痛み 隠して 尻 隠さず
走馬灯をみるまでに
自分に合った枕は、みつかるのでしょうか。
お立ち寄りいただき
ありがとうございます。
イラストレーターの林です。
先日、柔軟成分ゼロの我が身を携え久方ぶりのマッサージに駆け込んだ。プロ渾身の手技も虚しく、掴みどころのない結果でタイムオーバー。いかにほぐれていないかを切々と語るプロの声を聴きながら、わたしは諦観の笠智衆の姿勢で出されたお茶をすすった。
いいのだよ。
ほぐれていなくたっていいのだよ。
我が身をプロに任せた既成事実に満たされ、家路に向かう体は軽かった。
さて。
ヤムは1年ほど前から、自宅で温灸をしている。お灸じゃなくて温灸。きっかけはいくつかあるけど、ざっくり血行がよくなればと取り入れてみた。ヤムも気持ちよさそうにしているので、ふんわりつづけている。4日に一度、15分程度の温灸タイム。ヤムはキャットタワーの上、わたしはイスに突っ立ての温灸ing。
ねこも人も加齢とともに、あれやこれやが出てくるのは至極当然。
自然の理。
避けれんっ。
ボンヤム兄弟がシニアから高齢に入る頃、P先生(かかりつけ獣医師)から、ねこの関節炎・関節痛の話を伺った。程度の差こそあれ、多くのシニア・高齢ねこたちを密かに悩ましているそうだ。
手脚の曲げ伸ばし時に「あいたっ」となる、あんな感じから始まるのだろうか。この「あいたっ」が毎度のことになってくると、だんだん小さな気合い「よいしょっ」が口ぐせになる。
おなかをこわして〝PP〟時の腹痛は、大人になっても脂汗たらり案件だが、幾度かのトイレ訪問の後に感動のフィナーレが待っている。
♪ もう 痛くな〜い
緊張と緩和。心地よい疲労。
〝痛みゼロ〟の清々しい達成感を手に入れての大円団。
♪ ぜーん ぜんっ
痛くな〜い 痛くな〜い
かたや関節痛はどうだ。
日常に、生真面目な痛みが埋めこまれる。
地味。地味や。
先の〝PP〟がイベント痛なら、こちらはジミ痛。
加齢によるフィナーレなきジミ痛は、時に確実に、時になだなめながら、ゆるく、てんやわんやとケアしていくのだ。
ということでヤムは温灸を嗜んでいる。
さてさて。
ねこは痛みを隠す名人らしい。
この名人たる所以もまた、過去記事同様〝ねこの習性〟だとか。
自然界で弱っている姿を見せるたぁ言語道断!狙い打ちでガブリなのだ。
厳しいね、自然の掟。
でもさ。わたしは我が家歴代ねこを含め、今をともに生きるヤムに問いたい。
この家で
その掟とやらは必要ですかい?
わたしら、そこそこの仲やん。
わたしゃ、きみたちの〝お通じ全般〟も知り尽くしている。
P先生から伝授された技・・・必要とあらば
きみたちの〝肛門腺〟だってしぼっている。
そんなわたしに痛みを隠すなんて水くさかないかい?
それに わたしゃ 断じて ガブらん。
彼ら家ねこが弱みを見せるに足る信頼を、未だ人類は獲得できないのか?
理由はさておき、弱肉強食界から身を引いて久しい家ねこにも、掟はバッチリ有効らしい。
・・・・・・そうなんですか。
さてさて。
今日もヤムはキャットタワーを登り降りしている。
調子のいい時は両脚を揃えてジャンプ!
そうでもない時は「よいしょっ」と片脚ずつ登っている。
未だ掟を守るヤムだが、そこは齢21歳。
人類なわたしに、脚取りの変化はバレている。
以前、読んだ記事に『山歩きは登る時よりも、下山時に事故や体の故障が多い』とあった。重力の影響で下山時は自然にスピードが出てしまうから、歩行速度のコントロールが必要なのだ。速度を抑える、バランスを取る、重心移動のタイミングなどなど…あらためて説明されると〝下りる〟は、あれやこれやとなかなか高度だ。
高齢のヤムも下りる時は慎重だ。自分の体のバランスを見極めながら、ゆっくりと確実な一歩を出す。ヤムの全部をつかって、今を歩いている。
ねこは平気はフリをする。ヤムも平気なフリをする。
できることなら「あいたっ」と感じ始めた頃に教えてくれるとうれしい。
せめて「よいしょっ」が口ぐせになる頃に気づきたい。
でも、見てとれる変化が出てきてやっと、わたしは気づくのだ。
ヤムもわたしも寄る年波には敵わない。ジミ痛ゼロも叶わない。
かなわん波なら、ここは一丁、乗ってくか。ヤムに合ったケアで、ちょっと乗り心地がよくなれば上々上々。
おはよ〜 ヤム
きょうの波は どんな感じ〜
本日は、これにて〜!