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令和7年に読む『有閑倶楽部』 【4】
1981年から連載が開始された少女マンガ『有閑倶楽部』を1巻から読んでいきます。作者がどのようなマンガ家なのか、この作品は有名なのか、少女漫画史でどう評価をされているマンガなのかなど、まったく知りません。何の知識もない、ほぼ真っ白な状態で作品と接した感想をそのまま記録していこうと思います。
有閑倶楽部 4巻
11話。有閑倶楽部、揃って留年。高校で留年ってなかなかないぞ
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ファッションショーを見に行く。なぜか中野サンプラザの建物がていねいに描かれてある。当時からすると、まだできて10年も経ってない新しい施設
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今回はサスペンス。ファッションショーの途中でモデルが事故死。ただ遊びに行ったり移動するだけで、まわりに不審死が連続する有閑倶楽部
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ここから、高価なダイヤモンドをめぐる争いが始まります。怖い大人相手に無双する有閑倶楽部
それはいいのですが、途中で登場する同性愛男性の描写はいまひとつでした
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前にも男性の同性愛描写はあって、そちらも同様によくないバイアスがあり、40年前なのでまあこんな認識かな……とは思いつつ、この部分は古さを感じました
ここから宝石窃盗グループとのアクションシーンへなだれ込む。なぜか暴走族を召喚して大暴れさせる有閑倶楽部
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「ピストルが怖くてマッポとタメはれるかよ」と名言も出たところで、全て解決です
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12話。北海道へ新幹線をつなげる仕事を、剣菱の財閥が狙っている、という話。スケールが大きい。なんか「こち亀」的な風呂敷の広げ方を感じてきたぞ
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剣菱と兼六、ふたつの財閥のどちらがこの仕事を入札できるか、怒涛の争いへ
1話ごとにやたら規模の大きな問題が起こり、次の話ではそれが全てリセットされているというのも「こち亀」感あり
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剣菱側が勝つには、まぼろしの家宝である観音像が必要になる、という設定。これさえあれば剣菱が北海道に新幹線を敷ける(らしい)
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松竹梅(父)は新幹線にまつわる賄賂の手がかりをつかもうと躍起になっていたが、兼六側につかまり牢に入れられてしまう
牢にいるのは、松竹梅(父)と、剣菱家の犬、男山のみ。犬に任務を託すが、犬が嫌がったため、殴って言うことを聞かせる松竹梅(父)
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そこから、トラックで兼六の家に突っ込む、兼六側との激しい格闘などあり、兼六側をやっつけた後、みごと新幹線の仕事を受注して終わり。新幹線ってこんな風に作られていくのかァ……
13話。イケメンの王子様が来日しているよの回。黄桜が玉の輿を狙うのであった
下品そうな剣菱(父)だが、ケンブリッジに進学していた。とにかく一流の人ばかり出てくる有閑倶楽部
この荒唐無稽さがおもしろいという感覚がようやくわかってきました
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イケメンにきゅん♡する黄桜であったが、どうやら罠があるらしく……
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王子は政情不安で、祖国にいることが危険のため、命を守るために日本へ逃げてきていたのだった
そんなかわいそうな王子に日本観光をさせてあげよう! の回
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黄桜の紹介のところに「イロケ虫」って書いてあるのもおもしろい。恋愛に積極的、というのがあまりよくない時代だったからかもしれないと思った
王子と遊びに行くはずが、有閑倶楽部なのでどうしても法律を破ってしまう。法の枠を超えた存在、有閑倶楽部
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なぜか盗んだパトカーで走り出す松竹梅(子)。尾崎豊より悪質
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違法行為を積み重ねて東京観光をする王子。やがて恋は実り……
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また飲み物に薬を入れる菊正宗。なぜか有閑倶楽部は飲み物や食べ物に一服盛るクセがあるんだ
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そしてお決まりのアクションシークエンス。ハラハラまで演出。いつもながら凝った展開である。毎回人が死んだり、殺されそうになったりする集団が有閑倶楽部なんだ
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最後はなぜか剣菱(父)が飛行機のアクロバット飛行まで披露。これ『トップガン』(1986)の影響かな〜と思ったけど、単行本の発売は84年でした。こっちの方が先
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最後は無事に終わるが、意中の彼が合法的に重婚していると知り、ブチギレ
このトホホな終わり方も味わい深し
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14話。赤点で冬休み補習。のんびりテーマかと思わせておいて、今回はホラー回
前回のホラー展開がかなりよかったので期待大
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試験問題を入手するため、いきなり校長室に忍び込む剣菱。法を破らずにはいられない有閑倶楽部
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今回のゆうれいは、頭がよく、人に憑依してテストの正解を書いてしまう利口なゆうれいなのであった
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子どもの夢を叶える、テストを勝手に解いてくれるゆうれい
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ホラー回は安定しておもしろいね
ゆうれいは憑依して気持ちを文字で伝えたりもします
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そこから、ゆうれいの恨みである高校の教頭について調べ始める有閑倶楽部
教頭をやっつける計画を練っているぞ
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そこから教頭がハマっているカジノへ乗り込む一行
なんかギャンブルネタも既視感あり。一条先生は賭け事か好きだったのだろうか
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どこに賭けるか迷ったところで、ゆうれいが結果を知らせてくれる
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最後は教頭を倒してめでたしめでたし。不法侵入に未成年賭博と、あれこれ法を破った有閑倶楽部でした
4巻の感想
風呂敷の広げ方が「こち亀」っぽいとわかってから、楽しみ方がつかめてきた
1話完結だから、どれだけハチャメチャになってもリセットできる
ホラー回の、ゆうれいがテストを代わりに解いてくれるというのが実によかった。子どもの夢だね
今回もサスペンス、恋愛モノ、ホラー、ヤンキー大暴れなど多彩で楽しめた