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令和7年に読む『有閑倶楽部』 【12】
1981年から連載が開始された少女マンガ『有閑倶楽部』を1巻から読んでいきます。作者がどのようなマンガ家なのか、この作品は有名なのか、少女漫画史でどう評価をされているマンガなのかなど、まったく知りません。何の知識もない、ほぼ真っ白な状態で作品と接した感想をそのまま記録していこうと思います。
有閑倶楽部 12巻
29話。12巻は、有閑倶楽部1話のみ。プラス、短編マンガがひとつついている構成
「ほんとに ほんとに お久しぶりです」のあいさつ。そういえば有閑倶楽部は不定期連載だった
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「日本の男って もっと奥さんほめるべきだよ」とグランマニエ。人をほめるのはいいことだ
この言葉は以降の物語のさりげない伏線でもある
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地中海の島の皇太子が来日、という話題。有閑倶楽部は、冒頭で登場人物とか設定を細かく説明する傾向があるから、まずは設定を頭に入れておかないと、あとから「この人誰?」となりがちなんだ
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剣菱(父)は、幼い頃に仲の良かった(そしてほのかな恋心を抱いていた)女性から、国を助けるためにお金を都合してほしいと言われていた
しかし、そうしてお金を都合すると、剣菱(母)から浮気疑惑をかけられてしまうので、どうしようと悩んでいた
さてどうするのか
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一方、剣菱(父)は、遊園機「万作ランド」を開業しようとしていた
この万作ランドのコマがすごく「こち亀」なんだよな
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菊正宗の作戦はこうである。有閑倶楽部が狂言誘拐をし、身代金としてお金を要求する。身代金であれば、剣菱(母)もその金を支払うだろうから、そのお金を地中海の島の友だちに渡せばよい
有閑倶楽部が誘拐と身代金を好きなことはよくわかったぞ
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狂言誘拐をたくらんでいた有閑倶楽部。しかし、そこに香港シンジケートの男(6巻に出てきた)が再登場し、本当の誘拐をしようとする
狂言誘拐と本当の誘拐がなぜか同時に起こるというプロットだ
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今回の評価ポイント。一条先生の作品でたまに出てくる、「容姿のあまりよくない女性が、男性に無理やり迫ってくる」描写。今回もティコという女性があらわれ、グランマニエに迫るのだが、その後、ティコという女性のすぐれた人間性にフォーカスがあたる
心は美しい人物である、という描写が入った。80年代後半から90年代に入っていくなかで、進化している感じがする
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さて剣菱(母)。なぜか反社のいる屋敷に乗り込んでいく。一条先生はなぜか反社をマンガに出すのが好きなんだ
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そして組長と対面。有閑倶楽部を助けてもらうためのお願いする
「助けてもよい。しかしその前に本気を見せよ」と要求する組長
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剣菱(母)にロシアンルーレットをせよと要求する組長
すいません、これ少女マンガ誌「りぼん」で連載してた作品ですよね?
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本当にロシアンルーレットをやる剣菱(母)。目つきがイッてしまっているぞ
まわりにいた反社おじさんがびびって、つづくロシアンルーレットを拒否
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とんでもない気合いを見せた剣菱(母)。有閑倶楽部のがんばりもあって、事件は解決。そして古くからの仲間を助けることもできた
ヘリコプターで逃げる、そこで大爆発が起こるなど、シュワルツェネッガーの映画みたいな展開も準備されている
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あいかわらずド派手に盛り上げてくれた一条先生であった
12巻の有閑倶楽部はここで終わり。そして別に、「淋しい大人たち」という短編がついている。主人公は高校生の女の子。父親が不倫をしたらしいと知り、その相手の女性に会う。するとふしぎにも意気投合していき……というあらすじ。不倫や、人が人を好きになってしまうことを、穏やかなトーンで描いていて、タイトルどおり大人っぽい短編でした。ずっと女の子版「こち亀」みたいな有閑倶楽部を読んでいたので、しっとりと愛について描く短編は、ギャップが感じられてよかった。
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12巻感想
「万作ランド」で一気に「こち亀」すぎる展開に
あいかわらず反社、拳銃、誘拐、身代金が好きな一条先生であった
「くされ外道」は、りぼん誌上でなかなか出てこない言葉だと思う
連載時期がそろそろ90年代に突入。90年代カルチャーが反映された内容が楽しみ