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夢を聞かれて答えられない私
10月6日
今日は学校で数学のテストがあった。
イタリアに来てから経験すること全てが日本と違うのでもう慣れたけれど、やっぱりテストも私の知ってるテストじゃなかった。
まず、なぜか提出する計算用紙を自分で用意しなきゃいけないらしい。隣の席の子が親切にわざわざ教えてくれて紙も貸してくれた。本当に優しい。さて、これだけデカい(A4)紙で計算しなくちゃいけないんだから、さぞかし問題量が多いのだろう…。この前フリでもう全て明らかなのだが、50分の試験時間に対して、なんと問題数は全4問。大問が4つなんじゃなくてほんとに4個しかないの。駿台模試で数学前4問って聞いたら長い記述しなきゃいけないような難しい問題が4問あるんだろうなあとか思うけど、マジで教科書の一番最初の例題くらい簡単な問題が4問ポツンと問題用紙の中央に佇んでいました。
日本で教育を受けたものとしては超〜〜簡単なんだけど、きっとみんなにとっては駿台の1番後ろの問題くらいムズいんでしょうね、計算機をカタカタしながらサマーウォーズの男の子くらい長い計算式を書いてましたね。
これは少し前に気が付いたんだけど、イタリア人、全ての二次関数を解の公式にぶち込んで解いてる。私が因数分解とグラフという概念を早く教えてあげたい。解の公式地獄から救ってあげたい。拙い英語で教えてあげたんだけど、たぶん分かってなかった。
午後はタイ出身の男の子とカフェで一緒に課題した。彼は私にとてもよくしてくれて、こまめに外出に誘ってくれる。
彼は常に「もう、可愛い娘がドジしちゃって。しょうがないなあ。」と思っている父親のような目をしている。(これは完全に私の偏見)。個人的には彼には無造作に生えているヒゲを揃えるか切るかして欲しい。
そんな彼が父親のような目で私に聞いてきた。「ところで、あなたの夢は何?」
私は黙ってしまった。パッと答えられない。
日本での担任との面談でも、親戚との世間話でも、私はこの質問に答えられなかったのを思い出した。
近々やりたいことや日々の小さな目標を聞かれたら答えられるし、この留学で成し遂げたいことや理想の人間像について話せと言われたら少なくとも黙ることは無い。ただ、夢ってなんだろう。
こないだMBTI診断をしたら私はINFP(仲介者)と診断された。解説画面で「今の自分のことは分かっているか、今後どうなるかは分からない」という言葉があったのだが、私はまさにそれを体現したような人間だと思う。
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現状やらなくてはいけないことは把握しているし、目先の小さな目標はある。ただその小さな目標を少しずつ乗り越えた先に、何があるのかが全く分からない。線路がどこに繋がっているのかも分からず進む列車のように生きている。今だって高校でイタリア留学なんて並外れたようなことをしてるように見えるけど、私だって私がどこに向かってるのか分からない。
きっと彼だって世間話のつもりで聞いてきたのだろうから私だって軽く答えればいいのだが、黙ってしまった。将来やりたい仕事とか学びたいこととか本当に本当に分からないし、どうやって決めればいいのかも分からないし、もう誰か助けて欲しい。
ただこんな込み入った私の脳内のモヤモヤを英語で彼に説明することも(私の英語力的に)出来るわけが無いので
「その質問はちょっと難しくて、決められないんだよね…」と場を濁したものの、
「なんでもいいよ!なんかあるでしょ!ほら、興味あることとかさ」と相手も何故か食い下がってきた。私は本当に困ってしまって黙ってしまう。すると彼は、
「僕の学校にも数人、日本人がいるんだけど、みんな君みたいな感じだよ。なんていうか君ってすごく日本人っぽいね。」(軽く微笑んだ父親のような目をしながら)
とかなんとか言ってきたのだ。よく分からないけどなんかめっちゃムカついた。私のこの複雑な感情にズケズケと踏み込んでおいて最後は国民性で一括りにするなよ。まあそれを説明出来ない上にいつまでも自分の将来に向き合えない私にも非はあるんだけどね…。
そんな一日でした。