ファイアスターター感想
いつも通りエンジンがかかるまでたっぷりたっぷり描き、そしてラストをまっしぐらに駆け抜ける作品だった。
上巻はひたすら逃げる話、下巻に入ってもチャーリーとアンディのことよりも組織内の描写の方が多い気がする。それでも飽きることなく、どうやって終わりへ向かうんだろうと気になってしまうのがキング作品。
章ごとにタイトルがあり、ラスト2編が
・ファイアスターター
・チャーリーはひとり
となっていて、このタイトル付けはかなり格好良い。
ファイアスターターに関しては表題そのままだから、アニメの最終回なのにOPがなくていきなり本編がはじまり、そして一番格好良い時にOPが流れるあの演出のような効果がある。
そして続く、チャーリーはひとり。
最初はこのタイトルを見た時に「ファイアスターターってバッドエンドだ…」と思っていたが、そんなことはなかった。
ひとりで紙袋いっぱいの小銭とオレンジを持つチャーリー。「そうなの。ずっと順番を待ってたのよ」と微笑むチャーリー。大丈夫だ、彼女の声はアメリカ中に届く。そう確信させてくれる明るいラストだった。
このラストで明るさについて描写はされていないが、わたしには眩しいくらいに光が差しているように感じた。
ファイアスターターは暗く、悲しく、なかなかに救われない話だけれど、この一瞬の光のために上下巻の時間を費やしていると言っても過言ではない。
映画版がどんな雰囲気か検索したら、2022年版ではアンディ役がザック・エフロン!!トロイがもうパパ役をやるようになっているとは。
時は流れている。