見出し画像

バレエ感想「アラジン」福田圭吾さんアデュー公演(新国立劇場バレエ団)


2024.06.22(土)新国立劇場バレエ団「アラジン」ソワレ公演に行ってきました。この日は以前から感想を書きまくっているファースト・ソリスト福田圭吾さんのアデュー公演ということもあり、チケットは完売、ダンサーもオケも気合いが凄かったです。あまりに迫力があって先週とは全く違う舞台だと感じたくらいです。
白状すると先週は途中でかなり眠くなり、この演目を今週複数回見るのはキツイかと思っていましたが、これだけのクオリティの舞台を見れるんならもっと見たいと思いました。というか新国よ、マジで最初からこのレベルの舞台を見せろや😇

福田圭吾さん「アラジン」の感想

福田圭吾さんについては以前から散々「素晴らしいダンサー」と言っておりますが、今回のアラジンも素晴らしかったです。
圭吾さんはインタビューで「陽キャ」を演じることが多いと仰っていましたが、今回のアラジンもまさしく運営や観客の期待に150%応えた、明るくて舞台を見にきた人全員を元気にしてくれる最高のアラジンでした。

1幕では登場した瞬間から少年そのもので、若々しく、イタズラ好きなやんちゃ坊主という感じでした。砂漠でプリンセスの幻影を見せられるシーンでは、口をあんぐりあげて骨抜きになった様子がよく表されており、洞窟のシーンでは宝石達が出てくるたびに驚き、喜んでいる様子が伝わってきました。
洞窟のシーンではゴールド/シルバーの踊りの際に、衣装の大きな布が切れてしまうというアクシデントがありました。踊りの途中でダンサー達が拾うわけにも行きませんし、拾い方によっては雰囲気ぶち壊しになるし、でも放置したら滑って危険なのでどうするかハラハラしていましたが、圭吾さんが床に落ちた宝石を集めるようにして拾い、あたかも一つの演出のように見せて次の場面に繋げたのはさすがだと思いました。

2幕のお風呂のシーンではリンゴをガッツリ召し上がり、守衛にしょっ引かれてもまだ口をモグモグさせていて面白かったです。ジーンに助けてもらい、貧相な格好から王族の格好になるのですが、福田圭吾さんのスタイルのいいこと・・・・!40歳近いはずですが、シックスパックで、観客の夢を壊さないスリムで少年のように美しい体型をキープされているのは流石です。本当に美しいダンサーです。
2幕の結婚式のシーンは見ていて泣けてきたのですが、周りの全員がプリンセスとアラジンの結婚を祝福して泣く姿が、まさに圭吾さんの新しい門出を祝福しているように見えました。周りのダンサーが圭吾さんのことが大好きで、アデュー公演を最高のものにしようと思っていることが伝わってきました。

3幕の最後にジーンに「I wish for your freedom! 」と伝えるシーンは、ジーンの門出を祝うようでもあり、新たな道に進む圭吾さん自身へのエールのように見えて、感動の涙が止まりませんでした。ちなみにこのシーンでジーン役を演じた渡邊峻郁さんがめちゃくちゃ嬉しそうだったのが印象的でした。

カーテンコールは様々な人がアップしているように、大親友の福岡雄大さんと原健太さんが獅子舞で出てきて花束を渡したり、山口百恵さんのように圭吾さんもバレエシューズを置いて去っていくなど会場はスタンディングオベーションで大盛り上がりでした。会場には牧阿佐美バレヱ団や新国立の元プリンシパルなどバレエ関係者もかなり来場しており、これほど祝福を受けるアデューは見たことがなく、圭吾さんがどれだけ周りに愛されていたか感じ、こちらまで感涙しました。
百恵さんのようにシューズを置いて去ったということは、まさかダンサーとしてもこれでラストなのでしょうか…。まだまだ圭吾さんの踊りを見たいので踊り続けてくださることを祈ります😭

6/22「アラジン」公演で印象に残ったダンサー達

ジーン、プリンセス、友人達の獅子舞

渡邊峻郁さんが演じるジーンは軽やかで、竜巻きの中から舞って出て来たかのようでした。おそらく地上にいるよりも空中にいる方が長いんじゃないかと思うような軽やかさで、まさに空飛ぶ妖精でした。印象的だったのが、最後にアラジンから自由の身にしてもらった時、今まで見たことがないレベルの笑顔を見せるのですが、大大大好きな女の子に告白してOKをもらった時のような満面の笑みで、普段クールそうな峻郁さんがここまでにこやかに笑うのかと驚きました。

プリンセスの池田理沙子さんは超可愛くて、愛らしくて、小柴パパがメロメロになって可愛がる理由がよくわかります。箱入り娘のような、周りに愛されそうな超可愛い感じで、私も結婚するならこんなに可愛い人と結婚したいと思いました。お茶目で、でもアラジンのことはバッチリ尻に敷きそうな可愛さでした。こんなに可愛いだけでなく、なんと慶應出身の才女です。すごい…!

この回の友人役は小野寺雄さんと宇賀大将さんが演じたのですが、この2人は双子みたいに似ていて、見分けがつきません。多分ブルーが小野寺さんで、オレンジが宇賀さんだと思いますが、一卵性双生児みたいにソックリです。実は兄弟なんじゃないかと思いましたが、ググったところ小野寺さんは青森出身で、宇賀さんは高知出身らしいので、流石に生き別れた双子説はないか😂
で、アラジンの友人は2幕で2人で獅子舞の中に入って踊るのですが、とてもよく練習したんだろうなと伝わってくる精巧な動かし方をしていて、印象に残りました。ダイナミックでとても楽しかったです。

宝石(オニキス、ゴールド、エメラルド、ダイヤモンド)

まず最初に出てくるオニキスの上中佑樹さん、佐野和輝さん、山田悠貴さんの3人は別格だと感じました。早いテンポなのにどの動きも正確で軽やかで、本当に実力のあるダンサー達だなと思いました。中でも上中佑樹さんはジャンプの空中滞在時間が長く、動きが残像のように頭に焼きついてとても印象的でした。上手なだけでなく、明るい雰囲気も持つこの3人は間違いなく次期アラジン候補だと思います。

ゴールドは趙載範さんと森本晃介さんが踊られましたが、見てビックリ!
森本晃介さんの踊り方がお兄さんソックリで、一瞬お兄さんが踊っているのかと思いました。バランセ、プリエ、プレパレーションなど、全ての動きがとにかくソックリで、バレエ団のリハーサル以外にもプライベートで相当お兄さんの特訓を受けているのではと感じました。踊りだけでなく、ポールドブラの動かし方などもお兄さんと100%一緒ではないですが本当によく似ていて、DNAが同じだからなのか、同じバレエ学校で教育を受けて来たからなのか、とにかく森本兄弟凄いと感じました。
ただし、兵役経験もあり舞台に毎回重厚な威厳をもたらしてくれる趙載範さんと並ぶと晃介さんは若さが目立ち、王様(趙載範さと成人したばかりの王子(晃介さん)が並んでいるようでした。ですがその若々しさは晃介さんの大きな魅力だと思っていて、よく日本のバレエダンサーに見られるような変に子供っぽいものではなく、本当に若くて美しい青年という雰囲気です。今後の特訓次第では間違いなく日本を代表する王子ダンサーになると思いますし、これから森本晃介さんがどのように才能を開花させるのか、本当に楽しみです。

エメラルドは小川尚宏さん、渡辺与布さん、花形悠月さんによって踊られましたが、なんとゴージャス!小川さんは若干緊張しているのか硬いようにも感じましたが、この方は一つ一つのポーズがカチッと決まっていてブレないというのか、型がきちんとあるダンサーだなと思いました。私は小川さんの踊りを見て、伸び代や将来性を感じました。こんなダンサーが新国にいると知らなかったので、今回小川さんを知れて良かったですし、今後も注目していきたいと思います。
それにしてもエメラルドは「笑顔禁止」という決まりでもあるのでしょうか?横で踊っている渡辺さんと花形さんはキラッキラのスマイルなのに、真ん中の小川さんだけずっと真顔で踊っており、それはそれでセクシーで良いのですが、せっかくならこのイケメンが笑顔で踊ったらもっと素敵なのになと思いました。いやぁそれにしても美男美女の揃っている素敵なパドトロワでした。

最後はダイヤモンドを踊った山本涼杏さんですが、この方は踊り方が直塚美穂さんに似ていて、上半身が綺麗で足がバコーンと開くダイナミックさもあって素敵でした。調べたらロシアで学ばれていたとのことで、それは直塚さんにも通ずるダイナミズムを感じるのも当然だと思いました。
上半身が優雅で、ポールドブラも綺麗で、たおやかな雰囲気もあり、これからも山本さんの踊りを沢山見たいと思いました。

サルタン、サルタンの守衛、お母さん、一番上手の裁判官、ジーンのお付き、最後の大きな龍

2幕で特に面白かったのがサルタンを演じた小柴富久修さんで、クシャミしたり、娘のプリンセスには「可愛い娘よ…本当にこんな男でいいのか…😭」と心配している様子を見せ、アラジンには「おい、お前😡本当に娘を幸せにできるんか🤨!?」と言わんばかりに凄んでて、演技がとても面白いなと思いました。この日はキャスト表をよく見てなくて、サルタン誰が演じていたんだろうと思ったのですが、小柴さんと聞いて納得!URL貼っておきますが、この方はイケメンで面白くて、本当に見応えのあるダンサーで、以前のネズミの王様も最高でした。
私はダンサーの私生活はよく知らないのですが、もし小柴さんに娘がいて、その娘が彼氏を連れてきたら物凄い剣幕で凄みそうだなと思いました😂

サルタンの守衛もコメディー色が強く、誰なんだろうと思ったらまさかの中家正博さん!マグリブ人じゃなかったんかーい😂
しかし本当にコメディアンみたいで、ググったら大阪出身。関西の人って本当に面白い人が多いよなと思います。

アラジンの母の益田裕子さんは結婚式で涙しているのですが、一番上手の裁判官と
「ウンウン」言いながらお芝居しており、とても嬉しそうな様子が伝わってきました。しかし数分前まで息子の首を切ることに同意していた裁判官と結婚を喜び合うって冷静に考えるとカオスな状況😂
そしてヒゲと肉襦袢が凄すぎて、益田さんと掛け合いを見せてくれた裁判官が誰だかわからない😂 ガタイのいいオジサンをコミカルに演じていた面白い演技でした。

ジーンのお付きは相変わらず直塚美穂さんがよく目立つ。大きな踊りで本当に綺麗で、この人はこのままジーンも踊れる気がしてきました。男性では西川慶さんは舞台映えする顔立ちで1幕でも2幕でもすぐにどこにいるか分かります。華やかさがある期待のダンサーです。
旗持ちにはまさかのニコニコ原健太さん!この方は友人役でも、なんの役をやっていてもいつもにこやかで、舞台を明るくさせる貴重なダンサーです。余談ですがカーテンコールでは雄大さんと原さんが獅子舞に入って出てきて圭吾さんに花束を渡しましたが、圭吾さんが原さんをギュッと抱きしめており、この2人は同期入団なのか、もしかして仲が良かったのかな?と思いました。男の友情を感じました!

最後に大きな龍を持ってダンサーが走り出てくるのですが、このシーンが軽やかでとても素敵です。先頭から森本晃介さん、西一義さん、菊岡優舞さん、山田悠貴さん、古郡士英生さん、上中佑樹さん、仲村啓さんなど、新国の高身長イケメンを一気かき集めたというようなハイレベルなハンサムさん達が龍を持って出てきます。別の回では清水裕三郎さんや小柴富久修さん、趙載範さんも龍持ち出てきていましたが、これだけの高身長イケメンを龍持ちに使える新国の人材リソースの豊富さは凄いです。まさに新国のイケメンフルパッケージというレベルの豪華なイケメン陣で、龍はプラスチックのバルーンみたいで超安っぽかったですが、持っているイケメン達が豪華だったので気になりませんでした。

福田圭吾さんの後を継ぐダンサーは誰なのか考えてみた

以前熊川哲也さんの後継者は誰なのかという疑問を呈したことがありますが、圭吾さんの後継者についても考えてみたいと思います。

福田圭吾さんのような存在はなかなか出てこないかと思いますが、今回の舞台を見て、オニキスを演じた上中佑樹さん、佐野和輝さん、山田悠貴さんは圭吾さんの後継者の筆頭候補だと感じました。明るくてイケメンなだけでなく、圭吾さんのような軽やかさやキレの良さもあり、この3人は間違いなく後継者候補でしょう。
新国立劇場バレエ団が一体何を考えて昇格や配役を決めているのか知りませんが、ぜひこの3名はさっさと昇格させて圭吾さんが踊っていたようなポジションで大活躍してほしいと思いました。

あと個人的に将来性を感じたのは小川尚宏さん。この方も今後要注目です。

いいなと思ったら応援しよう!