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ロケットで月に行く

子どもの頃、アポロ11号で月に行ったアメリカは本当にすごいと思っていた。まず大気圏というものの存在を把握し、そこを突破したのがとてつもない。目に見えない大気圏がその場にあると、どうやって知ったのだろうか。それだけでもとんでもない発見だと、小学生の私は驚くばかりだった。よく気がついたものである。またロケットが大気圏を通るとき、強烈な熱が発生するが、その事実をいかにして知り、対策したのだろうか。子どもの私には想像がつかなかった。行ったことのない場所、人間がそこを通過したらどうなるかわからない領域を移動する方法を、いかに事前につきとめたのか。ロケットを作れる国とは、どれほど頭がいいのか? しかも、月面に着陸した上で、もう一度地球に戻ってきたというのだから、ちょっと信じられない。

人間は基本的におっちょこちょいである。荒井注はカラオケハウスを営業しようと建物を作り、準備を進めていたが、入口のドアが狭すぎてカラオケ機器が搬入できず、建物は一度も使用されないまま廃墟化した。これがベーシックな人間の平均的な作業能力であり、私は荒井を笑うことができない。なぜなら私たちは、既に持っているマンガの14巻を2回買ったり、青梅駅に行こうとして青海駅へ行ったり、さっき買ったばかりの洋服が入った紙袋を喫茶店に置きっぱなしにして家に帰ったりするためだ。それがおっちょこちょいな私たちの限界である。仮に、荒井注がカラオケハウスを無事開業させるために必要だった能力を1とした場合、月にロケットを飛ばして帰ってくるための能力は43000くらい要るはずで、そんな奇跡を同じ人間が達成できるのが信じられないのである。

私の疑問は尽きない。月の上の温度は何度くらいあるのか。月の重力は地球とくらべてどのくらいなのか。もちろんNASAは、こうしたあれこれを事前に把握していたはずで、どうやって調べたの? と聞きたくなってくる。無重力で食べるごはんをどうするかも、NASAは解決していたが、そもそも無重力という状態を想定できているのがとんでもないと、小学生の私は驚嘆していた。普通なったことないんだから、無重力。また月面は、太陽の光が届かない夜間にはマイナス170度になるという。これもNASAは把握しており、バッチリ対策済みだ。本当に有能である。私なら、近所の洋品店でちょっと厚めの冬用コートとマフラーを買ってきて、「月で寒かったらこれ着て~」と言いそうな気がする。愚かな私。できれば私も賢くなりたいけれど、年齢的にもムリだと思う。でも、もうちょっとだけ賢くなりたいものだ。

【かように粗忽な私ですが、スキンケアは得意なんです】

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