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カナダの色は無色 |赤丸天の「My Canada」

空気には、場所によってそれぞれ違った色や感触がある。

初めて行った外国だったハワイの空は、あまり緊張感がないうすいオレンジ色で、花の匂いが漂っていた。

ハワイから飛んだロスの空気はハワイと似ていたがハワイほど緩やかでなく、オレンジ色も花の匂いも薄かった。

ニューヨークに行くとハワイやロスとは一変して透明感があまりない無機的な空気で、包まれていて暖かさは感じなかった。

イギリスには残念ながら行ったことはないが、映画でみるイギリスの空気は灰色がかっていて、ロシアの空はさらに灰色が濃いように思う。

さてカナダの空気はというと、アメリカに比べてずっと透明度が強く明るい。

知人の写真家は、初めてカナダで撮ったときは「露出計で測ると明るすぎて露出計が壊れているのではないかと思った」と言っていた。

もちろんカナダでも場所によって透明度も明るさも異なるが、オンタリオより西の州はより明るく透明度が高い。

どれほど透明度が高く明るいかと言うと、風景写真を見るとよくわかる。

特に、太陽に照らされた葉緑樹のクロスアップなどを日本のそれと比べてみると一目瞭然だ。

光と影の部分が極端に強く中間色が飛んでいるのだ。

我町、バンクーバーは、雨雲が低く垂れ込めると景色もほとんど見えないほどに視界が限られるのだが、晴れ間が広がったときの透明感と明るさは格別で、何年住んでも飽きることがない。

特に、春から夏の晴れた日の景色は中間色が吹っ飛んだ光と影のコントラストそのもので、空気は色を一切感じさせない無色だ。

Ten Akamaru(赤丸天)

1970年代にカナダはトロントの現OCAD Universityに留学し、1980年代にカナダで起業。その後カナダ市民権を取得しバンクーバーに生活拠点を置く赤丸が、枠にとらわれずに現在と過去の出来事や日常を綴るコラム。カナダと日本の比較、カナダの特色および文化、社会や考え方など、長年暮らす❝My Canada❞を描写します。