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ネムラの森

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30年にわたって書き続けている短編ファンタジー小説「ネムラの森」。シュウとクロルそしてフェアローゼが深く不思議な森の中で繰り広げる壮大なドラマです。その一部を少しづつご紹介してい…
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2021年3月の記事一覧

精霊に恋した猫

ガジュマルの樹に宿った精霊と恋に落ちた猫 The cat that fell in love with the spirit that inhabited the banyan tree

月がやってきた

仕舞いかけていた夜の帳の隙間から 丸い月が顔を覗かせ ひょいと窓から飛び込んで来た 月はころころ転がりながら 部屋の中を見渡して 本の前にどしんと陣取った その様子が可笑しくて 挽きかけていた珈琲の手を止め 僕はクスッと笑った 笑ったら 月は少し照れて 前よりも明るく灯った 「やぁ、いらっしゃい」

世界のはじまりの終わり

まだこの星に 何もなかった世界のはじまりに 鳥と蝶と虫が現れ 荒れた地にタネを敷き詰めた 敷き詰め終えると 四つの季節が天の風に乗って現れ 光と水をタネに注ぎ 森を七色に染めた それから幾億年もの月日が経ち タネは木に草に花に姿を変えた その日から森は世界のはじまりになった そしてある日灰色の服をまとった人間が現れ 木の一切を切り倒し 草の一切を刈り上げ 花の一切をむしり取り 森をコンクリートで覆い隠した すると森は あっという間に灰色の街に姿を変えた こうして

硝子電燈に泳ぐ月

不思議な夢を見た 赤く燃えたぎったサソリが 月を食べようとしていて それをやめさせようと 僕は手足をバタバタさせるが ちっともサソリに追いつけない すると月の向こうから無数の星が 円を描きながらグングン押し寄せて来て 気がついたらサソリと僕は 硝子電燈の中に押し込められてしまった その時 夢から目が覚めた 手探りで硝子電燈の灯りをつけたら 窓の外に浮かぶ月が 硝子の中で泳いでいた

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ネムラの森「シュウとクロルの冬日和」

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月と森と(シュウとクロル)

月と森と。 The Moon and the Forest doll artist UZUMAKI direction & photographer ZAKI