキョーは大好きなので、今回はバレエだけでなく、音楽も堪能できたことがとても嬉しかったです。
特A.アダンのバレエ「海賊」より”序曲”はさすが熊川さんが設立したオーケストラと言いますか、海賊といえば熊川哲也というイメージなので、オーケストラの気合いの入り方が凄まじかったです。荒れ狂う海を演奏で表現する様子は迫力がありましたし、私の頭の中には熊川哲也氏の海賊が脳内再生されていました。やはり海賊と言えば熊川、という矜持を見せていただいた気分です。素晴らしかったです。
指揮者は齋藤友香理さんが務められたのですが、途中でなぜか司会進行を彼女が引き受け、ドイツ留学時代の「くるみ割り人形」のエピソードを紹介してくださるなどとても面白かったです。
あとコンマスに以前浅川紫織さんのビデオで見たこちらの方が…💕
浜野考史さんというバイオリニストですね。素敵でした。
バレエについて、パリ・オペラ座バレエ団で活躍した二山治雄さんと、ベルリン国立バレエ団で活躍した井関エレナさんはそれはそれは素晴らしく、今回のチケットを取って本当に良かったと思いました✨
二山さんはコンテンポラリーを踊られるイメージが強かったのですが、クラシックもさすがの貫禄で美しかったです。「くるみ割り人形」のパドドゥは二山さんと井関さんに合うように振付が工夫されており、例えば二山さんのジュテ(開脚ジャンプ)や井関さんのデヴロッペ(足を高く上げるポーズ)など、彼らの美しさが堪能できる内容でした。
印象的だったのが二山さんの歩き方で、2幕の「くるみ割り人形」では出てきた時の歩き方が雲の上を歩くような柔らかさがあり、一気に夢の世界に引き込んでくれました。気のせいかと思いましたがコーダで他のダンサーが出てきた時に、一気に現実世界に叩き起こされたのでやはり二山さんは別格だと思いました。
1幕のボレロも骨格を自由自在に操る様子が衝撃的で、肩甲骨ってここまで動かせるのかと驚きました。ジャンプは誰よりも高く足が開くのに足音がせず、本当に妖精のようでした。
井関エレナさんは立っているだけで美しいバレリーナがいると分かるというのか、歩いて出てきた瞬間に「ものすごく上手な人が出てきたな」という印象でした。光り輝く井関さんは別次元の存在感を放っており、バレエは彼女のような美しさを持つ人のための芸術だなぁとしみじみ。身体能力が非常に高く、柔軟性の帝王のような二山治雄さんと一緒にジュテしても全く見劣りしない人は初めてです。このペアはもっと見てみたいです。
私は現在新国立劇場バレエ団で活躍する直塚美穂さんに衝撃を受けて日本のバレエ団を見に行くようになりましたが、井関さんも間違いなく直塚さんに並ぶ日本随一の実力者だなと感じました。体つきも似ていて手足は細くて長いですが、胸板がしっかりしているので衣装が立体的に見え、女性らしい美しさもあります。体の使い方はもちろん違く、直塚さんは体全体をグリッと使うイメージですが、井関さんはもっとつま先を強調する印象を受けました。どちらも素晴らしいですし、井関さんの踊りもこれからも見たいです。現在はフリーとして活躍されていますが、ぜひどこかのバレエ団に所属して定期的に彼女の舞台が見れればと思います。
さて、二山さんと井関さん以外はNBAバレエ団のダンサー達が出演しており、NBAバレエ団はコロラドバレエ団でプリンシパルとして活躍されていた久保 綋一さんが芸術監督を務められており、どんなバレエ団かずっと気になっていました。ただ申し訳ないのですが、NBAのダンサー達は技術力はあるのですが垢抜けず、バレエの発表会の上手なお姉さん達を見ている気分でした。
そんな中で1人だけ良い意味で観客の期待を裏切ってくれたのが、NBAバレエ団ソリストの栁島皇瑶(Yanagishima Koyo)さんです。彼はトップバッターとして海賊のパドドゥを踊られたのですが、足音のしない大きなジャンプが印象的でした。
実はこの会場は床の環境がかなり劣悪で、木の床に薄いリノリウムを貼っただけでしたので、開演前から「これはビッグジャンプは期待出来ないな」と思っていました。少し説明すると、バレエダンサー達のジャンプは着地時の足への負担が凄く、バレエ用の床であれば衝撃緩和のための措置がされていることが多いです。ただし今回のようなバレエ用の床では無い場合は、足への負担も考えてビッグジャンプ(ダイナミックなジャンプ)は控えるダンサーは多いのです。
そんなわけでダイナミックな踊りには全く期待していなかったのですが、栁島さんは登場時から大きなジャンプで観客を驚かせてくれただけでなく、着地を見事にコントロールして足音を抑えていたのが印象的でした。他のダンサーはドッスンドッスン音を立てていたので、栁島さんが工夫されていたことが印象に残りました。
他にも今回の会場はステージの上にオーケストラもいるという状況で、ダンスをするスペースは非常に狭かったのですが、栁島さんが狭いステージで出来る技を考え抜いて組み合わせて見せて下さったことも印象的でした。ただ大技を見せるだけでなく、狭い場所を上手く使って観客に最大限良い踊りを見せようという彼の創意工夫を感じ、とても好感が持てました。
1番大事な方を書き忘れていました!司会進行を務められた松浦景子さんことけっけちゃんはトレパックでサプライズ出演。くるくる回って可愛かったです♡
アプリコでこの公演を見ました✨
— バレエファンの会社員🇯🇵Tokyo Ballet Fan (@TokyoBalletFan) December 22, 2024
1幕では松浦さんが司会でしたが、2幕は指揮者の齋藤友香理さんが代わりに司会となりました。私は「吉本、バレエよりも儲かる仕事入れたんだな。中座とかサイテー」と思いましたが、まさかのトレパックにサプライズ出演でした😲😂
くるくる回るけっけちゃん可愛かった💕 https://t.co/sBGNP2Ywoi
けっけちゃんはNBAバレエ団ソリストの栁島皇瑶さんと踊られていましたが、回転が得意な松浦さんとジャンプの得意な柳島さんのそれぞれの長所がよく見える振付で見応えがありました✨
— バレエファンの会社員🇯🇵Tokyo Ballet Fan (@TokyoBalletFan) December 22, 2024
トレパックが終わったらゼーゼー言いながら司会に戻っていて、バレエがどれだけしんどいか伝わって来ました😲
舞台の最後も「バレエ大好き♡」で締めるなど、けっけ劇場でした😊