「システム論の話をしましょう!」の書籍紹介
1990年頃に始まったアメリカのシステム論のアプローチの代表的なものに課題主導型アプローチがあります。そしてアメリカの大学教授達を中心に、それが従来の要素還元論のアプローチに「取って代わろう」という流れが見られていました。
やはり一神教世界の当たり前なのでしょう、信じるものは1つという感じです。それまで学校で習っていた要素還元論のアプローチの欠点をあげつらって、「それに代わってシステム論が新しい我々の方向性だ!」という熱気がありました。
ちょうどその頃に1年間アメリカに留学中だった僕もこの熱気に煽られて、最初は「システム論がこれからの新しい潮流である」、などと思ったものです。
一方で、アメリカの課題主導型アプローチの現場を見学すればするほど、どうもこれは違うんではないかと思うようになりました。それまでの僕の臨床経験とはしっくりこないところがあるのです。なんだか机上の空論のような印象をどうしても拭えない(^^;)
システム論のアイデア自体は自分の臨床経験にしっくりくるのですが、どうも具体的な方法にちぐはぐな感じを持つようになります。
日本に帰ってからは自分に納得のできるシステム論のアプローチの体系を作ろうと日々、考えては実施、考えては実施を繰り返しました。
しかしながら、「では臨床でどうするか?」と考えるとなかなか難しいのです。結局、部分部分のアイデアの理解だけではちぐはぐで繋がりもなく、体系的にアプローチすることができません。
それで「体系的にシステム論のアプローチの道筋が見えるような地図を作ろう」という試みが始まりました。システム論の良いところも悪いところも含めて、「どのような視点を持って、なにを目指している枠組みなのか」を明確にしようとする試みです。
臨床で少しずつ色々なアイデアを思いついては実践しながら、効果のあると思われる方法を選んでいきます。もちろん学校や講習会で習った考えや技術についても繰り返し検討してきました。
そうこうするうちに自分なりの地図ができてきました。学校で習った要素還元論の視点が目指すもの、強みと弱みなどが自分なりに分かってくるようになると、システム論の目指すものと強み・弱みも分かってきました。
そして「要素還元論にシステム論が取って代わる」のはおかしいと思うようになりました。要素還元論のアプローチとシステム論のアプローチはお互いの弱点をお互いの強みで補えるような関係であることに気がついたからです。
ここまでに約20年近くかかってしまいました(^^;)
この「システム論の話をしましょう!」はこのアイデアをCAMRというアプローチとして初期に本としてまとめたものです。
臨床家にシステム論が意外に身近で、みんなが無意識に使っているアイデアであることが分かってもらえればと思っています。
「システム論の話をしましょう!」(Kindle出版)
電子書籍のみ。価格100円 ペーパーバック版はありません(高くなってしまうので(^^;))