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なんで13200円の化粧水を買うのか

【注:ポーラからは1円ももらっていません】

いちばん好きな化粧水

いきなりだが、私がいまいちばん好きな化粧水、ポーラ「B.A ローションイマース」について語らせてほしい。もう、すごくいいのである。これしかない! という気持ちにさせてくれる感動の化粧水だ。どんなに苦しくつらい毎日でも、寝る前にB.A ローションイマースさえつければ、最終的には帳尻が合った気になるという途方もないアイテムである。しかし問題は値段だ。13200円。なんだそれは。これを読んでいる多くの男性、そして少なくはない女性が「ちょっと待て」と思ったはずである。高すぎやしないか。

そうである。13200円はとんでもなく高い。初めて値段を見たとき、私はまだ高級な製品を買う心の準備ができておらず、「こういう化粧水って、どんな暮らしをしてる人が使うんだろう」と思った。なにしろ新幹線で東京から大阪へ行けちゃう値段である。映画なら7回、サウナなら5回。飲みにだって3回は行けるし、友だちと一緒にたらふく焼肉を食べてもいい。13200円あれば、たいていのことはできるものだ。そもそも化粧水に出せる金額なんて、1000円くらいだよ。私も長らくそう考えていた。しかも、120mlで13200円だという。この量が割高感をあおる。一方、森永マミーは200mlで113円。この差。それに、マミーは全然負けてない(おいしい)。じゃあ、デパコスはやめてマミーを買えば節約できていいんじゃないかと本気で考えたこともあった。それが、いつから感覚が変わったのだろう。私は、化粧水に1万円以上出す側の人間となっていた。ここにはどんな価値観の変化があったのか、今回はそれを知ってもらいたくて、この記事を書いている。いくら高く感じようと、B.A ローションイマースは最高の化粧水なのだ。

マミーとB.A ローションイマース、甲乙つけがたい魅力

昨年、スキンケアに関する書籍を作ることが決まり、本を出すならあるていどは高級な製品も知っておかなくてはと考え、そこからいわゆるデパコス(デパートでしか買えない高級化粧品)に手を出すようになった。わりと最近。とはいえ、私が書いたのは初心者男性向けの本であるため、あまり値段がするような製品を紹介しても意味がないし、とっつきにくい。始めるハードルは低い方がいいのである。そこで「お金はかけなくとも、こまめなお手入れ」をテーマに、プチプラ(低価格帯の製品)を中心としたスキンケアをオススメする本になった。そんな本の著者なのだから、「安価な製品で楽しくスキンケア」という庶民派の姿勢をアピールするべきなのだが、実際はデパコスにうつつを抜かす裏切り者となっていた。しかしわかってほしい、デパコスにはお金を払う価値があるのだということを……。

B.A ローションイマースのここがすごい

1、容器がしゅんって曲線を描いている

しゅん

見てほしい、このデザイン。容器がちょっとしたアーチを描いているのだ。超おしゃれ。こんなにいい感じの容器がひとつ部屋にあると、それだけで自分がステキな人間、都会的なおしゃれをきわめたアーバン・チャンピオンになったような気がして嬉しい。これまで私の部屋には、本とDVD、楽器くらいしかなかった。そこにいきなり、しゅんってした何かがやってくると、それだけで衝撃が走るのである。私の家に、こんなステキなモノがある。このふしぎ。みなさんの家には、アーチを描く何かがあるだろうか。ない人は、ひとつくらい持っておいた方がいい。それがB.A ローションイマースだ。

2、気を失いそうなほど、いい香りがする

B.A ローションイマース最強の武器は、この圧倒的な香りのよさ。顔へ塗布したときに訪れる、まるで桃源郷のような香りに包まれていると、「私はいま、この世ならざる場所にいるのだろうか」と考えてしまうほど。なにをどうすれば、こんな香りが作れるのか。フゥ〜〜。思えば私は、香りと縁のない人生を送ってきた。いい香りのするものを身につける習慣はなく、むしろ全身にリセッシュ(消臭剤)をふりかけて悪臭を消す、そればかり気をつけてきた男であった。ところがいまは、化粧水のステキな香りを日々楽しむ、優雅な人間へと変身することができた。まさに大変身。これはスキンケアのおかげといっていい。

3、肌がぷるぷるになる

この化粧水がすばらしいのは、単体での肌ぷるぷる効果もさることながら、次に使う美容液、乳液などを肌にどんどんなじませる、ナイスな基礎を作ってくれるところだ。バンドでいえばベーシスト。ドゥンドゥンと低音を響かせつつ、ギターやキーボード、ボーカルといった音をしっかり支えてくれる。「もうなんでも入ってこい、オレが支えるぜ」というこの感じ。この、スキンケア製品が「肌に入ってくる」感覚は、あるていど肌のお手入れをしてみないとわかりにくいのだが、慣れてくると「この製品のあとにこれを使うとなじみがよくなる」と理解できるようになる。もうすごいのよ、乳液も美容液も実家の居間くらいなじむ。肌にグッと入ってきて、しっとりスウッとしみわたったあとに毎晩のスキンケアルーティンをすれば、もうお顔はモチモチのぷるぷる。自分のバンドに凄腕のベーシストを誘う感じを想像してみてほしい。

4、がんばって働こうと思う

すべてのスキンケア製品は「使うとなくなる」という超ヤバい性質を持っている。高価な上に減っていくのが危険なのだ。そのため、なくなったら買いに行かなくてはならない。結果として、スキンケアを続けるためには働いて収入を得るしかなく、毎日ダルいけど、肌のお手入れができなくなると困るから働こう、という気持ちがわいてくる。B.A ローションイマースのようなデパコスなら、なおさらだ。生きる目標を失いかけ、何もする気がおきなくなっても、ひとまず朝は起きて仕事へ出かけなくてはと自分を奮い立たせてくれる何かが、美容にはある。生きる推進力となるのがスキンケア製品なのだ。

まとめ

これでB.A ローションイマースの魅力はほぼ伝え切ったのではないかと思う。伝わった確信がある。しゅんってしてるし、いい香りだし、ぷるぷるお肌で毎日がんばろうってなるから、本当にいいと思うな。だから13200円、高くない。マミーを飲みながらスキンケアをすると、さらに楽しい。プチプラも大好きな私ですが、たまには贅沢もいいと思いますね。

なお、私の作った本のタイトルは『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』(平凡社)です。電子書籍もありますから、ぜひ読んでみてください。

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