看護は祈りから
大学の卒業式があった。
流行している感染症の影響で、保護者・来賓者なし、祝辞・答辞・歌なしの式だった。
祝辞はなかったが、キリスト教系の大学なのでチャプレンの祈りから式が始まり、祈りで終わった。祈る前に、チャプレンが短く話をした。「看護は祈りから始まる」と。
その言葉からイメージをしてみる。ナースが働く場のたくさんの祈り。
早く病気が良くなるように、苦しみが取り除かれるように、日々の生活に喜びがあるように、そこに希望の光があるように、と。
患者、その人の周りで支えている人は、そう祈っている。
でも、ナースの祈りはそれだけではないと思う。
ナースは大抵の場合、自分が経験したことのない病気や苦痛を抱えている人や、様々に違った生活背景や人生経験を持つ人を支えるということ。
目の前の人のすべてを理解しきれるわけがないし、理解しがたいがために苦しい場面もある。
多分、そういったときにも祈りが必要なのだ。
わかりえない相手との対話のとき、ケアのとき、苦しいとき。その人の苦しみや言動の背景・意味が少しでも自分が理解できるように。その人に大して穏やかな気持ちで接することができるように。必要な判断・ケアを必要なときにしていくことができるように。
祈りは、人の持つ能力や技術を超えたところに働く。
人が神になにか願うと同時に、人が人を想うときに生まれる。
ナースが働く場には、数多くそのような場面がある。
「看護は祈りから始まる」、その通りだとうなずいた。
これから、それぞれ看護の道を歩む、私と友人たちが
日々人を想い、祈りから始まる看護をし続けることがかないますように。
♪ I, the Lord of sea and sky (Here I am) / 賛美歌
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