亡くなった彼女へ
まず初めに、タイトルでこの記事を選んでくれた方には申し訳ありませんが、彼女は元気に生きています。いわゆる「夢オチ」です。
とはいえ、ふざけたものではないのでご了承いただければ幸いです。
先日わたしは最愛の彼女と死別する夢を見ました。
まずは簡単にストーリーをお話しさせていただきます。
夢によくある、「突然シーンが変わっていたり人物がすり替わっていたパターン」なのですが、初めは誰かわからない人が自死する場面でした。
それが次の瞬間から彼女になっていたのです。
空気感や情景があまりにリアルで夢かどうかもわからない私は狼狽え、泣いたり発狂したり沈黙したり、そうやって時間が過ぎていきます。
大泣きしたかと思ったら突然虚無になり、また数分後には大声で叫ぶ。
受け入れられない自分と、現実に直面する自分が交互に押し迫ってくる感じです。
初めの数日間は実家でそんな時間を過ごしていたのですが、火葬の日が明日に迫るとわたしは、「焼かれてしまっては本当に二度と会えなくなる」と確信し、焼かないでくれと叫ぶところで目が覚めました。
現実の世界では、その日はちょうど彼女の家におり、彼女の家のベッドで眠っていたので、当然彼女のベッドで目を覚ましました。
目を覚ますと隣には彼女の姿がありません。
寝ぼけたわたしは「ああ、自分は彼女の死があまりにも悲しく、彼女の家をひとりで訪れ、彼女の香りに包まれたベッドでそのまま寝てしまったのだ」と思いました。
段々と脳が覚醒するにつれて、洗面所の方からドライヤーの音が聞こえ、夢だったことに気づきました。
年甲斐もなくわたしは、彼女の名前を呼びながら大泣きをして彼女に抱きしめられる始末。
このことから何を感じたのかをお話ししていきたいと思います。
当然悲しい
当然ですが、耐え難い悲しみに襲われました。
ただそれは、生きている時に感じる「いなくなったら悲しいな」というレベルではなく、いつもの笑顔も怒った顔も、一緒に食べるご飯も、くだらないことで笑う時間も、抱きしめ合う時間も、彼女の匂いも、全てが”二度と感じられないもの”になってしまう恐怖のようなものでした。
日を追うごとに徐々に実感が湧いてきます。
そっか、あの柔らかい匂いも、もう嗅げないんだ
え、ぎゅってした時のもちもちの肌も触れないの?
うるさい笑い声も聞けないんだ・・・
一個ずつ確実に襲ってきます
いつも何気なく、いい匂い♩とかきもちい♩って思ってた彼女の全てが、消え去るのです。
思い出すだけで恐ろしい喪失感でした。
価値観の変化
わたしは今まで、死ぬことが怖かったです。当然今も怖いですが、この夢をきっかけに、怖さが変化しました。
以前は彼女と死別することが単に怖く、歳をとることに抵抗がありました。100歳まで生きるとしても既に80年を切ってるとか、200年でも足りないとか、残りの時間に目を向けて恐れていました。
ですが、この夢をきっかけに、生きているだけで嬉しいと思えるようになりました。
死ぬことは怖いけど、その恐怖を味わった後には、残りの80年がとても尊い時間に思えました。
もちろん永遠に一緒にいたいけど、今日死別するより全然ラッキー!といった感じです。
これはつまり、今は死別する覚悟が一切できていないということでもあります。
そりゃもちろん20代で死別するなんて想像している方が稀有な気もしますが、ちゃんと考えなきゃいけないなと思いました。
でなきゃきっと100歳になっても覚悟なんてできないから。
死ぬことを考えて生きるのはあまり楽しくないけど、明日死ぬとしたら今日私は彼女を大切にできただろうか?後悔はないか?
きっと答えはNOです。
いつその時がきても、後悔なく別れられる日はないと思いますが、それにしても後悔が大きすぎるでしょう。
これはきっと恋人に限ったことじゃないと思います。
親や祖父母の方がこれからの残された時間は短いでしょう。
これを読んでくれている方の中には、既に親や祖父母を亡くされているかたもいるかもしれません。
わたしに何が言えるかはわかりませんが、死別の悲しみは後悔の大きさに関係していると思っています。そしてそれはなかなか時間も解決してくれません。
まだご存命の場合と既に亡くなっている場合では多少考え方が違うかもしれませんが、ご存命の場合はできる限りプラスの思い出を増やしましょう。
既に亡くなっている場合は、できなかったことよりもできたことに目を向けましょう。
そして、夢を通して死別を体験したわたしは、生きていることに感謝します。
どんなに喧嘩しても、生きてくれていればそれでいいです。
死んでも愛しているけど、生きているあなたと一緒にやりたいことが山ほどあります。
どうせ死ぬんだから、1秒でも長く一緒に生きてください。
夢でよかったし、こんな夢を見れてよかった。
たとえ離れても、わたしのためじゃなくても、ただ生きていてください。
本当にこの世を去る時は、こんな寂しい思いをさせないように、あなたより1秒だけ長く生きる予定です。
だからそれまで、あなたの人生の中で、生きさせてください。
亡くなった彼女へ