バレエ感想㉝「Dance to the Future Young NBJ GALA」新国立劇場バレエ団
第3部 ドゥエンデ
第2部 新国立劇場バレエ団 Choreographic Group より
木村優里さんの振付作品「Coppélia Spiritoso」は、名前が似ている木村優子さんと出演。この木村優子さんの存在感が凄く、こんなに力強くて存在感のあるバレリーナがいたなんて知りませんでした。
木下嘉人さんによる人魚姫とPassacagliaも印象的でした。
人魚姫は細いライトやスモークをうまく使いながら海の様子を表しており、米沢唯さん扮する人魚姫の衣装はサテンベースで、ブルーのシフォンがふんだんに使われ、まるで水から上がってきたかのような衣装でした。渡邊峻郁さんは生地に細かい刺繍がほどこされたハリと存在感のあるブラウスを着ており、今にも手から滑り落ちて消えてしまいそうな米沢さんとの対比が衣装でも考えられてると思いました。米沢さんも渡邊さんも恋に落ちた2人そのもので、とても素敵な作品でした。
Passacagliaも照明で道を表したり、衣装が工夫されておりとても素敵な作品でした。衣装は純白なのですが、スタイルよく見えるようにタックの入れ方やスカートの位置が工夫されていて、ダンサーを美しく見せてました。
小野さん、五月女さん、木下さん、福岡さん、みなさん独自の世界観があり、とても素敵でしたが、福岡さんが出てきた瞬間空気が引き締まりました。さすが長年新国立劇場バレエ団を引っ張ってきた看板プリンシパルだと思いました。
第1部 「パドドゥ集」で感じた新国立劇場の裏方さんの底力
パドドゥ集では新国立劇場が誇る裏方さんの底力を感じた公演でした。
例えば音響について、バヤデールやジゼルのバイオリンの音は、録音だと音割れすることがよくありますがとても美しく響いていました。ドンキホーテのコーダも音割れが一切なく、実際のオーケストラのように音が重厚で荘厳で、録音や音響技術の高さを感じました。
照明は色々なカラーを使いながら、ダンサーを引き立てるような色合いを演出していました。ジゼルでは壁にライトを当てて月のように見せていたり、眠れる森の美女では朝日や夕日のような色を沢山使いながら、温かみのある色合いを演出しており、素晴らしい照明技術だと思いました。
何よりも感動したのが衣装です。日本人に合うように色々工夫されており、例えばオーロラの衣装はパフスリーブなどをうまく使い、アルブレヒトの衣装はベロア調で刺繍も豪華な上に肩の部分に膨らみを持たせており、肩が広く美しく見えるよう制作されています。
出演者では山田悠貴さんが素晴らしく、踊れるのが嬉しくてたまらない様子がよく伝わってきました。役になりきっており、コーダでも自分が魅せるだけでなく、キトリがピケする時は「どうだあ!俺のキトリ!めっちゃすごいだろ!」という誇らしくて嬉しい様子がよく伝わってきました。山田さんだけ、まさしく全幕公演のバジルで、渾身のバジルを見れて本当に良かったです。