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靴を間違えられた

座敷に上がるタイプの料理屋で、食事を済ませた跡、靴を履こうとすると靴がなかった。
そこには私の靴によく似た靴が残されていた。
店員さんに告げると、靴を移動させたかもしれないと、離れたところにある下駄箱を探してくれた。
靴は見つからず、いつしか従業員総出で、1階で食べていたのに2階の下駄箱まで探す大事になった。
すべての靴が下駄箱から出されたが、私の靴はなかった。
私は私の靴に似た誰かの靴を見つめた。
靴の中には靴下が突っ込まれている。
靴を間違えるのは百歩譲ってあり得るとして、他人の靴下を間違えて履くだろうか。
え、靴下?
自分の足をみると裸足であった。
座敷に上がるのに靴下を脱ぐだろうか。
いや脱がない。
私は最初から裸足だったのだ。
裸足にサンダルで来たことを忘れていた。
もうひとつ気づいたことがある。
これは夢だ。
夢の中で夢だとわかる明晰夢というやつだ。
私はたとえ夢でも、大騒ぎになっている店員さんに対して
「ごめんなさい、サンダルで来てました。テヘペロ」
などと、とても言えない。
そこでこう思った。

目、醒ましちゃえ。




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