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7日間ブックカバーチャレンジ、まとめ

「エアー2.0」「真行寺弘道シリーズ」の榎本憲男さんからのご指名で「#7日間ブックカバーチャレンジ」に参加しておりました。昨日、無事に7日目を終えたので、まとめて紹介したいと思います。

本はぶわーっと読む時期と、全く読まない時期があったりします。私に影響を与えた本たちを載せていければなと思っています。

1日目はこちら、

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内澤旬子「世界屠畜紀行」

私たちが普段当たり前に食べている肉が、肉になるまでを描いたイラストルポタージュ。
日本では倦厭されがちなテーマですが、作者が禁忌をぶっこえて己の「好き」を探求していく様に美しさを感じます。
マイバイブルです。


2日目はこちら、

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デイヴィッド・リンチ「大きな魚をつかまえよう」

私が映画を好きになったきっかけは、小学生の頃に観たデイヴィッド・リンチ監督「ストレイト・ストーリー」でした。
TSUTAYAでレンタルしてきてくれた母と共にソファに座って鑑賞。トラクターに乗って悠々と旅をするおじいちゃんと、おじいちゃんが行く先々で出会う人たちとの触れ合いがとてもステキだなって思った。

それから他の作品も観てみたいと、TSUTAYAで借りてきて観たのが「エレファント・マン」と「イレイザーヘッド」で、「ストレイト・ストーリー」とのあまりにもの違いにぶったまげる(°_°)
後で「ストレイト・ストーリー」の方がイレギュラーな作品だったのだと気付くのですが、リンチ作品の理解を超えた美しさに衝撃が走り、彼の作品を観進めていったのでした。


3日目はこちら、

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隆慶一郎「死ぬことと見つけたり」
「葉隠」を原典にした時代小説です。

戦がなくとも常に死を覚悟し、毎日をありのままに受け止め生きる武士の姿に、
「現場なんてほんの一瞬、何もない毎日が大切なんだよ」と言ったお師匠の言葉が思い出される。
不器用だけども己の信念を貫き通す主人公がなんとも魅力的。

池田一朗さんの名で書かれた今村昌平監督「にあんちゃん」、大学の帰りに新文芸坐で観たな。学生時代に数々の名画を観た新文芸坐、またあそこで映画を観れる日がきますように。


4日目はこちら、

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唐十郎「下谷万年町物語」

2012年にシアターコクーンで観た蜷川幸雄演出の同名舞台に激しく感動し、どうしても戯曲が読みたくて、1981年に西武劇場で上演された時に発売された戯曲を持っていた先輩の役者さんに貸して頂き、大切に読んだ。
ヒロイン、お飄がとにかく抜群に美しくカッコいい。意味は深く解らずとも、ほとばしる熱量と共に身体にするすると染み渡る美しい台詞たち。これは役者なら発してみたいよなって思います。
その戯曲は返してしまったけれども、その後に買った小説がこちら。
はぁ
本当に素晴らしい舞台だったな。


5日目はこちら、

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三島由紀夫「美徳のよろめき」

精神的にずたぼろになった時に救われた作品。
節子の最後の行動に気高さを感じ、哀しみと怒りと虚しさでぐしゃぐしゃになった心が、すっきりと晴れたのでした。三島作品はどれも大好きなのですが、三島を読むときはいつも、自分に眠る変態性との対話を大切にしています。


6日目はこちら、

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坂口安吾「堕落論・日本文化私観 他二十二篇」

二十代はじめの頃に読んで、価値観をがらりと変えてくれた一冊。価値観の転換というよりは、当たり前に信じて疑わなかったモノを覆っていた分厚い何かを蹴散らしてくれるような感じでしょうか。
どのエッセイを読んでも、いけないものに触れているようでハラハラしながら、同時にニヤニヤしてしまうような。映画を観たり、小説を読んだりする時にニヤニヤしてしまう瞬間。私はそれがたまらなく好きなのですが、そのニヤニヤの原点がここにあるように思います。
特に「悪妻論」が好きです。


7日目、ついに最終日。

最後はやっぱりこちらです、

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夏目漱石「こころ」

高校の国語の授業で扱われたのをキッカケに、全文を読みたいと思い、小説を買いに香里園の野村古文堂へ行ったな。その時は確か新潮社のやつ。
それから引越しや上京などで何度も手放したり、行方不明になったりして。だけどもある時ふと読みたくなって、また手に入れちゃう一冊で。
こちらは手元にある最新版です。

高校生の頃に読んだ時は、心の奥底にあるじめっとした気持ちを、無理に陽の光に当てずに、そのままにしておいていいんだなと思えた。
前にnoteに書いたボランティアのお話で、彼女と夏目漱石作品を読み進め、久しぶりに彼女と「こころ」を読んだ時に、あぁ、この懐かしいような、でも少し哀しいような、心惹かれる感じ、久しぶりだなと思いながら、また新たな感情との出会いがあったりして。「それから」を読んだ後だったから、彼女の「また後だしジャンケンだね」という純粋なコメントに笑ってしまった。悩み悩み気遣い悩み悩み気遣い悩みようやく決断に至る彼らの姿に、自分を写し込んで、はははのは。自分の心の奥底へひっそりとホントの自分に逢いに行く。いつもそんな体験ができる、私の一冊。


毎日好きな本を挙げるのは大変かなぁと思いつつ、始めてみると、なぜこの本たちが好きなのかを考えることによって、今の自分を構成した原点に向き合えた、そんな充実した7日間でした。

おわり

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