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「イマジナリーフレンド」 米津玄師2023TOUR空想での奇跡

米津玄師2023TOUR空想

 7月2日、4月に神戸から始まった米津玄師2023TOUR空想が終わった。

 ということで、ネタバレというほどの内容ではないが、私のごく個人的な「奇跡」について書き留めておこうと思う。
 
 私がライブに参加できたのは5月の福井2日目。
 1次先行「KICK BACK」Single CD封入シリアルナンバーでの当選のお蔭で初めてのアリーナ席だった。後ろから2番目でステージから遠い席でしたが。
 「奇跡」が起こったのは、米津さんが「(空想は)本当に大事なことだと思う。まさに空想を主軸に生きてきた。」という言葉で締めた今回のツアータイトルを「空想」にした理由を話したMCの時。
 話の途中で言葉が出てこず、言い淀む場面があった。
 その言葉が「イマジナリーフレンド」だと感じた私は
「イマジナリーフレンド」
と声を出した。
 次の瞬間、米津さんが
「あっ、イマジナリーフレンド」
と話を続けた。
 アリーナ席とはいえ、後ろから2番目でステージから遠い席。おまけに自分はライブで大きな声を出せるタイプでもない。
 自分の声が米津さんに届いたのか、たまたま米津さんが言葉を思い出すタイミングとあったのかは、わからない。
 でも、その瞬間気持ちが通じ合ったかのような多幸感に包まれた。

「イマジナリーフレンド」という言葉が何故浮かんだか?

 
 「イナジナリーフレンド」とはフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると
「心理学、精神医学における現象名の1つである。学術的にはイマジナリーコンパニオン(IC)という名称が用いられる。「想像上の仲間」や「空想の遊び友達」などと訳されることは多いが定訳はない。(中略)通常児童期にみられる空想上の仲間をいう。イマジナリーフレンドは実際にいるような実在感をもって一緒に遊ばれ、子供の心を支える仲間として機能する。イマジナリーフレンドはほぼ打ち明けられず、やがて消失する。」
 イマジナリーフレンドは現実にはいはしない、心の中だけの空想上の友達ということになる。
 なぜ、私の頭に「イマジナリーフレンド」という言葉が浮かんだかというと、『ROCKIN’ON JAPAN』2015年11月号の2万字インタビューの中で
「自分は人と関わりあえない存在で、クラスメイトの言っていることとかがよくわかんなくて、そういう状況の中で編み出したのは、自分の頭の中で架空の人物と話すっていう、今なおあるんですけど、自分の中に空間ーいわゆる街があって、そこに住んでいる人達と会話をするっていうのが昔から癖のようになってて、その架空のキャラクターは明確な自分の友達であるっていう。それを一種の心のよりどころとして機能させてましたね」
という記事が頭のどこかに、あったせいかもしれない。

 そして、そんな内向的な空想家だった米津さんが何万人の前で自分の内面を表出している。
 そのことで、孤独を癒される人も多いと思う。
 内向的で現実の世界で自分の内面を上手く表せない人間、米津さんは自分より若い人たちに向けて話していると思うが、米津さんより20歳上の私もその類の人間の為、孤独が癒される。
 特に今回は、「イマジナリーフレンド」という言葉を私が声に出した後に、米津さんが言葉にしたことで、本当に幸せな気持ちになった。
 米津さんのライブで私の見せてくれた空想の世界から、現実の世界に戻る自分にその幸せな気持ちを持たせることができた。
  
 米津玄師2023TOUR空想はステージの上で空想の世界を私達観客に見せてくれた。でも米津さんにとっては仕事であり現実の世界に他ならない。
 「カンパネルラ」で始まり、最後は銀河鉄道に乗って行ってしまうような演出は、米津さんが自分の空想の世界に帰っていくことを表しているのかもしれない。
 米津さんだけのイマジナリーフレンド達がいる世界へ。

 

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