
208 鉄道遺産の宝庫・天竜二俣駅構内ツアー
昨年の暮れ、わたしは静岡県の浜名湖の北を走る天竜浜名湖鉄道に乗って天竜二俣駅にやってきました。

浜名湖の北を走る黒い線が天竜浜名湖鉄道。東海道本線の新所原駅から同じく東海道本線の掛川駅までの間を浜松市の中心部を迂回して走る路線です。浜松市には軍需工場があるため万一の際に迂回して東西の輸送が維持できるよう陸軍の要請で作られた路線で、当時は国鉄二俣線といいました。
戦争が終結して建設当初の役割がなくなり需要は減少、昭和62年、JR東海となる直前に第三セクター天竜浜名湖鉄道として再出発しています。

その中心駅である天竜二俣駅。今は浜松市となっていますが、旧天竜市の中核駅としての役割を果たしていました。逆光でこんな写真しかなくて残念ですが、かなり古い駅舎で国の有形文化財に指定されています。


天竜二俣駅なのに、駅名標は「だいさんむら」。これはアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン」に登場する「第3村」駅が当駅をモチーフにしているから。期間限定ではあるものの、今、この駅に「天竜二俣」と名乗る駅名標はありません。

さて、この天竜二俣駅は駅舎のほかにも貴重な鉄道遺産が残されている駅で、平日は1日1回、休日は2回駅構内のガイドツアーが催されています。
予約制ですが空きがあれば当日でも参加可能で、わたしも当日駅の窓口で申し込みました。

ツアーには20名ほどが参加。名古屋から来た元気なお子さんや、ベレー帽をかぶり黒いコートに身を包んだちょっとミステリアスな若い女性カメラマンもいました。心の中でメーテル、と呼んでいました。

参加しないとは入ることのできないエリアに案内されます。こちらはかつて蒸気機関車が走っていたころに使われた給水塔。これだけ大きな設備が必要だったということに驚かされます。今も水は使うものの小さなタンクで充分間に合うそう。時代の進化を感じさせます。

こちらは乗務員たちがかつて使っていたお風呂。蒸気機関車は石炭で動くので運転士たちは煤だらけになってしまいます。それを洗い流すための設備でした。今は使われておらずヘッドマークの保管場所になっています。

同じ理由で洗濯場もありました。こちらは今も稼働中です。

さて、このツアー最大の見せ場がこの転車台。かつては蒸気機関車を方向転換させるため全国各地にあった転車台ですが双方向走れる電車や気動車が主流となり今ではその数もめっきり減ってしまいました。こちらでは運用を終えた車両が扇形機関庫に入る際に転車台を活用しています。



このように列車を乗せて開店を実演してくれます。転車台に乗って回る列車の姿はなかなか見ることができない貴重な光景です。

こちらが転車台の先にある扇形機関庫。扇形機関庫自体が全国で12しか残らない中で木造の扇形庫は全国でもここだけという大変貴重なもので、転車台とともに有形文化財に登録されています。元来は車庫は6線あったのですが右部分は一部取り壊されて整備場になっています。

この機関庫の奥にあるのが史料館。旧国鉄二俣線時代を含め、歴史ある鉄道遺産が数多く保管されています。

JR北海道にはまだ多く残っていますが、ホーローの駅名標はかなり懐かしく
国鉄のにおいを感じさせます。
「浜松大学前」は今は「常葉大学前」。ここ、天竜二俣駅も国鉄時代は「遠江二俣」駅でした。古い駅名の看板も残り懐かしい限りです。


昔はあたり前のようにあった硬券も今ではレアな存在になりました。子供のときに電車に乗った思い出がよみがえってきますね。

天浜線はエヴァだけでなくゆるキャン△ともタイアップしています。

45分ほどのツアーでしたが見どころ満載であっという間に時間が過ぎていきました。昔を知る年代の方は懐かしさを感じながら、若い方は逆に新鮮味を感じながら楽しめるツアーだと思います。
天竜浜名湖鉄道にはかもめの集う「浜名湖佐久米駅」やカフェのある「都田駅」などほかにも楽しめる駅が多数あります。浜名湖も望むことができる風光明媚なローカル線の旅を楽しみに来てください。
↑↑ こちらでも紹介しております。
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