MuseScore4を触ってみた (4)
【第4章】やはりナマにはかなわない
もうひとつ、大事なことを書き忘れていました。
僕はIT業界にいたこともあり、コンピュータが人間の仕事を代替できるようなコードを沢山書きました。仕事の「ある部分」はコンピュータが正確かつ高速に処理できることを知っています。だからといって、それが人間の知的活動までを代行できるかといえば、それはあり得ないと思っています。
昨今は「AI」ばやりですが、喧伝されている「AI」はとてもArtificial Intelligenceと呼べる代物ではなく、ただ単に膨大なビッグデータをウェブから拾ってきて再構成して、如何にも知的に見えるようなものを生成しているだけで、せいぜいAssistant of Intelligenceに過ぎないのです。
DTM&DAWの世界で僕が目指しているのは、コンピュータでどれだけ人間の実演に近づけるかということですが、最終的にそれが「人間に取って代わることはあり得ない」と確信しています。
ヒトが音楽をするというのは、歌ったり演奏したりするための技術だけではなく、その人生経験そのものに裏打ちされた深い感情に支えられています。
卓越した演奏家の実演が、いかに聴く人の心を揺さぶるか。ときには、その人の人生を変えるほどまでに心をとらえるか。
一つの音に込められた細心の技術と感情・・・
コンピュータは、限りなく人間に近い演奏をすることは可能かもしれません。まさに「擬人化」(Humanize)です。でもそれはどこまでいっても「擬」です。
DTM&DAWの技術がどれだけ進歩しても、ナマの音楽に取って代わることはない、と思っています。
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