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にざたま 東海道四谷怪談 令和5年10月御園座錦秋特別講演

にざたま
この言葉、ピンと来きますか?
歌舞伎好きな方には、当たり前のことでしょうが、人間国宝の片岡仁左衛門さん、坂東玉三郎さんお二人の共演を指す言葉です。
仁左衛門さんは、歌舞伎界きっての美男子として知られ、映画「配達されない三通の手紙」や大河ドラマ「太平記」などにも出演されています。
そして、玉三郎さん。
あまりの美しさについたあだ名が「奇跡の女形」。
このお二人は、仁左衛門さんが本名の孝夫を名乗っていた時から、名コンビとして知られていました。
そのお二人が、地元御園座に、それも私の好きな外題「東海道四谷怪談」で出演されるとなったら、見に行かない手はありません。
歌舞伎に取りつかれて30余年の私、もちろん、玉三郎さんも仁左衛門さんも何度も拝見しているのですが、がっつりお二人が共演されたのを見たのは、今回が初めてな気がします。
民谷伊右衛門を演じる仁左衛門さん79歳、お岩を演じる玉三郎さん73歳。
お二人の美しさ、口跡の良さ、動きの切れの良さは、30代の役者さんと言っても通用するほどでした。
仁左衛門さんは、御園座初お目見えのお孫さんの片岡千之助くんが伊右衛門に恋するお梅を演じていたのですが、お二人が寄り添っても違和感がありません。
歌舞伎役者でも、70歳を過ぎるとさすがに、もう、おじいさんにしか見えない方もいらっしゃるのですが、このお二人は、美しい時のまま時を止めてしまったかのようでした。

四谷怪談ともう一つの外題は舞踊「神田祭」。
お岩とうってかわって艶やかな芸者姿の玉三郎さんが堪能できました。博多帯を「やなぎ」という、お太鼓にせず、後ろを垂らしたような結び方が粋で、着付けを目下練習中の私も真似をしたいと思いましたが、私がやったら、「あなた御太鼓がほどけてますよ。」と親切な人に注意されるのが、おちでしょう。

今日は、30余年前、大学生だった頃と変わらぬ美しさのにざたまお二人を見て、まだ、大人の苦労も責任もなかった時代に迷い込めたようなひとときを過ごすことができました。




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