留学2日前 夜

おばあちゃんちに泊まってきた。これで10ヶ月会えなくなるから、最後に。

ばば(子供の頃からばばって呼んでるから今更変える機会がなくずっとこの呼び方)の家は、ばばとネコちゃんの2人暮らし。
チカ(ネコちゃんのお名前)はいつも、数年前に亡くなったじじの写真が飾ってある和室で寝ている。

ばばは「10ヶ月かあ、長いねえ、その間元気でいられるかなあ」と冗談交じりに言うけれど、そんな冗談は全く笑えないので元気でいて欲しい。
ばばはいつも私になんでも沢山食べさせようとする。これも食べなあれも食べな!あっこっちにおやつあるよちょっとこれも食べていき!って。
いつもはもうお腹いっぱいだからって断ってるけど、最近は断らないようにしてる。もうこうやって話せる機会も数少ないかもしれないから。
冗談に笑えないとか言いながら、私も心のどこかでそう遠くないいつかばばは死んでしまうんだろうって思ってるんだろうな。私だけがばばの終わりを、死を見ながらばばと会話してるのってなんか心ここに在らずって言うか、ちゃんと1対1で会話してないみたい。私だけ勝手に“もうすぐ死ぬばば“と会話してる、本物のばばは目の前にいるはずなのに。もったいないよねちょっと。そう考えると、もし寿命宣告されたら私はギリギリまで周りに話さない派なのかもしれない。自分勝手だけど、最後までいつも通り普段の私として接して欲しいから。
ばばに車で家まで送ってもらった。何百回も通ったいつもの帰路、夜景が綺麗だった。

家に帰ったら、友達から手紙が届いていた。LINEやインスタのDMでは無くわざわざ、私に事前告知無しで手紙を書いてくれたらしい。封筒の中には手紙と、写真。粋な子だなあ。私も出発当日にお返事をポストに入れよう。便線もスーツケースに入れておこう、イタリアから出せるかもしれないから。

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