バレエ感想㉑「The Artists - バレエの輝き -」
思いがけずご招待の機会をいただき、「The Artists - バレエの輝き -」公演に行ってきました。1&4と3&1に行ったのですが、今回は3&1の感想を。
第1部 The Routine クラスレッスン
3はThe Routineということで普段のダンサー達のクラスレッスンを舞台で行い、ワールドバレエデーみたいでした。ピアニストは新国立劇場バレエ団専属の方で、バレエの音楽も取り入れており、とても素敵でした。そしてバーレッスンの教師、めっちゃ上手いと思ったらなんとベンジャミン・エラ!そりゃ上手で当然ですね。マイクつけてなかったから声はよく聞こえなかったけれど、素敵でした。
アメリカ組とイギリス組が一緒になってやっていたのですが、タンデュの時の顔の付け方とか、細かいところが違い、見ていて面白かったです。
センターではウィリアム・ブレイスウェルの美しさにうっとり。バーレッスンも流れるような美しい動きを見せてくれただけでなく、アダージオで美しいバランスを決め、どんな動きも様になります。ムンタギロフは安定の美しさで、金子さんも伸びやかでとても綺麗でした。
クラスレッスン自体は本当に普通のクラスレッスンという感じで、もっと「魅せる」感じのプログラムかと思っていましたが、本当に通常のクラス内容だったみたいです。そんな中でもサービス精神を発揮して色々見せてくれたのは、ロイヤルのマシュー・ボールでした。バーも最前方で美しい動きを見せてくれただけでなく、センターでもマネージュを決めたり、ジャンプをバンバン決め、観客も思わず拍手。
意外だったのが、ロイヤル組はグイグイ前方に来ますが、アメリカ組はアラン・ベル含め、結構控え目で、バーもセンターもグランジャンプも基本後方にいたこと。ロイヤルのベテラン達よりも目立たないように配慮したのか、それとも控えめな性格の方が多いのか分かりませんが、アメリカといえばグイグイ来るイメージだったので、とても意外に感じました。
今回はクラスレッスンということで、服装もおそらくダンサーがそれぞれのウェアを選んだのかなと思います。ブレイスウェルはウェアもオシャレ。バーレッスンの時は可愛い靴下が映し出され、センターではイッセイミヤケみたいなかっこいい黒パンツで踊り、ジャンプではまた違う格好をしていて、着替えの回数が多かったですw
アメリカ男性チームはみんなグレーのタイツに黒シャツ、ロイヤル男性は黒タイツ、となんだか制服みたいで面白かったです。が、途中誰が誰だかわからなくなりましたw
女性もマリアネラ・ヌニェスと金子ふみさんはグレーのレオタードに黒パンツと、なんだか色合いが似ている方が多く、遠目から見ると誰が誰だか分からなかったので、次はみんな色を変えて欲しいですw
あと女性と並ぶと分からないですが、男性がずらっと並ぶと身長や体格がそれぞれ全然違うのが面白かったです。ムンタギロフは高身長で有名ですが、ABTのアラン・ベルは縦も横もムンタギロフより大きく、逆にマシューやブレイスウェルは10cmくらい小柄。みんな同じようなスタイルだと思っていたので意外でした。ちなみにイケメン度はみんな最高レベルです💕
第2部 The Masters
The Mastersはウィリアム・ブレイスウェルの「薔薇の精」がとにかく美しかったです。第2部は演目の前に出演者のインタビューが流れているのですが、そこで「薔薇の香りを届けたい」とまぁ素敵なことを言っていましたが、ブレイスウェルは薔薇のように美しく、軽やかで優雅でした。こんな綺麗な薔薇の精、夢に出てきたら最高だろうなという感じ。とても素敵でした。
マシュー・ボールとマヤラ・マグリカップルはマクミランの「カルーセル」のパドドゥ。10分ほどのパドドゥに出会い・初恋・別離がギュッと濃縮された作品でした。マシュー・ボール、見た目は正統派ですが、チャラ男も似合う。
NYCBのタイラー・ペックとローマン・メヒアはガーシュウィンの音色に乗せてバランシンの「Who cares?」を踊ったのですが、アメリカのバレエ団が久しく来日しない今日、久々にリズム感豊かなアメリカらしい明るいバレエを見れてとても楽しかったです。ローマンは特に表情の使い方などが独特で素敵でした。タイラーはとにかくリズム感がすごく、体でメロディを奏でているようでした。独特のミニスカートもアメリカっぽくて可愛かったです。
映画「ファースト・ポジション」で有名になったアラン・ベルはすでにABTのプリンシパル。あの小さかったアラン君が立派になって、感涙した観客は多いはず。大人の色気と貫禄もつき、とても格好良かったです。アントニー・チューダーの「葉は色褪せて」は以前どこかで聞いたことはありますが、見るのは初めてです。出てきた瞬間アラン・ベルの衣装がなんだかロミオっぽいとは思いましたが、キャサリン・ハーリンがとにかく美しく、アラン・ベルとのパートナリングは本当に素敵でした。
ムンタギロフと金子ふみさんのシンデレラは、The classic balletという感じでとにかく幸福感溢れる素敵なパドドゥでした。アシュトンの複雑なステップを難なくこなすお二人がすごく、衣装もキラッキラで夢のようなひとときがよく伝わってきました。
最後はマリアネラ・ヌニェスのローズアダージオだったのですが、見せ場のアチチュードでは一切グラつくことも、観客にヒヤッとさせることもなく余裕で乗り切るのはさすがだと思いました。そして4人の王子が超豪華でマシュー・ボール、ウィリアム・ブレイスウェル、アラン・ベル、ローマン・メヒアと全員がプリンシパル!こんなキャスティング、普段ならあり得ないのでガラならではです。
また、なぜだか分かりませんが、王子の衣装が白いワイシャツに黒いスラックスというなんとも現代的な出立。いっそオーロラもスーツで出てくるかと思いましたが、オーロラはピンクのお花がたくさん付いた超・ガーリーなチュチュでした。ヌニェスは意外とお姫様系の衣装が好きなのかな。
さて、4人の王子の内訳はイギリス組2人とアメリカ組から2人で、私としてはネラとアメリカ組がどんなコンビネーションを見せてくれるか期待していたのですが、リフトやアラセゴン、ピルエットなどのサポートは全てマシューとブレイスウェルのイギリス組が行い、アメリカ組のサポートが少なかったのは少し残念な気もしました。慣れているイギリス組と組んだ方が安全安心なのは分かりますが、せっかくのガラなので違う組み合わせも見てみたかったです。
カーテンコールは撮影可でした!これはありがたい!
【バレエの輝き良かったところ】
①ご招待券が充実。
別のチケットを買ったところご招待の話をいただいたのですが、とてもありがたかった。フジテレビがスポンサーについているからか、沢山の層が来ていましたし、来年ももっと色々なチケットを買おうと思いました。
②キャストのチョイスが最高。
久しく来日していないABTとNYCBのダンサーの踊りが見れたことはとても嬉しかったし、ロイヤル組も一流どころを揃えており、メンバーが最高でした。
③プログラムやグッズのデザインがとても可愛い。
人気すぎてプログラムは売り切れたらしいです。プログラムが売り切れなんて初めて聞きました。すごい!
【バレエの輝き改善して欲しいところ】
①バレエに慣れた運営陣を揃えて公演を行ってほしい。
文京シビックはアクセスは悪くないけれど、ジャンプの時に床の音が響くし、途中なのに照明が落ちるなどバレエに慣れていないのかと感じた。また会場も暑かったり寒かったりで空調のコントロールもめちゃめちゃだったので、次回は開催場所を考えてほしい。
②もっとアメリカ組とイギリス組の交流を見たかった
アメリカ組とイギリス組がせっかく一緒にいるのに、ローズアダージオと日本人コンビ以外は同じバレエ団同士で踊ったのですが、せっかくだからガラならではの、ロイヤル&NYCBコンビとか見てみたかった。
③作品前の紹介ビデオにダンサーの名前をつけてほしい
作品の前にダンサー達のインタビュー映像を流してくれたのはとても有難いが、ぜひダンサー達の名前も記載して欲しい。今回は招待客が非常に多かったので、誰が誰だか分からなかった人も多かったと思います。