喘息と留学
こんにちは~
今回は、カナダについて、、ではなく広く一般に留学と喘息の関係性について、喘息持ちである自分自身がどのように留学にむけて準備をしたかについて、体験談ベースで話したいと思います。喘息で留学に色々な制約をかけざるを得ない方、何をどのように準備したらよいかわからない方や諦めかけている方にとって、このNOTEが参考になれば嬉しいです。
【自身の体験談】
〈症状について〉
僕は幼少期より小児喘息を患っていたらしいのですが、明らかに悪くなってしまったのは高校2年生の頃からでした。その頃から、喘息を診てもらうために2週間に1回、または1か月に1回の頻度で通院していました。
それにもかかわらず、特に、大学1年生の頃は、遊びまくっていたこともあり、生活習慣は目も当てられないほどで、喘息の状態も何度も増悪しているような状態でした。これを読んでいる喘息患者の方が僕の状態がどのくらい悪かったかイメージできるように、簡潔に状態を以下に示します。(正直コンプレックスですが。。。)
・通院初期は2週間に1度の頻度で抗アレルギー薬の皮下注射(ゾレア)、後期は1か月に1回の頻度でデュピクセントの皮下注射
・吸入ステロイド薬(フルティフォーム)、気管支を広げる吸入薬(スピリーバ)の常備
・大学2年の夏に、医師から「入院レベル」と伝えられるほどに症状が増悪したときには、内服用のステロイドとしてベタメタゾンの使用歴あり(通常使用されるメドロールよりも強い効能を持つ)
・喘息の一因とされている、軽い副鼻腔炎も持つ
・アレルギー(ハウスダストや花粉)持ち
※字面を追うとかなりひどいように見えますが、呼吸困難や激しい発作が起こったことは1度もなく、普段生活する分には支障はありませんでした。平常時はサッカーできるくらいには落ち着きます。
そして、留学に向けて準備し始めたのは、大学2年生後期からでした。医師から「入院レベル」と伝えられ、本気で喘息と向き合わなければならないことを痛感してからは、生活習慣やスケジュール管理、自身の些細な体調変化に気を遣うようになりました。
〈行った準備〉
喘息患者の方ならお分かりかもしれませんが、喘息は治す病ではなく、うまくコントロールして良好な状態をなるべく保つものです。手術といった方法を除いては、やはり普段の生活習慣やスケジュール管理(忙しくなりすぎていないか等)、薬をしっかり服用するといったことを長期的にやらなければなりません。
また、喘息は増悪してしまった場合は、緊急時を除き絶対安静にし、状態が酷ければステロイド内服薬を使用するなどの「対処療法」しかありません。言い換えれば、日本にいようがいなかろうが、留学先で増悪してもやることは同じということになります。ひとついえるのは、必ず多めに薬を持ち込むようにしてください(なお、渡航先によって持ち込みできる量は異なります)。
僕の場合は、普段の通院時から少し薬を多めに貰い、留学直前までには1年間の留学期間の薬をストックするようにしました。なお、一度に持ち込みできる量には制限があるので、長期留学の場合は日本の知り合いに送ってもらうか、自身で取りに帰ることが必要になります。ただ、カナダの場合だと3か月分までしか持ち込めませんが、僕は4か月分くらい持ち込みましたが特に問題はありませんでした。
そして、もう一つ重要な準備は「海外傷害保険」です。海外で暮らすことは、予想以上に大変なことで、いつどんな因子によって喘息が増悪するかは予測できません。従って、安全策として保険加入が当然考えられますが、実はほとんどの日本の海外傷害保険において、「現地における既往症(喘息等)の悪化」は保障対象外となります。強いて言えば、AIGの保険商品の中には、渡航後1か月までの既往症の悪化は保障されるものもありましたが、それ以降は対象外となってしまいます。
即ち、やはり既往症を持っている方にとって、留学というのはかなりリスクが高いものとなります。ただ、僕が留学しているカナダBC州においては、MSPという公的保険もあり、いくつか要件を満たせば、月々の保険料(75 CAD, https://www2.gov.bc.ca/gov/content/health/accessing-health-care/health-fee-international-students)を支払うことで、喘息を含む既往症でも診療費などについて保険適用がされます(※恐らく薬価については適用されません)。国や地域によっては留学生でも加入できる保険制度がある可能性もあるので、日本or海外の保険商品なのか、民間or公的機関の保険なのか等を把握し比較できるとベストと思います。(※二重保険には注意)
当然ですが、この調べるのにもかなりの時間と労力がかかる(特に既往症がある学生なら保険の形態、費用等について理解し親に説明することも必要)ので、前もって調べることをお勧めします。
【伝えたいこと】
〈喘息の原因を把握すること〉
喘息は、様々な因子によって誘発されます。生活習慣、食生活、花粉、ハウスダスト、もともとの気道や気管支のつくり、ストレス耐性、家のつくり、カビ、立地、などなど。(正直なんでもです)
僕の場合は、もともとアレルギー性鼻炎があることもあってか、軽い副鼻腔炎が喘息誘発の一因になっている可能性が否定できないとして、途中からは喘息を診る「アレルギー内科」に加えて「耳鼻咽喉科」にも通院するようになりました。鼻に対する治療を行うことで、(間接的にか直接的にかはわかりませんが)喘息症状の改善に寄与していたかなと自覚しています。
つまり、どのような因子で喘息が引き起こされるのかはかなり患者さんによって違ってくるのではないかと思います。従って、留学を控えている方に限らずですが、どうにも喘息が安定しない方などがいれば、「セカンドオピニオン」として通院先を増やしたり、精密検査を受けてどういうもの・環境が自分にとって良くないかを自分で把握することが重要かなと思います。
〈良いニュース〉
これはオフトピックですが、渡航前、ある医師の方から「東京は空気が顕著に悪い」ということを聴きました。ひとつ僕自身に起こった興味深い点として、海外(東京以外)にいると喘息がピタッと止まるということです。
これまで、ヨーロッパやアメリカに旅行したことがありますが、(特にヨーロッパのときは)渡航してから急に落ち着き、帰国するとまた状態が少し悪くなったということがありました。国内旅行でもヨーロッパの時ほどではないですが、同様の実感を抱きました。
また、現在はカナダで過ごして2か月が経ちますが、勿論増悪の「ぞ」の字も感じません(ただカナダは他国と比較しても大気がかなり綺麗です)。
こうした実感は僕が抱いたもので、数字上の根拠は示せないのですが、海外(大気が綺麗な国に限る)にいけば、むしろ喘息を無縁なもののように感じることが、「もしかしたら」あるのかもしれません。
〈最後に〉
正直に言って、留学前に抗アレルギー注射を打ち、それでもなおしばしば増悪することがあったくらい不安定な症状であった僕が留学にいくことは、担当医からは当時かなりの懸念を示されました。
渡航前半年の時点から、1度でも喘息が増悪した場合、その時点で留学を断念する約束をしていました。
また、上記で述べた注射は、本来的には留学中も継続すべきなのですが、海外でその注射を打つと非常に高額な医療費がかかるので、留学中は打たないようにするために、留学数か月前から、少しずつ注射の頻度を落としていきました。
これが担当医にとってどれだけ不本意であったかということは、僕には容易に想像できるものでした。。。それでも、留学に行きたい気持ちは捨てきれず、なんとしてでも行けるようにいろいろと差配してくださいました。
なので、ここで伝えたいのは、(喘息に限った話ではありませんが)最終的には自己責任だということです。大学1年生の頃の僕は、若いという事実を盾にして「なんとかなる」と思って無理をしては増悪を繰り返していましたが、喘息は「自己管理」ができなければコントロール不能です。しかしながら、しっかりそれができれば、コントロールは可能です。現に、僕の場合だと、「入院レベル」と伝えられた大学2年生夏の頃、今となっては1年以上前ですが、そこから大きな増悪は経験していません。
なので、もし僕と似たような境遇の方がいて、そうした留学と喘息について悩んでいる方が、少しでも喘息について理解を深めて、留学に挑戦できる環境を整えられるようなきっかけを作ることの一端をこのNOTEが担えていれば嬉しいです。
p.s. 喘息持ちだけれども留学を考えている方などで、もしご質問があればぜひどうぞ!