ブリティッシュコロンビア大学(UBC)に職員として就職する際の注意点
元ブリティッシュコロンビア大学(UBC)職員が、UBC の大学職員として就職するあたって知っていると得をする情報をまとめてみました。求人票の読み方、役職の種類、労働組合、応募から就職までの流れ、賃金について、そして最後には筆者が知らないうちに解雇されていて大学と揉めた話とそこから得た教訓も綴ってあります(解決したのでご安心を)。
求人票の読み方
UBC の大学職員の求人掲示板(job board)はこちらです。2020年11月に、人材・財務管理システムが PeopleSoft から Workday に変わったばかりですので、ここしばらくは Workday のシステムが使われそうです。求人票(job posting)には職務記述書(job description)などが記されてありますが、その前の『謎のカテゴリ』が何か理解できるようになると得です。
Staff - Union もしくは Staff - Non Union
カナダ公務員組合に代表されている職種かどうかがわかります。ちなみに、職員用の求人掲示板に教員用の求人票がしれっと入っていたりします(大雑把)。その場合は、Staff ではなく Academic と表記されます。Job Category
UBC 用語に言い換えると Staff Job Families となります。役職の種類です。
例1)CUPE 2950
例2)M&P - AAPSJob Profile
上記の Job Category よりも細かい情報が記されています。ここで時給制、月給制、年俸制についてのヒントを得ることができます。
例1)CUPE 2950 Salaried - Undergrad Student Supp 3 (Gr6)
例2)AAPS Salaried - Educational Programming, Level A
Salaried と書いてある場合は、時給制(hourly)ではありません。Job Title
肩書きです。Department
Department は部署・部門ですが、システム(Workday)の都合上、やたら長々と(【どこどこ】の【どこどこ】の【どこどこ】ぐらいまで)事細かに表記されています。
例1)Office Administration | Undergraduate Office | UBC Sauder School of Business(ビジネススクール学部生支援オフィスの事務管理部門)
例2)Administrative Management | Undergraduate Program Instructional Support | Department of Computer Science | Faculty of Science(理学部コンピューターサイエンス学科の学部生指導援助の管理部門)Compensation Range
給与・報酬の範囲です。基本は一番少ない給与から始まって、そこから上がっていきます。
例1)$4,449.00 - $4,676.00 CAD Monthly
例2)$4,970.92 - $7,141.92 CAD MonthlyPosting End Date
求人票掲載最終日。多くの求人は、求人掲示板に載る期間が短いです(二週間など)。Job End Date
仕事の最終日。契約社員の求人票には、ここに日にちが載ります。正社員の求人票には、ここに日にちは載りません。
Staff Job Families について
求人票の job category は、staff job families を指します。Staff job families のページには、UBC の役職について記されています。ここで使われている family は「家族」ではなく「類」を指します。似たような役職が数カテゴリに割り当てられています。
筆者の役職は Management and Professional (M&P) でしたので、それについて掘り下げていきますが、その前に CUPE について少しお話しします。
CUPE について
CUPE とは、Canadian Union of Public Employees(カナダ公務員組合)の略称です。(Union は労働組合です。)Workday の求人票に記載されている「Staff - Union」の Union は、カナダ公務員組合のことです。CUPE の後に番号が振られていますが、番号はそれぞれの地域・交渉団体を指します。そして、その番号は求人票の job profile にも掲載されます。
CUPE 116 に該当する職員は:作業員、清掃員、ハウスキーパー、アニマル・ケアワーカー、ライフガード、飲食・サービス業スタッフ、学生寮スタッフ、歯科助手、郵便配達員、園芸家、警備員、駐車場職員、事務員、書店員などです。
CUPE 2950 に該当する職員は:事務職員、秘書職員、図書館職員、チャン・センターの接客係および事務管理職員を代表しています。
組合の代表会員(bargaining unit)が大学と交渉(collective bargaining)して、それを元に労働協約(collective agreement)が作られます。もし職員の方が雇い主(大学)から不当な扱いを受けたと思った時は、労働組合に相談して、大学側に苦情(grievance)を申し立てることができます。とても心強いシステムです。なお、一回入社すると解雇されにくい特徴があります。
Management and Professional (M&P) について
名前から想像できるかと思いますが、管理職(management)がこのグループに入ります。CUPE が交渉をする相手側(大学側)の人たちが M&P のグループに入っているため、M&P の役職は CUPE では代表されません。求人票にも Staff - Non Union と表記されます。しかし「労働組合がない」と落胆することなかれ:
The Association of Administrative and Professional Staff of the University of British Columbia (AAPS) とは、UBC の管理職および専門職スタッフの労働組合です。Union でこそないですが、ほぼ同じように機能します。
応募から就職までの流れ
書類選考(screening)
筆者の場合は、レジュメ(résumé)とカバーレター(cover letter)の提出が必要でした。レジュメは日本で言う職務履歴書に近いですが、担当業務内容よりは実績(業務より更に上を行った功績)を強調します。面接(interview)
筆者の面接の長さは60分でした。志望理由や、5年後の自分になどについて聞かれました。インバスケット・テスト(in-basket test)
インバスケットとは未処理箱のこと。実際に仕事で行う課題を制限時間内にどれだけ多く且つ正確に処理することができるかが評価されます。制限時間内に全ての課題を処理することはほぼ不可能です。筆者のインバスケット・テストの制限時間は60分でした。リファレンスチェック(reference check)
職歴調査。典型的には二、三人の推薦人が必要です。筆者は三人の推薦人を挙げなければなりませんでした。上司を挙げるのが一般的かと思われますが、全員自分の上司である必要はありません。筆者の場合はこの三人でした:上司
自分のチームにいた精鋭
プロジェクトでご一緒したことがある、違う部署のマネージャー
雇用契約書(offer letter)
雇用契約書には、肩書き(job title)、部署・部門(department)、賃金率(rate)、雇用開始日(start date)そして有期雇用の場合にのみ最終日(end date)が書かれています。労働組合に代表される役職の場合は、労働協約へのリンクも貼られています。
Staff Salary Scales について
UBC において、色々な役職の賃金表が載っています。筆者の職種は Management & Professional でしたので、そちらの表を見ていきましょう。
筆者の職種は Student Management(表の上の部分、右から二番目)Level A(Student Management のカテゴリ、5列目)でした。Salary grade は 5で、2024年7月1日付で、年俸が最低で$64,385、中間で$77,187、最高で$92,519だということがわかります。レベルAの地位が一番低く、B、Cと上がっていくにつれて賃金も上がりますし、責任も増えます。中には、レベルK(!)まであることがわかります。
M&P における Minimum / Midpoint / Maximum Salary
基本的には、minimum(最小限)salary から始まります。その役職で仕事を始めて4年目まで、general wage increase(昇給、GWI と略されることがよくあります)が適用されます。
4年目には midpoint(中間)に到達します。
その後、maximum(最大限)salary にまで到達するには、general wage increase から merit increase(成績昇給)に変更されます。
求人票の compensation range には、minimum と maximum が表示されます。
【実体験】知らないうちに解雇されていた話
筆者には、知らないうちに解雇された後、雇用形態を巡って大学と揉めた経験があります。ここからは有料部分となりますが、問題が解決するまでかかった時間は三年半(42ヵ月)ですので、価格は420円とします。
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