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バレエ感想「ピナ・バウシュ 春の祭典」「PHILIPS 836 887 DSY」「Homage to the Ancestors」


ピナ・バウシュの「春の祭典」が18年ぶりに日本で上演されると聞いたので、見に行ってきました!「春の祭典」はピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団による上演ではなく、本プロジェクトのためにアフリカ13カ国から集められたダンサーによって踊られました。事前にかなり話題になっていただけでなく、SNS上では普段バレエを見ない層からも大絶賛の舞台でした。

ちなみに今回アフリカ13カ国から集められたダンサーによって「春の祭典」が上演されましたが、「既存のカンパニーではなく、自分たちでアンサンブルを組んでみたい」という発想が元になったみたいです。どこの団体と協業するのか検討した際にジェルメール・アコニー率いるセネガルの「エコール・デ・サーブル」が思い浮かび、アコニーらの賛同を得てダンサーをアフリカ中から集め、今回の公演につながったそうです。

公式パンフレットについて

舞台の感想の前に公式パンフレットについて記載しますが、ビジュアルブックとセットでなんと3,000円!私は絶版書籍を使いながら卒業論文を書いたということもあり、「本は手に入るうちに買え!」という主義の家庭で育ったので、悩みつつも買いましたが、正直高かった…。

で、具体的な内容ですがなんと白いペラッペラのリーフレットがプログラムで、灰色のガッシリした本は今回の「春の祭典」の写真集です。この感じだとプログラムはオマケで、ビジュアルブックを売りたかったんだろうな…。
プログラムはページ数が少ない上、白地に小さい赤文字で書かれているので人によっては読みにくいだろうな…。作品についての解説はあまりなく、日本語が難解で、正直主催者のパルコのサイトの方がよっぽど分かりやすかったというのが本音です😅
ていうか3,000円も取るんなら、生贄役や長老役のダンサーの名前くらい書いてほしい。

ピナ・バウシュ「PHILIPS 836 887 DSY」

私は今回基礎知識ゼロでこの舞台を見たのですが、3作品中「春の祭典」と「PHILIPS 836 887 DSY」はピナ・バウシュによる振付とのことです。
「PHILIPS 836 887 DSY」ヴッパタール舞踊団ゲスト・ダンサーのエヴァ・パジェによって踊られましたが、NDTカラーのような鮮烈なオレンジの上下を身にまとったエヴァが不思議な動きを繰り返すという感じでした。
今回のチケットはS席17,500円、A席が14,500円なので、ざっくり計算すると1作品辺り5,000円くらいですが、申し訳ないけれどこの踊りを5,000円払って見る価値があるかと言われると「うーん😅」という感じです。ウォームアップを見せられている気分でした。

ジェルメーヌ・アコニー「Homage to the Ancestors」

2作品目はピナ・バウシュ作品ではなく、アフリカのベナン生まれセネガル育ちのジェルメーヌ・アコニーによる「Homage to the Ancestors」で、この作品は死と旅立ったものとの対話を表しているそうです。ちなみにアコニーはてっきりヴッパタール舞踊団出身かと思っていましたが、ピナと会ったのは一度きりだそうで、一度しか会ったことない人に向けて作品を作れるだなんて愛が深いなぁと感じました。振り付けにはクッションを愛おしそうに抱きしめるなど、それらしき表現もありましたが、無音の時間が長すぎて周りからは気持ちよさそうな寝息が…😅
正直私にはジェルメール・アコニーが音に合わせてずっと歩いているようにしか見えなかったのが本音です。分かる方にはこの作品の真価がわかるのだと思いますが、残念ながら私にはよく分からなかったです。不勉強で申し訳ないです。

あとこの作品は小麦粉というのか石灰というのか、白い粉を舞台上にまきます。白い粉がライトに反射して綺麗で、「こんな演出効果があるんだ」と思いましたが、粉をまきながら動くので喉のイガイガが止まらない…。
なんというか粉は美しいけれど、肺疾患のある人とかは見に来れないだろうなと思いました。

ピナ・バウシュ「春の祭典」

さて、エヴァ・パジェとジェルメール・アコニーの謎のコンテンポラリーを1部で終え、いよいよ第2部は「春の祭典」です。休憩時間中には舞台に土を敷く作業がずっと行われ、全員興味津々でした。

SNSでも大絶賛のアフリカ出身によるダンサーは力強く、土埃を舞わせながら激しく踊る様子は確かに見応えがありました。とは言えもっと悲壮感や絶望感を訴えてくるかと予想していたので、それよりも激しさや怒り、暴力的な様子を感じて驚きました。あまりに力強かったのでそれに圧倒されたのかもしれませんが、私は驚きすぎて言葉を失いました。

ちなみに「春の祭典」が踊られる前の土はこちら。

「春の祭典」上演終了後の土はこちら。ダンサー達の動きがめちゃくちゃ激しかったことが分かります。

土は砂漠のような砂ではなく、腐葉土のようなコルクのような柔らかい土でした。

いつかピナ・バウシュの作品をまた見れますように!


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