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米ラッパー、リル・ウージー・ヴァートさん ダイヤモンドを外した理由

※以下、すべて創作です

──2021年2月、額に11カラットのピンクダイヤモンド(25億円相当)を埋め込んで話題を呼んだアメリカのラッパー、リル・ウージー・ヴァートさん(26歳)。しかし彼は、せっかくのダイヤをほんの数ヶ月で取り外してしまったそうです。その理由について、担当記者が取材しました。

おでこダイヤで一気に注目されまして、サブスクリプション・サービスの曲もたくさん聴かれるようになりました。結果的にはプロモーションになり、いいきっかけでしたよ。まわりのラッパーからは「お前の売れ方は真似しようがない」って言われています。しかし音楽ファンって、「あの人、おでこにダイヤ埋め込んだんだ。よし、どんな曲か聴いてみよう」ってなるものなんですね。ははは。実際、埋め込むのに大がかりな手術もしましたし、それなりに費用もかかったので(保険適用外でした)、外す気はなかったのですが、結果的にはもう取ってしまいました。ライブでお客さんが「あれ、おでこダイヤついてない」とがっかりするので、少し申し訳ない気持ちもあるのですが……。

埋め込んだあとにさっそくライブをしたのですが、お客さんの8割はおでこダイヤを見にきている状態でした。もちろん僕もそのことはわかっていたので、最初はちょっと帽子をかぶってダイヤを見せないとか、じらし演出をしたりしました。4曲目あたりのイントロでようやく帽子を脱いで、さあダイヤが見えるかと思ったら、実はおでこにバンダナ巻いてました、みたいな小ネタが盛り上がるんですよ。せっかく新しいトレードマークにもなったし、これからも「おでこダイヤのラッパー」としてやっていこうと思っていたのですが、それでも外した理由は、お母さんでした。手術後、最初に見せに行ったとき「すてきだね」とほめてもらえるかと思ったら、本当に叱られてしまったんです。

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実家の玄関を開けたとたん、お母さんの不満が爆発しました。「町内中の人にお前のことを聞かれて、同じ質問に答えるのがうんざり」「おじいちゃんのお見舞いの病院にも、そんなおでこで行くのかい」「もうお前を芋煮会に呼びたくない」「そのなりで不動産屋に行っても、アパート借りられないよ」などと、さんざん叱られる始末。最終的には「息子のおでこにピンクダイヤモンドが輝いてるのがどうしても慣れない、気になっておでこばかり見てしまうので外してほしい」と懇願されまして、結局は根負けして外すことにしました。刺青のときも叱られましたが、お母さんもピアスはしているので、「なんでピアスはよくて、おでこダイヤはだめなの? ジャンルとしては同じ方向性だと思うけど……」と聞いてみたのですが、「おでこダイヤはばかがやることだからだよ!」とさらに叱られてしまいました。

埋め込む際、少しおでこの皮膚を切り取ってしまったので、戻ってくるまでに時間がかかりそうです。ちょっとずつ肉が盛り上がってきて元に戻るとお医者さんに説明されたのですが、埋め込んでいた部分がへこんでしまっているんですよね。顔を洗うと、そのへこみ部分に洗顔料がたまってしまって、お風呂から上がって鏡を見ると、おでこに石鹸が残ってることがよくあります。寝る前につける乳液も、おでこのへこみ部分に溜まってしまって、朝起きるとへこみ部分だけがツルツルになっていたりします。正直、痛かったり不便だったりと、マイナス面も多くてたいへんだったおでこダイヤでしたが、これからもファンの方にあっと驚いてもらえるようなサプライズを提供していきたいですね。音楽を通じて親孝行していきたいです。ぜひ、リル・ウージー・ヴァートの応援をよろしくお願いします。

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