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令和7年に読む『有閑倶楽部』 【7】
1981年から連載が開始された少女マンガ『有閑倶楽部』を1巻から読んでいきます。作者がどのようなマンガ家なのか、この作品は有名なのか、少女漫画史でどう評価をされているマンガなのかなど、まったく知りません。何の知識もない、ほぼ真っ白な状態で作品と接した感想をそのまま記録していこうと思います。
有閑倶楽部 7巻
19話。今回は表紙からわかるようにホラー回。私は有閑倶楽部のホラー回を楽しみにしているので、読む前から期待がふくらむ
なぜか白鹿が、同級生の結婚相手のふりをしなければいけないことになる
そして相手の実家へ有閑倶楽部全員で出かける展開に。高3で結婚て
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『サマーウォーズ』(2009)ってこんなあらすじだった気がする
そして田舎の屋敷に行くが、そこはゆうれいが出るとのうわさであった
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その後、「ゆうれいが出ると信じさせて家を捨てさせようとする悪の一派」が出てくるんだけど、実はミスリードで本当にゆうれいは出ます、という展開に
やっぱりゆうれいが出てくる場面のぞわっとする感じの描写はうまい
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実はレジャーランド建設のために、土地を手に入れようとしていた暴力団がかかわっていたという真相があきらかになる
田舎の土地に根付く蛇の神様と、レジャーランド誘致でひと儲けしようとする暴力団のテーマが二重に展開されていく、一条先生お得意のプロットだ
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さらには日本刀で斬りかかってきたところで真剣白刃取りをキメてみせる菊正宗
これは少女マンガなのか
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そんな間にも、蛇の神様は荒ぶっていくのであった。これも幻想的なコマで実にいいね
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気の毒なのは白鹿で、無償でフィアンセのふりをさせられて、なおかつ蛇のたたりに呪われて精神が錯乱しつつあった
本当にわりに合わない展開
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蛇のゆうれいに襲われる白鹿。親切心があだとなり、こんな目に
剣菱大活躍の一方、これまで黄桜と白鹿はどうにも出番がなくて、一条先生としてもこのふたりをどう生かしたらいいものかと悩んでいたと推測されるが、たまに登場すれば蛇に取り憑かれる役。かわいそうな白鹿
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「この世で一番おそろしいのは女の執念だよな」。このせりふは不適切ですね。たまに出てしまう一条先生のステレオタイプ思想
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しかし結局は、蛇のゆうれいも暴力団も一網打尽にしてしまった有閑倶楽部。強すぎるんじゃないか
20話。女子プロレス回。いま調べたら、クラッシュギャルズが83年結成。そのあたりのブームに沿って描かれているのかな
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女子プロレスラーが活躍するのかな? と思いきや、いきなりの死亡
有閑倶楽部は人が死ぬタイミングが早い傾向がある
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女子プロの周辺にやってくるプロモーターの反社。2話連続の反社登場である。有閑倶楽部、ちょっとそっち系の人が登場しすぎな気がするな
「オドオドして男らしくない」のせりふ。これも不適切ですね〜
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女子プロレスにうごめく闇。それは、サラ金を経営しつつ、覚醒剤の取引をおこなう犯罪集団との関連性であった
この反社集団が出てくるマンガが「りぼん」に掲載されていて、小学生の女の子が読んでいたというのは本当なのか。テーマのチョイスは合っているのか?
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そして悪の集団をやっつけつつ、プロレスの試合が展開されるという二重のプロットが開始
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剣菱もなぜかリングに上がる。それはいいんだが、松竹梅(父)の「よおーし かまわん てきとーな理由をつけてひっぱってこい!!」のせりふは問題ありだな
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ハリケーン悠理としてリングデビュー。なんでもできる剣菱
一方で、女子プロレス団体のマネージャーが覚醒剤中毒と判明。いったい、小学生の女の子はこの話をよろこんでいたのだろうか……
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サラ金が社会問題化したのは、1970年代後半から1980年代初頭にかけて。世相を反映している
とはいえ、覚醒剤3kgを売りさばく展開までついてくると、このコマが少女マンガだとは誰も思うまい
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有閑倶楽部がだんだんわからなくなってきた
そして白鹿が、ワニの剥製のなかから覚醒剤を見つける展開に。「やったー、シャブ見つけたよ〜」ってならないだろ読者の子
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そして有閑倶楽部に警視総監賞。この回は劇画雑誌に載る内容を、絵柄だけかわいくして展開させた感じだった
たまには友情とか、淡い恋とかの描写も読んでみたいんですけど
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7巻の感想
反社が出すぎている
20話は題材が少女マンガにふさわしくなかった
やはりホラー回は当たりが多い。蛇のゆうれいの描写は相当よかった
当時幼かった女の子はどんな気持ちで7巻を読んでいたのか
1話あたりの尺が伸びているのは6巻以降の傾向。今回も2話のみ収録
もう少し胸キュンなテーマで少女マンガらしさを堪能してみたい