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見える、見えない

NHKで放送していたブラインドサッカーとパラバドミントンを見た。

ブラインドサッカー、こんなことを言ったら怒られそうだけれど、味方がボールをキープしている時、敵からボールを奪うくらいの勢いで味方がぶつかっていて、「本当に見えていないんだ」と思った。
ボールは動いていれば音が鳴るけれど、ゆっくりだと音が聞き取りにくいらしく、ボールが止まってしまえば無音。どこにあるかわからない。ボールが止まり、ぽつんと誰にも触られない時間があったのが印象的だった。

逆に、見えてないのにどうして的確にパスが出せているの!?と驚く場面もあった。
声を出し合っているのか、この流れの時は必ずこの場所にいると、何か決まったことがあると思うのだけれど、見えているのでは?と思ってしまうような華麗なパスだった。

東京パラリンピックでもパラバドミントンはあったというのに、わたしはその存在を知らなかった。しかも、車椅子バドミントンの金メダリストは日本人だというのに。全然だめだな、と思った。

手足が自分の意思で動かせる、誰かの手を借りずに好きなことができる、電車に乗れる、紙の本が読める。
365日のうち364日以上意識することのない、自分の意思で取れる行動の全てがどれだけ幸せかを忘れちゃいけない。

首を寝違えて、歩いているだけで「ぅ、が…」と変な声が出る。風呂に入って頭を洗うのも慎重に慎重を重ねなければならなかった。
パラリンピックを見て、寝違えて、健康であることの有り難みを知る。そんな9月。

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大森薫
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